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ディストピア 女だけのタワー  作者: 赤城奈津子
19/20

タワー前夜6

男性にとって不快な内容が含まれている可能性があります。男性の方がこの小説を閲覧されて、気分を害されても、当方は一切責任を負いかねます。

本作品は純粋な空想科学小説です。フィクションであり、実在する人物団体名とは一切関係ありません。また本作品に描かれている科学技術のほとんどがフィクションであり、現実に可能になっているものではありません。将来可能になるかどうかは現在の時点では言及できるものではありませんが、いくつかは紹介、実用化してほしいと作者は切に願っております。


「あいつら、何をしでかしたんだ」

 先端科学技術研究所の所長は怒気をはらんだ呪詛をはいた。女性たちが出て行ってから一年半もたたない間に、赤城達の会社は日本中で、知らぬ者はいない大企業になっていた。

「あの電池は何だ」

 運悪く正面にいた出川がしどろもどろに答えた。

「窒素酸化物の一種だそうです」

 いろいろ研究したが、そこまでは誰もが到達できる。化合物の分子解析で、含まれるものは特定できる。窒素と酸素、炭素と水素。これだけ。宇宙でもありふれた原子だ。それの化合物、ただその合成法がわからない。

「そんなことはわかってるさ。その合成法がわからないんだよ。おい、お前は探れんのか」

 中川が詰め寄られた。彼は自分の女をスパイとして送り込んでいると豪語していた色男だ。

「なんでも、バクテリアが創り出しているってことらしいのですが」

「どんなバクテリアだ」

「そこまでは、あいつの専門じゃないので、そこまではたどり着けないらしくって」

 というより、中川にしても、バイオ電池を馬鹿にして、そこまで自分の女に探ってこいとは言っていなかったのだ。あれよあれよという間にバイオ電池は日本のエネルギーの根幹に取って代わり、巨大企業だった電力大手が政府に泣きついて生きながらえている。それももはや風前の灯火なのは明らかだ。

「だったら、女に、あいつらが何をしているか、探らせろ。バクテリアを盗んでこさせろ」

 日本の英知の最高峰と言われている科学技術研究所の重鎮たちが、口をそろえて違法な要求をする。

「あいつらの電池の製法を暴かなければ。政府からも、あれ以上の電池を作れと矢の催促だ。俺たちの技術であいつらの電池を創り出すんだ」

「そうですよ。女なんかにエネルギーを任せられるはずがない。俺たちが管理しなきゃ」

「どうやって」

 出川が投げやりに言う。

「中川、おい、さっきバクテリアって言ったな。そいつは赤城の専門じゃないか。あいつはうちのバクテリアに何かしてそんな窒素酸化物を作る特別な奴を創り出したんだ。そいつはうちの研究所のもんだ。うちのバクテリアを持ち出して勝手に使いやがったんだ」

 勝手に所長が決めつけて盛り上がる。泥棒だのと罵詈雑言で口汚くののしり、呪い殺さんばかりだった。

 赤城の使ったバクテリアは彼女が個人的に採取したものだったが、研究所の人間が知る由もない。だいたい研究所のサンプルを持ち出すことはできないセキュリティ対策が厳重にとられているのだ。それは誰もが知っているはずなのに、怒りに我を忘れていた。

「研究所の中のサンプルの中に、そのバクテリアがあるに違いない」

「え、たとえ、そのバクテリアが特定できたとして、どうやってそんな窒素酸化物を作らせるんですか。きっと特殊な条件とか、与える物質が特別なものだったりするんでしょう。簡単に解き明かせるなんて思いませんが」

 バクテリアの性質は簡単に解き明かせない。遺伝子解析も進んではいるが、条件が違う環境では全く別の形態を見せるのだ。

「出川、お前の専門もバクテリアだろう。だったら、お前が調べろ。研究費は国に掛け合ってやる。研究チームを組めばいい。研究所の総力を挙げてその窒素酸化物の生成方法を突き止めるんだ」

 言われた出川は呼吸困難になってあえぐように反論した。

「どうやって、どのバクテリアかもわからないのに」

「研究所にあるすべてのサンプルを調べるんだ。絶対にあの化合物を生み出すものがあるはずだ」

 断定だ。出川は逃げ出したかった。一介の研究員がチームを組んで何をすればいいのだ。赤城奈津子の研究の様子はよく知っていた。明晰な頭脳、人にできない発想、正確な実験、何より知見の幅が段違いだ。出川は何度か一緒のテーマで研究したことがあったが、ただの補助すらできなかった。

 研究所では女は研究なんかできないくずだと皆が言う。でもそんなことが間違いだと、赤城を知れば思い知らされる。ほかの女性研究者にも有能な人間が多くいた。そんな女性たちに喧嘩を吹っ掛けるような真似が出川にはできない。実際、ちょっと冷静に考えれば、自分たちが追い出したも同然なのだ。それを認めず、相手の功績をののしり、あまつさえその技術を盗もうとしている。

「大丈夫だよ。俺が女を使って探りを入れてやるさ」

 二枚目の同僚中川の励ましが、むしろ重荷になっていた。


稚拙な文章ですが閲覧していただきありがとうございます。なるたけ時間をおかずに続きを掲載したいと思います。次の掲載をぜひ閲覧のほど、お願い申し上げます。

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