俺って狙われてたんですか?
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春休みの料理教室ももうお終い。
「今日もなかなか美味かったな。教えてやってくれてありがとうな」
「いやー、妹ちゃんすごいね。教え甲斐あるわー」
「まだまだお前の域には達していないけどな。前に比べたら格段に上がったよ。前も結構美味いと思ってたんだけど、お前に教わってから美味さが1段、いや2段くらいアップした気がするぞ」
「妹ちゃんからも『お姉ちゃんのおかげでよく分からなかったところがいろいろはっきりして、今はほとんど迷わなくなりました』ってお礼言われちゃった。迷いがあると味がブレるから、それが解消されてきたんじゃないかな」
「そいつは良かった。妹の成長は兄にとってことさら嬉しいものだ」
「特にシスコンは仕方ないわね」
「シスコンちゃうわ」
「ふふん」
「で、だな。春休みが終わってもさ、土日とか暇なときに教えてやってくれないかな。もちろん妹と相談してもらってからなんだけど」
「へっへー、実はね、もう妹ちゃんから春休みだけじゃなくてもっと教えて欲しいって言われてるの。だからそれはもう既定路線なのよ」
「おお、そうか。そいつは良かった。土日だとさ、うちのオカンも家にいるんでついでに教えてやってくれない?」
「ええ!? そ、それって、すごく失礼にならない? お母さんを差し置いて妹ちゃんに料理教えてるのだってちょっと冷や汗ものなんだけど」
「あ、そんなこと心配してたのか。大丈夫大丈夫。オカンは自分の料理が大雑把なのは自覚あるし、竹を割ったような性格なんでそんなちんけなことは全然気にしないぞ。むしろ妹が絶賛してるお前の料理を食べてみたいと言ってたくらいだからな」
「そ、そうなの。でもあんたのお母さんに会うってすごく緊張するわね」
「ははは、まあそうか。妹とはわけが違うか」
「そうよ。あーん、なんか今からドキドキしてるんですけどー」
「まだオカンに会ってないよな。写真も見たことないか?」
「そうね、見たことないわね。いきなり会うよりは前もって写真を見せてもらってた方が心の平穏を保てる気がする。写真あるの?」
「見るか? スマホに入ってると思う」
「うん」
「よし。ちょっと待ってろ、こないだ妹の誕生日の時に撮ったやつに写ってたはず………………お、あったあった。ほれ」
「え、ちょ、うそ…… これお母さんなの? お姉さんじゃなくて? めっちゃ綺麗…… 女のあたしでもうっとりするわよ」
「ははは、息子の目からしても綺麗な女性でおしとやかっぽく見えるけど、その中身は手のかかるおてんば娘ってな感じでな。それに気分屋だし」
「お弁当を作ったり作らなかったり、とか?」
「そうそう、でもそのおかげでお前の弁当が食べられるんだから、それはそれで感謝かな」
「はあーーー…… 妹ちゃんがめっちゃくちゃ可愛いのって、完全にお母さんの遺伝よね」
「親父は超フツーだと思うから、オカンに似て良かったと思うよ」
「お父さんの写真は無いの?」
「うーん…… …………無いな」
「えええええ、お父さんかわいそー。写真撮っときなよ」
「おっさんの写真撮ってもなー」
「そんなこと言わないのよ」
「うーん」
「……あんたってお父さん似なの?」
「そうだな。どう見てもオカン似じゃないだろ?」
「ま、それはそうね。あんたが清楚美人だったらキモい」
「キモい言うな。小さいころから近所の人なんかから親父とそっくりだってよく言われてるけどな」
「え、そうなんだ。じゃ、超フツーじゃないんじゃないの?」
「なんだよ。ブサ面とでも言いたいのか?」
「ち、ちがうわよ。あんた、その、カ、カ、カッコいいし、お父さんもそうなんじゃないかと」
「お前の可愛さから比べたら俺なんかモブだぞ? だいたいお前よくモブなんかとくっ付く気になったな。不思議なくらいだぞ」
「ああああんたね、自分のこと正しく理解してないわよ。あんたカ、カッコいいのよ? 身なりを気にしないから一見パッとしないけど、分かる人には分かるんだからね。あんたのこと狙ってた子が何人かいたのよ?」
「うそ!? え、え、うそ!?」
「あんた、そのへん無頓着だったからねぇ。だいたいさ、そうでもなきゃ以前マドンナが狙ってたとかありえないじゃないのよ」
「あーーーーー」
「あんたがフィギュアにうつつを抜かしてるのはクラスでは周知の事実だったからさ、その趣味がなければ言い寄ってくる子は結構いたと思うわよ。まあ、マドンナは当然知らなかったから狙ってたんだと思うんだけどね」
「まじかーーー」
「そうよ。あたしはねぇ、あんたが誰かに取られないように必死だったんだからね」
「あー、それで引っ付きまわしてたのか」
「ホント鈍感というかなんと言うか…… もう…… 大変だったん……だから……ね……」
「わわわわかったから、思い出して涙目になるなよ。悪かったって」
「……ふう。今思い出しても胸が痛むわ……」
「悪かったって。俺の知らん間にそんなことがあったのか……」
「まあ、あんたのフィギュア趣味のおかげで競争率は下がったわけだし、そこはありがたかったわね」
「なんと返していいのやら……」
「ま、そういうことなんで、あんたカッコいいんだから、あたし以外の女の子にやたらと優しくしちゃだめよ? その気が無くても惚れられちゃうからね」
「そんなことは無いだろ」
「あんた自覚無いんだよねー。はあ。ホントどうしてくれようかしら」
「わ、わかったよ。……親父モテたのかな? オカンに聞いてみるかな」
「よ、よしなさいよ。あんまりそんなこと聞くもんじゃないわよ」
「そうかー? うーん、気になるなぁ」
「ま、ま、ま、それはともかく。春休みが終わっても妹ちゃんとの料理教室は続けるからね? あんたが家にいようがいまいが関係ないわよ? わかった?」
「おう。『女子友達の家に遊びに行く』ってことだからな。わかってるって」
「……ん、もう。ちょっとは妬きなさいよ!」
「妹に嫉妬してどうする。オカンとも仲良くやってくれよな」
「も、もちろんよ。妹ちゃんによろしく言っといてね」
「うむ。春休みも終わるな。次は三年だ。同じクラスになれるといいな」
「そうね。あんたは見張っとかないと何するかわかったもんじゃないし」
「オカンか。オカンは二人もいらんわ」
「ふふん。……じゃね。新学期に会いましょ」
「はいよ。それじゃな!」
俺ってモテてたの?
そこそこのイケメンのようだ




