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地竜討伐依頼


 ご機嫌なエリナと一緒に徴税局に行き、対応に出てきた職員にゴミクズと一緒に依頼書を渡す。

 風縛を解除してゴミクズを床に落とした時に、ゴミクズの首が変な角度で曲がったが、俺もエリナも職員も気にしていない。


 ゴミクズが首から下げてたゲロ塗れの登録証を、職員が嫌そうな顔をしながら確認すると、お疲れさまでしたと依頼書に完了証明のサインを貰ったので、冒険者ギルドに戻る。


 ゴミが減って少しは治安が良くなればいいんだけどな。

 安心してガキんちょ共が外で遊べるようにしないと。



「戻ったぞ」


「丁度査定が終わりましたよトーマさん」



 ゲロは既に掃除されていた。

 ここの事務員は優秀なんだよな、所属してる連中はゴミしか見た事無いけど。

 ついでにサインを貰った依頼書も渡す。



「税金分は差し引いて、ブラックバッファローが金貨二枚と銀貨十五枚、魔石が金貨一枚と銀貨十枚で合計金貨三枚と銀貨二十五枚、追加のゴミの処理代が銀貨四枚ですね。あとこちら、リヤカーは洗浄して折りたたんでおきました」


「おーすごいねお兄ちゃん!」


「これ月一回狩ってれば十分生活できるな。その分孤児院改革を進めるか」


「出来れば毎日狩ってきて欲しいのですけどね」


「異常発生してる間は出来るだけ狩りたいけど、普段はどうなんだ?」


「レア種ですからね、百分の一も居ないと思いますよ。異常発生の期間も原因も不明ですし」


「通常時だと買取価格は上がるのか?」


「異常発生しても狩れる人間がほとんどいませんから今とあまり変わりません。罠などを使って狩る頭も無いのが冒険者ですし」


「ここのクズ以外でも狩る連中はいるんじゃないのか?」


「王都を根拠地にしてる高ランク冒険者でも、ブラックバッファローは美味しい魔物ですけど、異常発生の情報が入ってここに来るまでに異常発生が終わってる場合もありますしね、リスクを背負って来るかというと中々難しいでしょう。せいぜいこの町付近の猟師達が協力して狩るくらいでしょうか」


「なら異常発生中は午前中いっぱいきっちり使って、リヤカーに乗せられなくても魔石だけでも回収した方がいいかな」


「午後は頑なに仕事しないんですね」


「忙しいんだよ飯の準備もあるし。というか狩りより本来は世話の方がメインだしな。ただ色々やるには金が必要なのも確かだし、まあなんとか異常発生中は積極的に狩ってくるよ」


「よろしくおねがいしますね。ブラックバッファローを狩れば冒険者ランクも上がりやすくなりますから」


「ブラックバッファローの血抜きで切る場所だけど、あの位置で価格は下がるのか?」


「ブラックバッファローはタンはそれほど美味しくなく人気が無いので、角さえ確保できれば頭部は無くてもほとんど変わりませんよ。ですのであの位置の切り込みなら減額は全く無い状態で問題無いです」


「わかった。なんとか狩ってくるよ」


「よろしくお願いしますね。異常発生してるブラックバッファローの入荷がほとんど無いというのは流石に問題になってしまうので」


「今の俺達に受けられる美味しい依頼とかあるのか? ブラックバッファローのついでに受けられるようなのがあれば良いんだが」


「今は無いですね。Cランク以上限定依頼でもブラックバッファローを超える効率のいい依頼は、数日掛けて移動するようなものしか無いですし。あ、ランクが関係無いドラゴン討伐ならドラゴンの死体持ち帰りで金貨百枚ですよ。素材が貴重なので魔石だけだと金貨十枚以下になりますが、竜種なのでドラゴンスレイヤーの称号も登録証に表示されますしお勧めですよ」


「罠依頼を勧めるのはやめろ」


「あながち罠でも無いのですけどね。東の荒野をここから半日程歩いた場所にある比較的浅いダンジョンに住み着いているのが最近見つかったんですよ」


「ダンジョンなんか危なすぎて行けるか。怖いし」


「お兄ちゃんのヘタレは治る気配が無いねー」


「お前、ダンジョンなんかで火魔法使ったら酸素消費して死ぬんだぞ。いや魔力で燃えているから酸素は使わないのかな? どっちにしてもわざわざ虎穴に入る必要はない。虎児要らないし、君子危うきに近寄らずだ」


「竜種の中では比較的討伐しやすい地竜なんですよ。もしブラックバッファローの狩りの最中に遭遇したら狩って来てくださいね」


「ダンジョンから出てくるのかよ……怖いこと言うなよ」


「お腹が減ったら出てきますよ。ブラックバッファローが異常発生してますし、ブラックバッファロー目当てに遭遇する可能性はありますね」


「業炎球で倒せるのか?」


「ダメージは与えられると思いますが、飛竜種でもなく亜竜種でもない本物の竜種ですし、上級魔法でも一撃で倒すというのは難しいと思います。地竜は竜種の中でも肌が硬い種類ですので、強力な魔法剣か業物でもない限り刃を通しませんが、魔法を主戦力にしているトーマさん達なら狩れますよ。多分」


「多分とかやめろ。俺達も他の冒険者連中と同じ駆除対象なのかよ」


「お兄ちゃん。業炎球が効かなかったら風魔法の疾風で逃げちゃえばいいよ!」


「お前ほんとにアホなのな、わざわざドラゴンなんかに喧嘩を売る必要なんて無いだろ」


「ぶー」


「地竜の足は馬程度の速度なので、馬よりも高速移動できる魔法が使えれば安全だと思いますよ。ブレスも吐かないですし、もし見かけたら狩ってきてくださいね。近づいたら死ぬと思いますが」


「ようやくまともな情報が出てきた。無論地竜には喧嘩を売らないで、見かけたら疾風使って逃げるだけだけどな」


「お兄ちゃんのヘタレー」


「お前怖いもの知らずもいい加減にした方が良いぞ、金貨百枚って一億円相当だからな、それだけヤバいって事だ。無理だ無理」


「地竜討伐は今日依頼が出たばかりですからね、王都にもまだ情報は行ってませんし早い者勝ちですよ。王都の有力な冒険者やハンターが来るまでにブラックバッファローの異常発生が続いていればこちらも助かるんですけど。軍が討伐に出る可能性もありますが、ダンジョンから動かないようだとある程度戦力を揃えるまでは手を出さないでしょうね。正規兵と言えども、魔法を使える貴族の子弟のみで構成された騎士団は常に定員を割っているほどですから」


「ドラゴンはそいつらに任せるよ、騎士団とやらが居るのならなんとかなるだろ。俺達は東門からあまり離れずにブラックバッファローを狩るだけだ」


「人が増えるかもしれませんので罠の設置には十分気を付けてくださいね」


「わかった、また来るわ」


「はい、お待ちしてますね」



 エリナと冒険者ギルドから出る。


 ドラゴンねー。

 嫌な予感しかしないから、東の荒野で狩りする時は探査魔法で常に警戒せねば。

 逃げるだけなら問題なさそうだしな。


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