ドラゴンスレイヤー
治療院から結構歩いてやっとクズゾーンにたどり着く。
さっきの話思い出して暗殺ギルドや盗賊ギルドの存在がムカついて来た。
俺もエリナみたいな業炎球が使えれば、事故を装って駆除できたかもしれないんだがな。
初めての冒険者ギルドという事でクレアは少し緊張しているようだ。
ま、気にしないで入ろう。
今ならここにいるクズ連中なら丸腰だって相手にできるし。エリナが。
「こんにちは!」
「こんにちはー!」
「っすー」
「兄さま! きちんと挨拶しないと碌な大人になりませんよ!」
「しまったクレアが居たんだった、いつものノリで挨拶してしまった」
「いらっしゃいませ、トーマさん、エリナさんと、……トーマさんの二人目のお嫁さんですか?」
「そうです! 兄さまの二番目の妻のクレアと申します! よろしくお願いします!」
「トーマさん、今緊急依頼が出ると思いますので少し待っていてもらえますか?」
「婚約だ婚約! ノータッチ! ノータッチ!」
「でもキスはしちゃいました!」
「トーマさんもやはり駆除される側の冒険者だったって事ですね。残念です」
「事故みたいなもんだから!」
「兄さま事故だなんて……あんなに愛し合ったのに」
「お前いい加減にしろよ、婚約期間中ずっと妹って呼ぶぞ」
「ごめんなさい兄さま、ちょっと調子に乗ってしまいました」
「クレアまで毒されてしまった。あんなに可愛くて気立てが良くて、いつも半歩下がって兄さま兄さまと言ってくれたクレアが大好きだったのになー」
「兄さま、私間違っていました!」
「わかってくれたか、俺の可愛いクレア」
「はい兄さま!」
「という訳だ事務員」
「長いです」
「すみません。それで地竜を仕留めたんだけど話聞いてる?」
「はい、伺ってますよロリコンさん。ただ素材の売却ですが、王都でのオークションをお勧めします」
「だからノータッチなんだって。で、オークション?」
「高額素材の牙は全て無事でしたが、頭部損傷に加え、肩に直径四十センチの穴が開いてますので、買取価格が金貨八十枚になってしまうんです。トーマさん達で今季の税率が十%になりますので、金貨七十二枚になります。オークションですとオークション出品手数料が追加で五%かかりますが、スタート価格が金貨百枚スタートですので、そのまま下取りに出すより高額になります。輸送費用は落札者負担ですので必要ありません」
「でもオークションの百枚スタートで入札が無かったら八十枚で買い取りになるのか?」
「いえ、もし百枚で入札が無くても、今回は不成立の場合、百枚で買い取るという打診が来てますので問題ありませんよ。ただしこれから王都まで地竜を運んでからオークション開催の告知をして二週間後に開催するという流れになりますので、現金化は一ヶ月弱掛かりますね」
「一ヶ月待つだけで増えるのならこちらは構わない。というかそんな情報流さないで買い取っちゃって、あとでギルドでオークションに出せばぼろ儲けだろ」
「この場所で一番相応しくない言葉を使うと信用ですね。前にも言いましたが、上層部はトーマさん達に期待しておりますし、オークションの件がバレたら希少な非クズの冒険者を失うことになりますしね。それに今回は特に高額なので、オークションに出さなかった場合に調査が入りますしね」
「間引き依頼を出しておいて信用ってのも凄いよな」
「ですのでここでは相応しくない言葉なんですよ。では手続きしておきますね。それとトーマさん、エリナさん、報酬はオークション次第ですが、討伐依頼自体は完了しましたので、登録証をこちらにお願いします」
おれとエリナは登録証を持ったまま事務員に見せる。
体のどこかが登録証本体か、チェーンにさえ触れていれば情報は表示されたままなので、門などでは首に掛けたまま見せるのだが、ギルドでは銀行処理も毎回行っているためいつものように首から外して事務員に見せる。
事務員はいつもの電卓付きカードリーダーみたいなものを、俺とエリナの登録証にかざすと登録証が光り輝く。
光が収まると登録証の情報が書き換えられていた。
名前:トーマ・クズリュー
年齢:19
血液型:A
職業:ヘタレ勇者
健康状態:良好
レベル:――
体力:100%
魔力:96%
冒険者ランク:B
称号:ヘタレドラゴンスレイヤー
名前:エリナ・クズリュー
年齢:16
血液型:お兄ちゃんと一緒!
職業:お兄ちゃんのお嫁さんです! クレアも一緒で嬉しい!
健康状態:お兄ちゃんが元気になって良かったです!
レベル:40
体力:100%
魔力:95%
冒険者ランク:B
称号:ドラゴンスレイヤー
「なあエリナ、なんでお前の健康状態の所で俺の健康の心配してんの?」
「んーわかんない!」
アホだから深層意識もアホなんかな。
もうそう思おう。




