リッチーの最後。
「えーと…あんたを倒せば呪いが解けたり…?」
〈…しないな。〉
「ですよねー。」
まぁ、そんな簡単な話では無いよな。
〈何より、我は既に主に倒されておるよ。〉
何処か楽しそうに…何故か嬉しそうに語るリッチー。
その姿はいつの間にか壊れかけの剣から元の人の姿に戻っていた。
しかし、元通りという訳ではなく…既にリッチーの下半身は消えかけていた。
「そっか。あ、そういやあんたの名前聞いてなかったな。」
〈フフフ…今更だな…名を名乗るのも随分と久しぶりだが…我の名はギルモット。昔は「生きた闇」等と呼ばれておったよ。〉
「ギルモットか。うん、覚えたよ。」
二つ名があるって事は、意外と有名だったりしたんだろうか。
等と考えていると、リッチーから声が掛かる。
〈…さて…我はそろそろ逝く。冥土の土産に主の右腕も頂いたしな。〉
「返せよ。」
〈フフ…それは叶わんよ。精精最上位種にやられたと自慢するが良い。〉
「負傷が自慢になるかよ。」
〈ハハハッ!…全く…主と居ると昔を思い出す。もっと早く主と会っていたならば…いや、戯言か。〉
「…ま、あんた…ギルモットって強い奴がいたって位は話してやるさ。」
〈フフ…礼は言わんぞコージよ。…では…然らばだ。〉
「あぁ、じゃあな。」
リッチーは、浩二の別れの言葉に頷くと霞のようにその場から消え失せた。
なんとなく…なんとなくだが、別れ際のリッチーからは悪意や執念みたいなものを感じなかった。
リッチーもゴーストって言うなら、これが成仏って奴なんだろうか。
「ふう~…終わったぁ~っ…!」
浩二はその場で大の字で倒れる。
ミラルダのお陰で回復した三割もスッカラカンに使い果たした。
「コージっ!大丈夫なの?」
「あー…死んでないのが大丈夫って言うなら…大丈夫だ。」
「…それじゃ、立てるのが大丈夫って言うなら?」
「…大丈夫じゃない。」
「全く…ま、死んでないなら良いわ。帰りましょ、皆の所に。」
「あぁ、帰ろう。立てないけど…」
なんとも締まらないけど…とりあえず一段落って事で良いんだよな?
あー…疲れた。
浩二はそこまで考えた後、襲い掛かる睡魔に身を委ねた。
□■□■
白い。
何処までも白い世界。
ここに来るのは二回目だ。
「…いらっしゃい。」
目の前にも白い女性がいる。
真っ白な服を着たご存知自称「女神様」だ。
何処か元気がないように見えるけど…気のせいかな?
「女神様?…何かありました?」
「え?…どうしてだい?」
「何か…元気が無いみたいに見えましたから…」
「…そんなことは無いよ。気にしないでくれ。」
そうは言われてもなぁ…底抜けに明るいのが女神様の取柄だったりするし…
案外酷いことを考える浩二。
そして、色々思案する事数分…いくつかの理由を思い付く。
「もしかして…あの『強奪』の件、まだ気にしてますか?」
浩二の言葉を聞いた女神様の身体がビクッとした。
どうやら一発でヒットしたらしい。
「出来る限り早く取り戻しますから、元気出して下さい。女神様に元気が無いと調子が狂います。」
「…君…ありがとう。でも、少し違うんだ。私が沈んでいる理由は自らの軽い考えで君から離れた事さ。」
「……?」
「フフッ、意味が分からないって顔してるね。…私は君に出逢うまで数十万年ずっと一人でいた。それが当たり前だったから。それが、君に出逢ってからの月日は驚く程に楽しかったんだ。」
何だろう…凄く寂しそうな笑顔だ…
女神様は続ける。
「だからだろうね…勘違いをしていた…君以外の人も大丈夫だと。変わらず楽しいと。それがこのザマさ…完全に失望してしまった。」
「…女神様…アイツは特殊ですよ。リハビリには向いてません。」
「フフッ…リハビリか。確かに刺激は強かったね。本気で死ねば良いのにって思ったよ。」
「まぁ、奴への罰はミラルダさんがキッチリしてくれる筈ですし…何より俺も女神様が居ないと寂しいですよ。だから、頑張って取り戻します。」
「君…君は本当に優しいな。フフッ…待ってるよ。また君と君の仲間達と過ごせる日々をね。」
「はい。必ず。」
「ふう…それじゃ、そろそろ本題に入るかな。」
一呼吸置いた女神は切り出す。
「薄々は気付いているだろうが、今回の戦いで君は種族進化を果たした。」
「あ、やっぱり?」
「目出度く「エルダードワーフ」へとね。ドワーフ種の最上位種だ。」
「…エルダードワーフ…」
「でだ、今回は別にこの場所へと呼び出す必要は無かったんだが…まぁ、そこは察してくれ。」
顔を赤らめ俯きながらバツの悪そうな表情を浮かべてポリポリと頬を掻く仕草をする女神様。
「今回は君が寝込んでる間に呼ばせて貰っただけなんだ。進化による肉体の変化は既に完了している。まぁ、見た目はあまり変わらないから安心していいよ。」
「…見た目は…って事は中身…ステータスは結構変わってたりするんですか…?」
一抹の不安を感じた浩二は素直に聞いてみる。
「んー…どうだろうか?まぁ、間違いなく普通じゃ無くなってるだろうね。」
「…あー…やっぱり?」
前回の事があり、ちょっと怖くなる浩二。
浩二の不安も分からなくはない。
余りにも高いステータスは日常生活に支障が出る事も多いのだ。
「まぁ、その辺りは帰ってから確認してくれ。」
「…はい。」
「フフッ…普通は最上位種なんかになれば狂喜乱舞する所なんだがな。本当に君は変わってるよ。」
「…まぁ、守る力が強くなったのは素直に嬉しいです。…でも、強過ぎる力なんてきっと良い事ばかりじゃないはずですから。」
「確かにね。でも。要は使い方だろう?君ならきっと大丈夫だと信じてるよ。」
「…女神様…ありがとうございます。」
女神様の期待には応えなきゃな、うん。
「さぁ、後は新たなスキルだが…これがまた特殊極まりない物なんだ。」
女神様がここまで言うスキルって…
何だろう…嫌な予感しかしないんだが…
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