神様に聞いてもらうんですよ?
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お正月のお参り。
「よ、よう」
「あ、あけましておめでとうございます」
「お、おう。あけましておめでとう」
「今年もよろしくお願いします」
「よろしくな」
「って、あんたどうしたのその恰好」
「うーん、妹がな、絶対和装して行けってうるさくって」
「そ、そうなのね。あんたの着物姿初めて見たからびっくりしたわよ」
「そういうお前だって着物じゃん。俺もびっくりだわ」
「女の子の初詣よ? 着物くらい着ますわよ」
「そうか、うん。いいな。似合ってる」
「ああありがとう」
「いつもお前は可愛い感じだけど、今日はちょっと大人っぽいというか、綺麗だな」
「ちょちょちょちょちょっとまって。あんたいつもサラッとそういうこと言うけど、こっちにも心の準備ってもんがあって」
「そうか、すまん。つい思ったこと口に出してしまって」
「あんた、あたし以外にそんなことしたら絶対だめよ! わかってる?」
「んー、どして?」
「どしてじゃないわよ! あんたね、女の子がそんなこと言われたら確実に勘違いしちゃうからね!?」
「勘違いとは」
「あんたがその子に気があるって思われるの!」
「別にそのつもりはないけど」
「あんたにはそのつもりは無いかもしれなくても、相手にとってはそうじゃないことってあるんだからね! 絶対だめよ!」
「ほーい」
「ほーいじゃない! 返事ははい!」
「はい」
「す、素直ね。それでいいわよ。……それとね」
「うん?」
「あ、あんたも大人っぽくて、その、カッコいいわよ」
「お、そうか! ありがとうな。妹に着せ替えごっこやらされて頭もいじられて散々だったんだけど、お前に褒められるんならやった甲斐があるな」
「そうだったの、やっぱ妹ちゃんすごいわね。今度から妹ちゃんの手を煩わせないよう、自分でもできるようになるといいんじゃないかしら? えーっとか言ったら減点よ」
「釘を刺された」
「あんたの考えることはだいたい分かってるわよ。おおかた面倒くさいとかなんとかでしょ」
「心を読まれた」
「あんたさ、あたしにさ、今日もカッコいいな、とか思わせてよ」
「そ、そうか。わかった、妹先生にご指導いただくようにする」
「ふふ、お願いよ?」
「わかったよ。それより、神社が見えてきたけど、んー、そこそこ並んでるようだな。……最後尾はあそこか。俺達も並ぼう」
「そうね、行きましょ。……へぇ、屋台も結構出てるわね」
「お参りが終わったら冷やかしに行くか」
「いいわね」
「お、チョコバナナあるな。お前食うか?」
「……」
「ん? どした?」
「えっと……あの、ちょっといいでしょうか」
「はい、なんでしょうか?」
「す、少し屈んでお耳を貸して欲しいのですが」
「はい? こうでしょうか?」
「あ、ありがとうございます」
「…………わかってるって、お年玉結構もらっちゃったからお金の心配はしなくて」
「ち、ちがうわよ! そんなんじゃないわよ!」
「つっ! 耳元ででかい声出すなよぉ」
「わ、ごめんごめん! 悪かったわよ、謝るからさ、真面目に聞いて」
「お、おう」
「あんたと二人で神様にちゃんと報告するために、今言わなければいけないことがあります」
「は、はい」
「あたしは」
「うん」
「あんたが」
「……」
「……」
「……」
「……好き、です」
「……」
「以上」
「……」
「です」
「……」
「……」
「……」
「……ちょっと、なんか言いなさいよ!」
「……すまん。今めっちゃ感動してる」
「顔、真っ赤じゃない。耳まで赤い」
「やめて。心臓が痛い。死ぬかもしれない」
「死なないわよ。なに乙女みたいなこと言ってるのよ」
「……こんなに破壊力があるなんて思いもしなかった」
「あー…… あんたね、あたしが大泣きしたの覚えてる」
「うん、覚えてる」
「わかった?」
「わかった」
「好き」
「ひっ ご、ごめん、悪かった! やめて! やめて差し上げてください!」
「ふふっ 大好きよ」
「わかったって! ああっもうっ! いたたまれない! 帰る!」
「だめよ! 何言ってるの、離さないわよ。これから神様に報告するんだからね!」
「う、腕を絡めるなあ!」
「はぁ? あたしらはカップルなのよ? さっき成立したのよ? もう恋人同士よ?」
「そ、そ、そうか。俺らは恋人同士なのか」
「そうよ。だから腕を絡めるのなんて当たり前なのよ」
「わ、わかった。わかった」
「それと、もうすぐあたしらの順番が来るから、ちゃんと恋人同士になったことを報告するのよ?」
「わかった」
「そんであたしらのお付き合いがうまくいくことをお願いするのよ?」
「わかった」
「二人でお願いするんだから、きっと神様も聞いてくれるわよ」
「神様が鬼じゃなければ」
「神様だし。……あ、順番来たわよ」
「お、おう。……お賽銭投げて……」
「…………………………………………………………」
「…………………………………………………………」
「ふう…… なんかすっごく力が入っちゃった」
「目ギュッとしてたな」
「え、見てたの?」
「チラッとだけな」
「もう、やめてよ恥ずかしい」
「ごめんよ」
「ふふん。……これで、これでやっとあんたはあたしのダーリンになったのね」
「You are my sweet honey.」
「ちょっ!? ネイティブモードで言われるとなんかムズムズする」
「You are really beautiful.」
「やめてってば!」
「んじゃまぁ、おみくじでも引きますかね?」
「落差!?」
「あ、あっちみたいだ。恋人らしく腕組んで行こう」
「う、うん。せ、積極的ね」
「お前からしてきたんだぞ?」
「そうだけど」
「恋人同士だからな」
「な、なんか改めて言われると恥ずかしい」
「恥ずかしいことなんかあるもんか。俺たちは恋人同士だ。神様にも言っちゃったし」
「そ、そうね、そうよね」
「そうそう」
「うん」
おみくじは……秘密。
やっとちゃんと引っ付いた。




