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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第三章 勇者と魔王

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人族領脱出作戦。


「で?コージは人族領に何をしに来たんだ?まさか魔道具を渡すだけの為に来たんじゃ無いんだろ?」



義手の手を握ったり開いたりして感触を確かめるようにスミスが問いかけてくる。



「えぇ、スミスさん達は結城の事をどれぐらい知ってます?」


「一応、勇者数名を殺しスキルを奪い、地下牢に残りの勇者を閉じ込めている事位なら分かっているが…」


「成程…こっちの情報とあまり変わりませんね。兵士達はやっぱり催眠で?」


「あぁ、勇者を地下牢へ閉じ込める時にかなりの死傷者が出たが…アイツらは皆結城に操られていた様だ…」



勇者を閉じ込める際に兵士を使ったか…

恐らくは『生贄』も発動済みだろうな…

全て計算尽くか…反吐が出る。



「地下牢には兵士が詰めているんでしょうね…」


「あぁ、逃げられない様に勇者に『半人前』まで付けてな。」


「そう考えると…王女様やスミスさんは良く無事でしたね…」


「本当に偶然だった。この二人が王女の近くに居て、たまたま俺が傍を通りかかっただけだ。だから、近くて安全に籠城出来る此処に逃げ込んだのさ。」



この二人の勇者が王女様の近くに居たのは結城にとっても誤算だったんだろうな。

今の所結城のスキルに盗聴の様なスキルは確認出来ていないが、この場所は大丈夫なんだろうか…



「なぁ、スキルの名前を教えろとは言わない。だから、質問にだけ答えてくれ。」


「なんだ?兄貴。」


「何よ…」



明らかに警戒されてるなぁ…

まぁ、スキルに関しては隠していた方が有利に働く場合が殆どだしな。



「二人のスキルは透視や盗聴を防ぐ事は出来るか?」


「俺のは物理の結界だけだよ。」


「…私が使えるわ。スキル名は教えないけど…今も展開中よ。」


「そうか…安心した。なら、作戦に変更は無しだ。」


「作戦?」


「あぁ、でもその前に君の名前を教えてくれて。俺は岩谷浩二好きに呼んでくれ。」


「…私は…麗子。城ヶ崎麗子(じょうがさきれいこ)よ。呼び捨てで構わないわ。一応歳上みたいだしね。」


「分かった。よろしく麗子。」


「えぇ、よろしく浩二。」



呼び捨てにされた。

まぁ、一向に構わないんだが。



「それで?作戦ってなにをする気なの?」


「勇者と兵士を纏めて魔族領へ飛ばす。」


「はぁ!?何言ってんの!?」


「いや、だから勇者と兵士を…」


「綺麗に言い直さなくて良いわよ!聞きたいのは方法よ!方法っ!」


「あぁ、俺の『転送』で飛ばすよ。俺がここに来たみたいにね。」


「……一体アンタ何者なの…?」



麗子が唖然としながら何とか口にする。



「一応こっちに来る前はしがない社畜だったんだけどね…何の因果かドワーフに…気付いたらハイドワーフですよ…」


「…アンタ…上位種だったの…?」


「スゲーな…流石兄貴だ!」


「まぁ、だから方法はなんとでもなるが…出来たらあんまり目立ちたくない。後、王女様にも了承を得たい。受け入れ側は既に準備済みだ。」



ソフィアが対策済みの筈だ。

呪い対策にドルギス。

催眠対策にミラルダ。

結城が勇者達に何かを仕掛けていても、三人の上位種相手では簡単には行くまい。



「そう言えば…アンタと一緒に居なくなった三人は…」


「彼女達は元気でやってるよ。特に蓮はな。」


「…そっか…良かった。」


「へぇ…そんな顔も出来るんだな。」


「なっ!な、何よっ!変な事言わないでよっ!」


「いや、きっと安心したんだろうなと思ってさ。」



顔を真っ赤にしてアタフタして、今度は眉間に皺を寄せて睨んでくる…真っ赤になったままで。

きっと心配だったんだろうな…この娘も優しい娘だ。



「…貴方は…岩谷さん…ですか?見た目が少し変わった様ですが…」



その時、後ろのドアが開き休んでいた王女が部屋へと入って来た。

どうやら起こしてしまったらしい。

まぁ、これだけ騒げは当然だが…むしろ都合が良い。



「こうして顔を合わせて話すのは初めてですね…初めまして、岩谷浩二と言います。地下牢に居た頃色々と手を回していただいていたようで、ありがとうございました。」


「そんなっ!私なんて何も出来ずに心苦しいばかりで…」


「いいえ。ナオが助かったのも、俺の骨折の治療も王女様の許可があったからだと聞いています。本当にありがとうございました。今度は俺が助ける番です。」


「…助ける?この状況を何とか出来るのですか?」


「はい。その為にここに来ました。」



ハッキリと告げた浩二の言葉にハッとしてスミスの方を見る王女。

目線を合わせたスミスは軽くウインクをする。



「成程…貴方の事だったんですね、スミスが言っていたのは。」


「…えーと…話が見えませんが…?」


「ふふっ、秘密です。」



王女の顔に少し笑顔が戻る。

やっぱり女性は笑っていた方が良い。



「あー…まぁ、と言う事で取り敢えず逃げましょう」


「逃げるとは…?何処へですか?」


「魔族領です。」


「っ!?」


「安心してください。王女様は知らないでしょうが、魔族と言うのはあくまで人族が勝手に付けた肩書きでしかありません。確かに色々な種族の人達が居ますが、皆いい人達です。」


「……本当ですか?それは貴方がドワーフだからでは?」


「いいえ。一緒に行った舞や蓮、栞も勇者にも関わらず他種族と楽しくやっていますよ。これから飛ぶシュレイド城は規模も大きく、勇者と残りの兵士達を全員連れて行っても問題ない広さです。」


「……分かりました。貴方を信じます。」


「ありがとうございます、王女様。これはあくまで結城への対処の為です。事が済めばちゃんとこの城へお送りしますので安心してください。」


「はい。よろしくお願いします。」



スミスが王女の肩に手を置くと王女はスミスの表情を伺う。

彼が笑顔で頷くと安心したのか胸に手を当て息を吐く。



「それじゃ…早速行きましょうか。」



浩二は軽い感じで目の前に六角形のゲートを作り出す。



「さぁ、結城に感づかれる前に。」



スミスはゲートを前に少し怯える王女の手を取り一緒にゲートを潜り、次に勇者の二人。

全員潜ったのを確認した浩二は自らもゲートに飛び込むと、六角形のゲートは静かに空気に溶けた。

読んでいただきありがとうございます。

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