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魔力譲渡


 凍り付いたダッシュエミューに向かって歩き出す。



「この魔法は魔力を放出し続けたりしてるのか?」


「いえ、最初の魔力分だけですので、時間経過や捉えた生物の魔力、身体能力次第では解除されますね。重ね掛けできますので、解除されそうになったらまた上書きします」


「多数の獲物相手には風縛よりも氷の棺の方が使い勝手は良さそうだな」


「風縛は強力ですが魔力消費も多いですからね。ブラックバッファローを風縛で狩っていたなどにわかには信じられません」


「それこそ俺とエリナの協力魔法じゃなきゃ出来ない芸当だったんだよ」


「お兄ちゃん、夫婦魔法試せなかったね」


「俺達の番は次の機会だな」


「うん!」



 凍ったダッシュエミューにたどり着くと、ポンコツは親父から借りている日本刀でダッシュエミューの首を切断する。



「これは……凄まじい斬れ味ですね」


「日本刀は切断する事に特化してるからな。西洋剣と比べて折れにくいし曲がりにくいが、叩き壊すような打撃攻撃には向かないし」


「お兄ちゃん、血抜きどうしよう?」


「血抜きしないで持って帰るか」


「では重ね掛けついでに切断面を凍らせますね」


「お前狩りでは有能なのな」


「そういって頂けて嬉しく存じます!」



 俺はカートを籠から取り出し組み立てていると、ふと閃く。



「エリナ、協力魔法で風縛使ってダッシュエミューをカートに乗せてみるか」


「わかった!」



 俺がエリナを軽く抱きしめると、エリナは風縛を使ってカートの上にダッシュエミューを乗せる。



「どうだ?」


「うーん、よくわかんない!」


「俺の方も魔力を吸われた感覚が無いしな。やっぱ射程距離以上で使えるかとか試した方が良いか」


「トーマ様、ダッシュエミューらしき反応があります」



 ポンコツがまた指差すが、俺には視認できない。

 探査魔法を使ってみるが同様だ。



「お兄ちゃんに魔力を渡すようにむむむーってやってみようか」


「試してみるか」



 エリナが俺の方を向いて抱き着いてくると、むむむーと言い出した。

 


「うーん、良くわからん」


「むむむー」



 魔力を込めて探査範囲を意図的に広げるようにイメージをすると、エリナから声が上がる。



「お兄ちゃん! なんか魔力が吸われた感じがする!」


「俺の方は特にそんな感じはしないが、探査範囲は広がってるな。百メートル位広がった感覚がある。登録証の魔力を見てみろ」


「えっと……1%減ってる!」


「エリナの魔力を1%使って百メートル広がっただけか、燃費は悪いが使えるなこれ」


「そんな事が可能なのですね……」


「もっとぎゅーってすれば変わるかな?」


「エリナがそれで魔力を渡しやすくなるとイメージできれば効率は良くなるかもな」


「じゃあ……ぎゅー! えへへ!」


「なんかもう少し範囲を広げられそうな感覚があるな。エリナ、今度は逆だ。風縛を出来るだけ遠い位置で使ってみろ百メートル位射程を伸ばせるかもしれん」


「わかった!」


「ポンコツはさっきと同じように予想ルートに誘導してくれ」


「かしこまりました……あ、トーマ様。探索範囲外に移動してしまったようです」


「残念。ま、いい時間だし弁当食いながら少し待ってみるか」


「はーい!」


「はい」





 昼食も終わって、そこから更に一時間ほど粘ってみたが、ポンコツの探査範囲に何匹か引っかかるものの、こちらに向かってくるダッシュエミューが皆無で、結局一匹だけを持って帰ることにした。

 籠とダッシュエミューをカートごとポンコツのマジックボックスに収納させたので、帰りは手ぶらだ。

 


「氷の維持には魔力をどれくらい使うんだ?」


「一時間に1%ほどですね。最初に凍らせる時はもう少し必要ですが、重ね掛けはそれほど魔力を必要としません。マジックボックス収納中は中の物には時間が経過しなくなりますので重ね掛けの必要はありませんが」


「鮮度を保ったまま運ぶのに便利だな」


「実際劣化しやすい地竜の臓器などはそのようにして運んでいます。心臓は勿論血液すら貴重な素材ですから、出来るだけ早く解体して冷凍した上でマジックボックスに収納します。我が家で所有するマジックボックスでも、地竜全てを収納できませんので、劣化する部位のみを選別する必要がありますが」


「そうか、その辺りは全部任せちゃったんだな」


「町としても貴重な素材の保護を無償で協力するのは、結果として税で徴収できるからという側面もございますし」


「なるほどねー」



 たしかにあんな巨大な獲物の解体、運搬は専門家に任せないと難しいだろうし、公的な機関が取り仕切らないと盗難とかもありそうだ。

 と言ってもまだここの上の連中を信じた訳じゃないから何とも言えないが、少なくともポンコツは信じても良いだろう。

 そう考えながら町へと向かうのだった。

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