前世
私の前世は、一般家庭の長女として生まれた。
名前は、真田瑠璃。ちょっと変わった名前だと思う。
両親は共働きで、小さい頃一緒に遊んだ記憶があまりない。
でも、私はどちらかというと静かに本が読みたかったので、そこまで悲しいとも思わなかった。
そんな日々を送って3年たったある日のこと、お母さんが子供を産んだ。
あ、不倫とかそういうのじゃなくて、きちんとお父さんとの営みを毎晩やっていたということは知っていたので、ちゃんと私とも血の繋がりはあります。
生まれてきた子供はとても小さくて可愛くて、もう家族みんなメロメロ♡ちなみに元気な男の子で健太という名前にしたよう。
可愛い男の子が生まれたからか、私のお母さんは会社を退職し、(まあ十分な歳ということもあり)主婦となった。
それからは、もう毎日が大忙し。
家ではいつでもどたばた音がして、煩いったらありゃしない。
お母さんは家事全般がとにかくダメだったので、私が毎晩晩ご飯や家の片づけなどを、親が仕事に行っている間に勝手にやっていたが、
「今まで瑠璃には大変な思いをさせていたから、今度からは私が全部やるから、そこで本読みながら部屋でゆっくりしててね。ママ、頑張るよー!」
と意気込んでいた。
だが、一つ一つがなかなか終わらない。
料理が特にひどく、いつも出来上がるものは焦げていて食べられるような代物ではなかった。
だから、私がお母さんに少しずつ教えて、1年で何とか全てを一般家庭並みにはグレードアップさせるととても喜んでくれたので私も凄く嬉しくなり、万歳をしたことはいい思い出だ。
それからは健ちゃんといちゃいちゃしたり、本を読んであげたり、勉強も教えてあげたりと結構色んなことを自分の余った時間にやった。
だから私が高校生になったときには、もう立派なシスコンが出来上がってしまっていた。
いや、別に、ワタシワルクナイヨ?
カワイスギル健ちゃんがワルイノダヨ。
・・・そうだよね?
まあ、そんなことはいいんだよ、うん。
でも本当に健ちゃんは可愛い、中学生になった今でも。
この前なんかは、友達を家に呼んできたとき、健ちゃんを見た瞬間、
「なにこの子!?瑠璃の弟にしては可愛すぎない?マジで。本当に姉弟なの?」
と疑われてしまった。