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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第三章 勇者と魔王

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限定解除。



気を練り上げながら何か違和感みたいなものを感じ始めた浩二。



(こんなに身体が熱くなった事なんて無かった筈だが…)



今浩二は身体を廻る気の質の変化に戸惑っていた。

今迄も身体に気が廻る感覚は理解出来ていた…が、今はそれとは明らかに違う何かが廻っている。

しかし、違和感とは言っても不都合ではなく…寧ろ今迄よりも遥かに力が漲る感覚さえあった。



(…何があったんだ?…まぁ、いっか。)



相変わらずの楽観主義だが…

浩二は気付いていない。

今のこの現象は少なくとも他人に何かされた訳では無く、浩二自身が気付かずにやった事が好転した事に。


全ての原因は心臓が壊れた際に使った魔核だ。


浩二は自らに魔核を使う際命令した事は唯一つ。


『心臓の代わりにその役割を果たせ。』だ。


命令を受けた魔核はすぐ様壊れた心臓の組織を掻き集め、新たに心臓を作り上げた…自らを融合して。


こうして出来上がった新たなる心臓はその有り余る能力を使い今迄は出来なかったある事を始めた。


『素手の極み』

上位種に種族進化を果たした際に手に入れたスキルだが…

その明らかに馬鹿げた倍率のせいで、上位種の肉体を手に入れたにも関わらず全ての力を使う事に今迄の心臓では耐えられなかった。


しかし、新たな心臓はそれを可能にした。

制限のかかっていた全身を廻る気の質の変化。

簡単に言えば…一度に廻る気が「濃く」なったのだ。


今迄浩二が底無しだった理由もそこにあったりする。

あくまで心臓が耐えられる値での最大値。

いくら物凄い量の生命力を持っていても、出口が小さければ一度に使える量は少ない。

故に減りも少ない。

今迄浩二がやらかして来た事を鑑みて…少ないと言うのもどうかと思うが。


しかし、今は違う。

単純に今迄の倍以上の出力を得たのだ。


するとどうなるか…



「うぉっ!?何だ!?」



三体式の姿勢は崩さずに右腕の輝き具合に驚く浩二。


眩いばかりの白光。

微かに青い光が混じってはいるが明らかに薄く…いや、青い光では無い方が濃くなったのだ。



「…色が…変わった…?」



訳が分からないが、浩二にも一つだけ分かる事があった。

この光はヤバい…と。

今迄とは比べ物にならない事ぐらいは理解した様である。

しかし、より正確に理解したのはリッチーの方だった。



〈…いやはや…この場面で『聖なる光』とは…恐れ入るわ。〉



自らの最大の弱点。

それを見間違う筈も無い。

しかも…時の勇者よりも遥かに高出力。

何より…今の浩二は全力(・・)では無いのだ。



〈…参った…とんでもない男に喧嘩を売ってしまったな…〉



リッチーはやれやれと言わんばかりにため息混じりで呟く。

その一因…と言うか、彼が心臓さえ狙わなければこの結果は生まれなかった訳だが。

所謂自業自得である。


リッチーがそんな事を考えている間も浩二の拳の光は更に輝きを増してゆく。



〈(…では、先手を取らせてもらおうか。)〉



このまま待って居て良いことなど無いと考えたリッチーは先手を取るべく行動に出る。

一振りの剣となった身体に禍々しい瘴気を纏い、己を高速で飛ばし浩二へと突撃した。

そのスピードは凄まじく、瞬く間に浩二の拳に接触する。


浩二も黙って待っていた訳では無い。

最大の威力を出せるタイミングで拳が接触出来る様に恐ろしい程の集中力と瞬発力で見事に合わせてみせた。


浩二の後ろ足が引き付けられ、ズドン!と床を砕く程の勢いと威力で踏みしめられた瞬間、拳から放出されていた眩い光が全て前方へとまるでレーザーの様に射出された。


その威力は訓練所の壁を貫通し外へと飛び出し、城壁すらも貫通して遥か彼方へと消え去った。


残心する浩二。



その右腕は…中程から綺麗に消滅していた。



不思議と痛みは無い。

光の威力に耐えられなかったのだろうか…?


違う。

その答えは浩二の背後で刀身の八割を失い纏わせていた禍々しい瘴気までもすっかり霧散してしまった…リッチーが知っていた。



〈…ぐ…っ…ふはははっ…宣言通り…一矢報いたぞ…〉



多大な代償を支払い、最早いつ砕け散ってもおかしくない状態のリッチーは、苦しみながらも誇らしげに言い放った。


接触する瞬間、異常とも言える程高まる力に危機感を覚えたリッチーは、全ての瘴気を剣の切っ先に集中させた。

更に自らの精神体をも超高圧縮し先端に収束させ、貫く事に全てを賭けた。


予想を遥かに上回るレーザーの様な高威力の光にも何とか耐え、加速する自らの身体に身を委ね…見事浩二の拳を貫き、更に肘手前程まで貫通した後背後へと飛び出した。


この時、リッチーは浩二の腕に置き土産を残していた。



「…腕が無いのに、痛みが無いとか…気持ち悪いな。」


〈…自分の腕が無くなったと言うのに…随分と余裕があるではないか?〉


「そんな事は無いぞ?結構驚いてはいる。…ただ、痛みが無いから実感が湧かないだけかも知れないが…」


〈…痛みが無いのは、我が呪いを施したからだ。〉


「呪い!?」



来たよ呪い!

本当にこの字面好きになれない。



〈…腕が無くなった事より驚いているな。〉


「…呪いに良いイメージが湧かないからだろうな…で?どんな呪いだ?」


〈知りたいか?〉



妙に楽しそうなリッチー。



「教えて下さい。」


〈む…いきなり敬語とは…調子が狂うな。〉


「そりゃどんな呪いか分からないと、これからの生活が大変だろ?」


〈まぁ、勿体ぶっても仕方が無いな。主に掛けた呪いは『再生不可の呪い』よ 。〉


「再生不可…?」



これまた嫌な字面だ。



「…なんとなくだが…理解した。要はどんな回復手段を使っても二度と右腕は再生されないんだな?」


〈大凡はあっておる。右腕の切り口に呪いを施したゆえ二度と右腕は再生されん…と言うより、元々そこには腕が無いことになっておる。故に痛みは生まれん。〉


「…つまりは、俺は最初から右腕が無かった事になる呪いに掛かったって事か…」


〈まぁ、そんな所だ。〉



突然そんな事言われても…と言う感じだが…

参ったな…

読んでいただきありがとうございます。

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