スキル転写ブレスレット。(1)
丁度女の子四人が、ソフィアの部屋で女子会をしていた頃…
浩二はベットに寝転がりながらステータスプレートを見ていた。
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名前 岩谷浩二
年齢 26
種族 ドワーフLV1
職業 人形師 氣法師
筋力 310
頑強 370
器用 300
敏捷 300
魔力 230
スキル
『黄昏の人形師』LV1
『黄昏の傀儡師』LV8
『魔核作成』LV6
『操気術』LV10
『火魔法』LV1
『風魔法』LV1
『転送』LV--
『見様見真似』LV--
『パワースラッシュ(見習い)』LV3
『パワースラスト(見習い)』LV3
『鑑定(見習い)』LV6
『半減の呪い(見習い)』LV1
『剛力「鉱物」(見習い)』LV1
『瞬動(見習い)』LV1
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「ふむ…体術系のスキルを効率よく上げるなら…クッソ重い剣を持って、瞬動しながら、パワースラッシュとパワースラストを打ちまくる…か。」
実に浩二らしい結論が出た。
確に効率という観点から見れば正解なのだが…
普通は体力が保たない。
浩二は普通ではないが。
主にステータス的な意味と精神的な意味で。
「あ!新しい『能力転写』見てなかった!」
すっかり忘れていた浩二は、ステータスプレートの『スキル転写』の文字をタップする。
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『スキル転写』
自らが持つスキルを転写する事が出来る。
ユニークスキル以外なら、本人が使えるスキルであれば全て転写可能。
転写レベルはスキルレベルに依存し、現在のスキルレベル以下のレベルならば転写可能で、既存のスキルとして使用出来るようになる。
ただし、スキルを扱う為に必要な技術が無い場合はその限りでは無い。
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「つまり…さっきみたいに魔道具みたいなゴーレムを作れば…スキルを付与したアクセサリーとかが作れるんだ…」
流石の浩二でも、この能力の特異性は理解出来たようだ。
自分が持っているスキルなら誰でも使えるようになるんだから。
「後は鑑定か…この部屋の物とかも鑑定しまくるか。『鑑定(見習い)』のレベルが最大になれば、一々ステータスプレート出さなくてもステータス確認出来るようになるしな。」
浩二は鑑定のレベルが中途半端な事を思い出し、後は寝るだけなのを良い事に部屋にある物を調べまくった。
ベットやテーブル、ソファーにカーペット、魔道具らしきライトにガラス窓、そして、ドアを調べようとした時に不意にゆっくりとドアが開く。
「ナァーーォ」
「おっ、ナオ。今日はソフィアの所で寝ないのか?」
「ナァーォ」
ナオは返事をする様に一鳴きすると浩二の肩に飛び乗る。
「そっか、んじゃ久しぶりに一緒に寝るか。」
「ナァーーォ」
ベットに座り、膝にナオを乗せ優しく身体を撫でる。
気持ち良さそうに目を細めてゴロゴロと喉を鳴らすナオ。
「あ、そう言えば…」
思い付いたように浩二はナオに鑑定をかけた。
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名前 ナオ
種族 フォーチュンキャット
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「ナオも、普通の猫じゃなくなってたんだ。」
「ナァーォ」
「フォーチュンキャット…『幸せの猫』か…ナオにぴったりだな。」
「ナァーーォ」
ナオは自分の事を撫でていた浩二の手をペロリと舐めた後、立ち上がり身体を浩二に剃り寄せる。
「俺もいつかソフィアみたいにナオと話せたらいいな…」
「ナァーォ…」
少し悲しそうに鳴くと浩二の頬をペロペロと舐め始めた。
「あぁ、ゴメンなナオ。ありがとう。」
「ナァーーォ」
「さぁ、そろそろ寝ようか…」
浩二はベットに横になり腕を伸ばす。
すると、自分の居場所だと言うようにナオがそこに収まる。
「ふふ…おやすみ、ナオ…」
「ナァーーォ」
二人は昔に戻ったように一緒に眠りに落ちた。
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「うっし!始めるかね。」
浩二は朝食後に軽いストレッチと日課を済ませた後、昨日のプラン通りに訓練の準備をする。
もう少しすればソフィアが「クッソ重い剣」を持って来てくれる筈だ。
ソフィアを待つ浩二。
その腕には見慣れない腕輪があった。
シンプルな飾り気のない腕輪に、剥き出しの魔核が一つ淡く青い光を放っている。
朝食を食べた後、浩二は何気にステータスプレートを開いて気が付いた事があった。
「『半減の呪い(見習い)』もレベル上げなきゃな…でも、どうやって…」
今日の訓練で上げるスキルは『パワースラッシュ』『パワースラスト』『剛力「鉱物」』『瞬動』である。
『鑑定』は、訓練中じゃなくても上げられる。
ならば『半減の呪い』はどうするか。
流石に兵士さん達に使う訳にもいかない。
舞や蓮、栞やソフィアなど論外。
ならば…
「自分に掛けるか…」
と言う結論に達した浩二は、今現在懐かしいあの頃…とまでは行かないがステータス及びスキル効果が5%低下中だ。
毎晩倒れる寸前までオリハルコン相手に悪戦苦闘していた事が功を奏したのか、少量でシンプルな物ならばオリハルコンを使い加工出来るようになった。
ソフィアから貰ったオリハルコンを使い、魔核に『半減の呪い(見習い)』を掛けブレスレットにして自らに装着する。
見習いなので、持続時間は精精1~2時間と言った所か。
効果が切れたら掛け直せば良し。
そして、誰にも迷惑がかからない。
「我ながらナイスアイディアだな。」
等と口走っていると、ソフィアが何やら巨大な板状の塊を持って登場した。
後ろには目を丸くしたまま戻らなくなった三人が付いて来ていた。
「コージ!約束の「クッソ重い剣」よ!」
ソフィアは軽々とその巨大な剣をブン回す。
明らかにソフィアよりも大きなその物体は、最早剣ではなかった。
彼女が振るえば重さなど微塵も感じられないが、とんでもない重量だと言う事が足の沈み具合で分かる。
「えーと…ソフィアさん?」
「ん?何?」
「その塊って…一体どれぐらい重いの?」
「んー…30トンぐらい?」
「試しに持ってみるわ…」
「おーっ!お兄さん!チャレンジャーだねっ!」
蓮の言う通り、これはチャレンジだ。
見習いが10%の威力なら、この剣は実質27トンと言うことになる。
「はい、どうぞ!」
ソフィアはその剣を空中に放り投げ、半回転させると器用に刃の部分を掴みグリップを浩二に差し出す。
「では…参ります。」
改まって変な口調になりながらグリップを両手で握る。
下腹に力を入れ、気付くと身体は三体式の形になっていた。
「離すわよ?」
「…頼む。」
ソフィアが手を離した瞬間、物凄い重量が浩二の身体にかかる。
「ぐあっ…これ…は…出来るかぁーーっ!!」
剣から手を離した浩二は叫んだ。
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