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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第三章 勇者と魔王

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『強奪』祭り(見習い)。


やっと帰って来ると、そこにはぐったりした受け入れ側メンバーと…



「ほらほらほらーっ!どんどんいくよーっ!」


「ちょっ!まっ!蓮っ!マジでっ!うおっ!」



元気に猛をリンチしている蓮の姿があった。


いやぁ…帰って来たなぁ。


微笑ましい光景に頬が緩む。



「あっ!お兄さんお帰りーっ!」


「おう!ただいま。」



荒んでいた気持ちも何処かへ行ったようだ。



「…助かった…お帰り兄貴…」


「おう!ご苦労さん!」


「本当だよ…何だよ蓮のあの弾幕…俺の結界は物理だっつーの。」



別の意味でぐったりしている猛。

蓮は底無しだからなぁ。



「所で…何で二人は組手なんてしてたんだ?」


「あぁ、蓮が暇だから相手しろって。完全に舐めてたわ…少なくともいい勝負は出来ると思ってたのに…」


「蓮はこっちに来てからずっと兵士さんや俺と訓練してたからなぁ。」


「それにあの二人…何なんだよあの回復力…新堂の範囲回復も凄かったけど…小鳥遊は見違えた…『月光』だっけ?アレ…欠損まで回復するのな。」


「あの二人だってずっと訓練所の兵士達を回復しまくってたんだぞ?マナポーションで精神力回復しながら毎日な。」


「自分の置かれてた環境の温さを身に染みて感じたよ…」



少し悔しそうな猛を見て浩二は嬉しくなる。

きっと彼も強くなりたいんだな…と。



「んじゃ、俺と毎日ぶっ倒れるまで訓練するか?嫌でも底力が付くぞ?」


「マジか!?…って兄貴…蓮より強いんじゃ…」


「多分間違いなく強い…筈だ。」


「何が「多分」よ。強いに決まってるじゃない…いつも手加減してる癖に。」


「あ、ソフィア。ただいま。」


「お帰りコージ。で?首尾はどう?」


「バッチリだ。『強奪』を見習いして、結城をぶん殴って来た。」


「殴る必要はあったのかしら?」


「あぁ、アレは殴る。俺じゃなくても殴る。」


「…相当な奴だったのね…その結城っての。」


「何て言うか…色々破綻してるわ。きっと強い力を得て箍が外れたんだと思う。」


「…成程ね。で、どうする?今日は休む?人族の兵士や勇者は心配いらないわよ?コージが送って来た全ての人族は催眠も呪いも解いて回復させたから。今はベッドでスヤスヤよ。」


「そっか。ドルギスさんとミラルダさんは?」


「さっき帰ったわ。あんなだけどそれなりに忙しいのよ?あの二人。」



あの二人にはお世話になりっぱなしだな…今度ちゃんと御礼しなきゃ…



「王女様とスミスさんは?」


「今は人族へと貸与えている棟にいるわ。会いに行く?」


「いや、それよりもやらなくちゃいけない事があるんだ。」


「?」


浩二は『強奪』の詳細を見せなからソフィアに説明を始めた。



□■□■



「よし!今回は成功だ!」


「マジかよ!?何で俺の時は成功するんだよ!」



たった今浩二にスキルを奪われた猛が非難してくる。


昨日は夜も遅い事もあり効率が悪いという事で、朝食後から城中のスキル持ちを当たって片っ端からスキルを奪いまくっている。

当然、ちゃんとその場でスキルを返しているが。

丁度猛で二十人目だ。



「しかも、『物理結界』LV8とか…返すの惜しい気も…」


「え?返してくれるんだよね?」


「よし!次行くか!」


「そうね。」


「おいっ!兄貴!?ソフィアの姉御も「そうね。」じゃねーよ!」


「冗談だよ。ほら。」



浩二は猛の肩をポンと叩き、たった今奪った『物理結界』のスキルを返す。



「あぁ…お帰り俺のスキルっ!」



自分を抱き締めるように悶える猛。



「コージ?今レベルどのぐらい?」


「えーと、見習い5だな。」


「まだまだ先は長いわね…体力と精神力は大丈夫?」


「余裕!」


「なら、次行くわよ。」



浩二とソフィアは次の獲物を求め歩き始めた。


実はこの『強奪(見習い)』は、成功率が低い。

本来の10%の威力…つまり成功率一割なのだ。

しかも…



「成功しないと、経験値入らないってのはキツいな。」


「仕方ないわよ…見習いだもん。」


「まぁ、そうだよな。」



そう。

成功しないとスキルの経験値が入らないのだ。

今まで二十人中成功したのは猛を含めて五人。

スキルのレベルは今の時点で5

つまり、後5回成功させる必要がある。



「ねえコージ?スキルさえ持って居れば、どんなスキルでも構わないのよね?」


「え?あぁ、そうだと思う。」


「なら、メイドの休憩室に行きましょう!」


「メイドさん!?」


「あら?メイドだって立派なスキル持ちよ?『裁縫』『料理』『清掃』中には『毒見』とか『目利き』なんて変わったのも居るのよ?」


「へぇー」


「それにこの城で働くメイド達は必ず何らかのスキルを持っているわ。もっと早く気付けば良かったわね。」



確かに。

この城のメイドの総数は数十どころでは無いんじゃないだろうか。



「ソフィア?城のメイドさんって何人ぐらい居るの?」


「えーと…確か百数十人ぐらいかしら?」


「百!?」


「あのねコージ。この城…一体どれだけ広いと思ってるの?ハッキリ言って数十人じゃ、掃除すらままならないわよ?」


「あー…確かに。」


「兵士よりも圧倒的に多いんだから。兵士はいざとなれば転移陣でいくらでも呼べるしね。」


「成程…」


「ほら、着いたわよ。」



ソフィアが一つの扉を指差す。

思ったよりも普通だ。



「ソフィアよ。入るわね。」



ソフィアはノックをすると返事も待たず扉を開ける。

浩二は嫌な予感がした為、一度様子を伺う。



「あら、着替え中だったのね。ゴメンね?」


「いえいえソフィア様。」



等と扉の中から聞こえてくる。



「……危なかった…」



ラッキースケベなど浩二は望んではいないのだ。

華麗にフラグをへし折った浩二はソフィアに呼ばれ部屋に入る。



「あ、コージ様もいらしたんですか?」



上下下着姿のメイドさん達が綺麗なお辞儀をする。



「まだ着替え中じゃねーかっ!」



慌てて部屋から飛び出す浩二。

きっちりフラグを回収した様だ。



「どうしたのよ!コージ!」


「…ソフィア…こっちではメイドさんって着替え見られても平然としてるんだな…」


「そっちは違うの?」


「…はい。普通の女の子な反応されます。」


「成程ね。ちょっと認識が違うわ。コージは「私のお客様扱い」だから平気なのよ。普通に兵士や一般人相手なら手痛い反撃を食らうはずよ。」


「…恥ずかしいので、普通に服を着てもらって下さい。目の毒です。いや、ある意味眼福ですが。」


「ふふっ、分かったわ。少し待ってて。」



そう言ってソフィアは部屋へと入って行った。


あー、びっくりした。


読んでいただきありがとうございます。

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