幸せな時間なんですよ?
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日曜料理教室が終わりました
「あんたのお母さんってホント素敵よねー」
「容姿はな。オカンもお前のこと可愛いって言ってたぞ。可愛い娘が二人になったとか、何考えてんだか」
「ちょ…… 娘って……」
「まあ、オカンは可愛いもの大好きだからな。お前気に入られたみたいでよかったよ」
「そ、それは素直に嬉しいわね…… あーーー、気さくで綺麗で、憧れるわー」
「おいおい、お前がオカンみたいになったら引くぞ? 気まぐれで引っ掻き回すからな」
「なんだかんだ言って、あんた引っ掻き回されてるのに乗ってるんでしょ? 仲良いわよねー」
「ふん」
「照れてんじゃないわよ。いいお母さんよね」
「見た目と中身の乖離がなあ。で、オカンにも料理を教えたんだよな? どうだった?」
「教えるっていうのは流石に気が引けたんで、妹ちゃんに教えるのを見てもらってた感じね」
「おとなしく見てたのかねえ?」
「あまりに真剣に見られて緊張しちゃったわよ。あたしの方が妹ちゃんに『お姉ちゃんリラックスよ!』って励まされる始末だし」
「へー、オカンが真剣にねえ」
「でもまあ、妹ちゃんのおかげで肩の力が抜けて教える方はいつも通りできたわ。お母さんからも上手で分かりやすいって褒めてもらえたし」
「お前、人にもの教えるの上手いからなー。これで我が家の飯の味が良くなればいいんだけど」
「聞いたんだけど、最近は妹ちゃんとお母さんが一緒に料理することが増えたんだって?」
「おう。妹もやり始めるとのめり込むことあるからな。お前に教わったことの復習がてらオカンと台所に立ってるよ」
「流石ねえ。そう言えば、息抜きで始めたゲームがあんたより上手になったって言ってたわよね」
「学習が上手いんだろうなー。凹むわ」
「はは、超人の妹ちゃんには敵わないって?」
「妹は興味を持つ範囲が広いんだな。なんでもやり始めてのめり込んで習得していく…… そうか、何かを学習する機会自体が多いから学習の効率を上げる方法が身に着いたのかもしれないな」
「なるほどねー。超人の裏側を少し覗けた気がするわ」
「それはそうとて。お前とオカンと妹の三人の写真撮っといたから。盗撮じゃねーぞ? こうやって自分から話してるんだからな?」
「自首か」
「だから盗撮じゃねえって。あとでスマホに送っとくから」
「わかったわ。ありがと」
「その写真をだな、まあ、親に見せるなりして『女子友達の家に遊びに行ってる』のをアピールしとけ」
「あはは、なにそれ?」
「俺の、というかお前の女子友達である妹とその親まで一緒に楽しそうに写ってるの見たら、おまえの親だってより安心できるだろ?」
「へーーー、あんたにしてはいい気遣いするじゃない」
「あんたにしてはは余計だ。いらぬ詮索をされるのも嫌だしな」
「……ちゃんとあたしのこと考えてくれてるのね」
「あ、当たり前だろ!? お、俺らは、そ、その、恋人同士だからな!」
「あ、ありがとうね……」
「お、おう。……え、えっと、そうだ、中間考査がもうすぐ始まるな。また勝負するか?」
「そ、そうね。前回は確か20位以上の差があったわね」
「おう、ハンデ10なんて屁のツッパリにもならなかった」
「じゃあ、今回はハンデ20にする?」
「それはダメだ。本来はハンデ無しで勝負するべきところだぞ? そんな甘々なことしてたら緩んでしまう。ちょうどいい目標がモチベーションの維持につながるんだよ」
「わかったわ、じゃあ今回もハンデ10でいいわね?」
「そうだ、な…… いや、ハンデ7だ。それでいこう」
「7? また中途半端な数字ね、どうしたの?」
「前回よりもお互いの順位が上がってるんだ。だからハンデも少しずつ小さくすることにしたんだよ。最終的にはハンデ無しにする」
「ふーん、あたしは有利になるから全然問題無いんだけど。あんたがそう言うならそれでいいわ。後でやっぱり10にして下さいって泣きついても知らないわよ?」
「武士に二言はござらぬ」
「まあ、ここんところの勉強会の様子を見る限りでは、あんたの地力もだいぶ付いてきたみたいだしね。あたしもうかうかしてられないってのも事実よ」
「そうか。先生がそう言うなら自信になるな。頑張ろうって気にもなれる」
「最近じゃあたしがあんたに教えることも減ってきてるでしょ? あんたの学力が向上してる現れよ」
「うん」
「でさ。ずっと地力を上げることに注力してきたけど、中間考査までは試験向けの勉強を主眼に入れたいと思うけどどう?」
「いわゆる試験対策だな。望むところだ」
「何も素地が無いままで試験対策するとすごく大変なんだけど、ここまで地力が付いてたらそう苦労することも無いわ。肩ひじ張らなくても大丈夫よ」
「俺はお前を信じて勉強するだけだからな。いつも引っ張ってもらってありがとうな」
「う、うん。でね…… まだ言ってなかったんだけどさ、あたしね、国立大を目指してるの」
「ああ、あの大学か。そうか。おまえ行けそうなのか?」
「今の成績を維持できれば行けると思うわ。あんたと勉強会をしてなかったらちょっと危なかったんだけどね」
「そうか、お前がそんなじゃ俺はもっと頑張らないとな……」
「一応、あたしらの学校だと上位30位以内が圏内って言われてるけど、絶対は無いから20位前後までには上げておきたいところよ」
「ふーむ。今は38位だしな。なかなかのハードルだな」
「あたしはあんただったら出来ると思ってるわ。急に焦って勉強しても時間を浪費するだけだから、今まで通りでいきましょ。1学期の考査を使って、今まで通りでどこまで伸びるかを見極めましょうよ」
「そうだな、わかった。確かに無闇に焦ってもしょうがないしな」
「そうそう。やる時はやる、休む時は休む。今まで通りでね」
「うん」
「じゃ、また明日からよろしくね!」
「おう、じゃあな!」
いつものとりとめのない幸せな時間
幸せと健康は損なって初めて気が付く




