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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第四章 新しい種族と新しい魔王

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変人二人。


「さぁ!後は非常識な二人を倒すだけよ!」


「ですね。蓮!もう獄炎弾は無しよ!かえって二人の姿が見ずらいわ。」


「りょーかいだよ!ここからは弾幕だねっ!」


「ミラルダも本気を…って!ミラルダ!?」



声を掛けたシルビアがミラルダの姿を見て仰天する。


力無く地面に倒れ込み、口元に浩二謹製の生命力の魔核だけが何事も無かったかの様に光を放っている。

多少ミラルダの唾液で濡れてはいるが。



「ミラルダっ!どうしたのよ!?」


「あー…多分心配無いっスよ?…ほら。」



猛にそう言われたシルビアがミラルダの顔をのぞき込み…ため息を一つ。



「ミラルダさん…大丈夫でした?」


「……幸せそうに失神してたわ…」



戻って来たシルビアは額を押さえながら疲れた顔でそう答えた。



「は?」



そう。

ミラルダは浩二の生命力を吸い過ぎて失神していたのだ。


丁度シュナイダーに風の手を振りほどかれた直後、新たに風の手を作り出そうとしたミラルダは口の中の魔核から少し…ほんの少しだけ生命力を吸い取った。

次の瞬間、ミラルダの全身に甘い電撃が走る。


「はぁ~~……んっっ!!」と相変わらずヤバ気な声を上げ自らを強く抱き締めたまま猛が見ている前で崩れ落ちビクビクと痙攣を始めた。

それはもう幸せそうな恍惚とした表情で。



「全くっ!コージの生命力を甘く見るからよ!…ミラルダはもう使えないわ!三人でやるわよ!」


「…分かりました。」


「いつでも行けるよーっ!」



ひょんな事から脱落者が出た砲台側。

ミラルダが倒れる一部始終を見ていた浩二は乾いた笑いを漏らしていた。



「ミラルダさん…相変わらずだなぁ…」



しかし、あの風の手が無くなっただけでもかなりのアドバンテージだ。

でも油断は出来ない。

恐らくシルビアの引き出しはまだまだある筈なのだ。



「ナオ!気合い入れろよ…多分ここからが本番だからな!」


「うん!頑張る!」



二人は改めて気合を入れ直す。


直後、目の前に迫る青い火の玉と鋭い氷の針で出来た壁。

その数もさる事ながら、範囲も凄まじい。

その範囲は、ほぼ的陣営の半分をカバーしていた。



「ナオ!散るぞ!」


「うん!」



そう叫ぶ前から既に範囲外へと離脱していた二人。

この二人とて、今迄本気だった訳では無いのだ。



「くっ!相変わらず変態的な速さねっ!蓮っ!」


「分かってるよっ!」



二人が声を掛け合うと同時に1枚の壁だった物が浩二とナオを追うように二つに割れ背後から迫る。



「おお!」



素直に感動する浩二。

魔法の弾幕で出来た壁がまるで生き物のように追ってくる姿に思わず声を上げる。

完全に分断された二人はそれぞれが危なげなく追ってくる壁を躱す。

左右に、後ろに。

そして、唐突に終わりが来る。



「あ、ヤバ…」


「あっ!」



浩二の目の前にそそり立つ壁…城壁だ。

上手く避けているつもりが見事に壁際へと追い詰められたのだ。


丁度反対側でも同じ事態が起きているらしく、ナオの焦る声が聞こえてくる。

計算高い麗子が相手ならともかく、ナオの相手は蓮だ。

あの蓮だ。

恐らくは麗子の入れ知恵だろうが…それでも相当努力したに違いない。


ならば…


更に上を見せてあげるのが思い遣りだ。



「ナオっ!」


「うんっ!」



ナオの名を呼ぶ浩二。

それだけで理解するナオ。


二人は城壁を蹴ると、ナオは火の玉の、浩二は針の壁目掛け突撃する。

両手に赤い光を纏わせ壁を裂き身体をねじ込む。


ここまでは当然向こうの計算通りだろう。

逃げ道は壁を抜ける他無いのだから。

だから、敢えて二人は壁を抜けた。


そして、抜けた先には又もや火の玉と針の壁。


それを目の前にした瞬間、二人の姿が消えた。



「シルビアさん!まだですか!」



何やら麗子がシルビアに向かい叫ぶ。

何か手違いが起きたらしい。



「準備はとっくに終わってるわ!…でも…気配察知に引っ掛かる範囲が広過ぎるわ!」



シルビアは目に頼らず、気配察知のスキルを使い二人の位置を把握していた。

壁に追い詰め、その壁を抜けた瞬間に溜めに溜めた魔法を範囲で放つ筈だった。

しかし、絶好のタイミングで魔法を放とうとした瞬間、二人の気配が複数に増えたのだ。

その範囲はシルビアの予想を超える範囲となり、最早位置を絞り込み特定する事は困難となった。


理由は簡単。

気配察知のスキルでは役に立たないのだ。

正確には、スキルが送ってくる位置情報の隙間が限りなく狭くなり、どの気配が現在の二人の位置なのかが把握出来なくなってしまったのだ。


今シルビアの頭の中に見える二人の位置は…的の陣営ほぼ全域。

殆ど隙間無く縦横無人に高速移動をしていると考えられる。


しかも、平面では無く立体的に。



「…仕方ないわね…ちょとキツいけど…やるしか無いわっ!」



シルビアは覚悟を決めた。


こうなっては仕方が無い。


範囲を絞るのは諦めた!


範囲を絞れないならば…


全域に魔法を放つのみ!



「シルビアさん!?」



シルビアの魔力が増大する気配を感じた麗子が慌てて声を掛ける。



「作戦に変更は無しよ!二人の動きが鈍ったらすかさず仕留めてっ!」


「…分かりました!」


「りょーかいっ!」



蓮と麗子は最速の狙撃をすべく準備を始める。



「いくわよっ!」



額に汗を垂らしながらシルビアが叫ぶ。



「グラビティゾーンッ!!」



シルビアの放った漆黒の球体が的陣営のほぼ中央に着弾した瞬間、陣営全ての範囲の地面が黒く輝く。

同時に地響きを伴い地面が数十cm沈む。



「きゃっ!」


「うぉっ!?」



それと同時に今迄姿がまるで捉えられなかった二人の姿が霞のように現れる。



「今よ…っ!」



魔法の維持が相当キツいのだろう、苦しそうに…それでも力一杯叫ぶ。



「浩二っ!ごめんっ!」



ナオがそう口にして爆炎に消える。



「やったぁ!」


「ナオっ!」


「アンタもナオの心配なんて余裕ぶってんじゃないわよっ!」



精神力を練に練り、渾身の力を込めた一本のアイスニードル。

今現在麗子にとっての最速で放った必殺の一撃。


しかし、そのアイスニードルは…浩二には当たらず空を切った。


再び浩二が姿を消したからだ。



「ナオ!アウトよ!…そして、ゲーム終了!」



ソフィアがナオのアウトを告げると同時にゲームは終了となった。

読んでいただきありがとうございます。

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