機械仕掛けの少女、音を得る
遅くなりました( ;´Д`)
キャラデザはツイッターにあるので是非見てください(*´Д`*)
高校一年生の春、当時中3だった妹、カローラは突然姿を消した。二つにくくった短い黒い、少し癖のある髪。少し垂れ気味な目。そしていつも顔に浮かべていた笑顔。その当たり前にいた彼女は、いつのまにか居なくなっていた。
家に帰ってきた彼女。部屋の中にいると思っていた俺たちだったが、夕飯時に現れない彼女の様子を見に行った俺が見たものは、窓が全開の状態の無人の部屋だった。突然家出するような子でもなかったし、その日もいつものように笑顔で帰ってきて、なにかがあったような素振りはなかったので、家族全員混乱し、家庭は突然乱れるようになった。
父は現実から逃げるように仕事に打ち込み、家に帰って来なくなった。母は自分に原因があったのではと思い悩み、ほとんど一日中泣いているときが多くなった。俺は自分がなぜいて、妹がいなくなったのか、いなくなるのは自分であるべきではないかと生きることに理由を見つけられなくなり、高1早々と学校を不登校しだした。今の友人たちが俺を学校に呼んでくれて、こうして学校には行けるようになったが。
そういうことがあったからかもしれない。だからなんとなく、普段人と極力関わらない俺があんなバカな質問をあいつーーーロンドにしてしまったのだろうか。
…過去にふけっている場合ではない。俺は今日の待ち合わせ場所に行くために、大急ぎで身支度を整えていく。
「…遅い。」
「うるせーな…これでも頑張って走ってきたんだからな?」
「まず早く起きたらいい。このぐうたら野郎。」
「会って早々と小言ばっかだな…で、今日はどこだ?」
俺たちは『一緒に楽しいことを探す』にあたって、一週間に一度、どこかに遊びに行くようになった。しかしどこに遊びに行くかを決めるのに一日を使う日もあったので、交互に決めてから来るようにしているのだ。
「ふふふ、今日はこれ!」
彼女がそう言って出してきたのは…ライブのチケット。超人気バンド。しかも最前列。
しかし…
「ライブか…」
「あれ?カルテ、あんまり乗り気じゃない?」
「いや、そーゆーわけじゃないけど…まあ行くか…てかそのチケットどこから手にいれたんだよ…」
「え?そんなにすごいの?『ママ』がくれたんだけど…」
「…お前にそのチケットを持たせるの、なんかすっごい勿体ない気がしてきた。」
「??…まあいいや。」
そう言って彼女は歩き出す。この会話の中でも彼女に特に目立った表情は一つもない。俺も最近わかるぐらいの微妙な変化があるだけだ。この少女は本当に楽しいと思えることがあるのか、今でもたまに心配になる。
「カルテ?どーしたの?」
「あ、いや、なんでも」
俺は慌ててカローラと瓜二つの形をした、緑の髪の毛の少女を追いかけた。
ライブ後。
ファンでもないのに最前列にいた俺たちはすごい目で見られ、すごく睨まれた気もするが。
ロンドの顔には初めて見る、『楽』の感情が浮かんでいた。
「…3番がほんとによかった!!ボーカルも素敵だったけどあそこはギターは凄かったなぁ、あ、あの後の曲もすごかったよね!!…カルテ?聞いてる?」
「…ああ、聞いてる聞いてる。」
「…絶対聞いてない。てかカルテ、ライブ中も集中してなかったよね?」
「あー…お前に悪いから黙ってたんだけどさ…
俺、極度の絶対音感?ってやつ?がある、らしいから音楽の微妙なズレとかすっごい聞き取ってしまうんだよな…だからその、なんか集中できないってかんじ?」
そう、俺も最近まで知らなかったのだ。きっかけは高校の音楽。先生の音程がその…うん、で思わず耳を塞いでしまったのだ。小学校、幼稚園の頃から音楽の微妙なズレがすごく気になっていて、それが原因でクラスのガキ大将と喧嘩したこともあった。しかしこの先生は…うん、だったからつい塞いでしまったのだ。
当然問題になり、呼び出されて、正直に言ってやったら親まで呼ばれて大問題になってしまった。その時彼女ーーチェルが『絶対音感』というものの存在をだし、しょうがないものとして問題は収まったのだった。
…まあその後、俺は音楽の授業をやむを得ず受けるのを禁じられ、なのにピアノの調律とかを死ぬ気で手伝わされたのだが。
そんなこんなで今はチェルのピアノだけは聞けるようになった。しかしこういうライブとかはやっぱり苦手なのだ。
「…苦手なら、苦手って言ってくれればいいじゃない。」
少し怒ったようにロンドが呟いた。
「あんたがもともと無理なものに無理やり付き合ってくれる必要ないんだから、安心して」
…まあ、たしかに苦手だが…
「でも今、お前音楽にハマっただろ。おれは俺で、別のことにまた付き合ってくれればいいからさ。な?」
「…そ、だね。」
納得してくれたようだ。ロンドの機嫌は戻り、またライブについて一人で語りだした。俺が音楽がダメだというのを知った上で言っているのを見ると、やはり楽しかったのだろう。
「楽しかったか?ライブ。」
「もちろん!!あ、ねぇカルテ、」
「ん?」
「ちょっとだけ、歌うね。」
そう言った途端、彼女は今日聞いた歌を歌いだした。その音は…
「ごめんね、音ずれてた?」
とんでもない。
彼女の音は、素晴らしいぐらい、
一音のズレもない、完璧な歌だった。
説明グダグダでしたね笑
気長に読んでいただけると幸いです(^^)




