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岡村咲希:見られている

真理の自宅待機が終わり、登校するようになってから2日目。

わたし――岡村咲希は、真理が待機中だった頃と同じように、半袖の体操服に着替えて陸上部の練習に行った。


この宿河原高校の陸上部は、毎週月~水曜日、金~土曜日の5日間で活動する。つまり明日は休みだから真理と一緒に帰るのはわたしになる。今日は萌仁花に任せている。


今朝聞いたところ、真理は当面部活を休んで放課後すぐに帰ることになるらしい。ということは、わたしと萌仁花は真理と一緒に下校したあと学校に戻って、部活に遅刻することになる。昨日はそれで叱られた。厳しい先生だ。

真理のことは守りたいけど、先生対策どうしようかなあ。遅刻には厳しいんだよね。ハゲてるのに。


「岡村、今日は遅れなかったんだな」

「はい、昨日は驚かせちゃいました」


男子の高草木たかくさぎ先輩が声をかけてくる。この先輩は3年生だが、陸上大会での実績もあり、今ではとある体育大学を目指して鍛錬に励んでいる。そしてわたしたち部員たちをしっかり見てくれている。

‥‥まあ遅刻とかぶっちゃけどうでもいいんだよね。わたしはあんまり大会の成績よくないし。でもそれを言ったら雰囲気が悪くなるので黙るようにしている。


高草木先輩と一緒にグラウンドの集合場所まで小走りで行くと‥‥すでに顧問ハゲと何人かの部員がいた。


「ん、岡村? 今日は時間通りに来たのか」


顧問ハゲがわたしを名指しで呼んできた。うわ、昨日1回遅刻しただけで目をつけられた? まあ来週からも堂々と遅刻するつもりだけど。‥‥と思っていたけど、顧問ハゲはなぜか優しかった。


「昨日みたいに友達と一緒に帰らないの?」

「‥‥‥‥」


顧問ハゲなりの皮肉なんだと思うんだけど、これから定期的に遅刻することになるし、ここはいったん叱られてもいいから言ったほうがいいだろう。


「友達が帰り道が怖いと言っていて、当面はわたしともう1人が付き添うことにしました。しばらく火曜日と、時々月曜日は遅れます」


それを伝えたら高草木先輩も、自主ストレッチを始めた他の部員も「げっ」とわたしに視線を集める。隣りにいた高草木先輩も距離を置いている。この顧問ハゲは遅刻に対してとかくそういう姿勢なのだ。

‥‥しかし顧問ハゲは怒鳴るどころか、「そうか」とうなずいて‥‥


「2週間前いろいろあっただろ、あんなことがあった後だ。しばらくはその友達の方を大切にしてやりなさい。ただし必ず戻って練習をきちんとやること」

「‥‥‥‥はい?」


顧問ハゲは、言った言ったと満足してわたしに背を向けて少し歩いた。一方のわたしは‥‥しばらくぽかんとしていた。近くの先輩もぽかんとしていた。顧問ハゲがあんなことを言うなんて、と信じられない様子だった。分かる。すごく分かる。

‥‥と、向こうの方でストレッチをやめてしまった部員が顧問ハゲと目が合って、慌てて続けた。


‥‥そうか。多分だけどこの顧問ハゲも政府からなにか言われたんだろうなあ。真理絡みだ。真理はやっぱりアリシアと会っているとみていいと思う。私服警官もいたしね。


ああ、その真理なんだけど、明日は学校を休むらしい。病院に行くって言われたけれどどうも怪しいなあ。小林は病院に行かないんだよね。真理だけが行くってなると‥‥アリシアに直接会いに行ったりしてね。そんなまさか。‥‥‥‥いや、ありえるかも。

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