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夢を映す令嬢と運命の予知夢―ヘルバフォリア王国物語  作者: 天麻いち


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0. プロローグ


「……っ!」

 

 飛び起きると、目の前は真っ暗だった。

 自分の荒い吐息だけが響く。つーっと流れた嫌な汗に身震いをして、手さぐりで灯りをつけると、ぼうっと小さな灯りがだだっ広い部屋を浮かび上がらせた。

 私はゆっくりと寝台から降りて、見つけたタオルで身体をぬぐう。さっぱりしても、拭いきれない違和感が胸の奥に渦巻いていた。


 カーテンを少し開けて窓の外を覗くと、いくつかの灯りが揺らめいているのが見えた。それはどこか違う世界のもののようで、なぜか少しうらやましく思えた。

 ぼうっと景色を見ていたが、はっと我に返り寝台に戻る。

 明日は早い。寝なければ。


 再び目を閉じたが、どうしても悪夢の内容は思い出せなかった。




***




「……っ!」


 飛び起きると、目の前は真っ暗だった。

 荒い吐息だけが響く。嫌な汗が背を流れる。

 寝台に腰かけたままゆっくりと深呼吸をして心を落ち着かせる。徐々に暗闇に目が慣れてきた。


「リア、大丈夫?」


 その声に首を回すと、親友のサリーが心配そうにこちらをうかがっていた。起こしてしまったらしい。

 私は笑顔を作ってこたえる。


「ごめん。大丈夫」


 よくあることだ。それをわかっているサリーも、頷いてそれ以上の言葉はかけてこなかった。

 寝台に横たわると、カーテンの隙間から光が見えた。王都西の繁華街の灯りだろう。チラチラと瞬くその光を遮るようにカーテンを引っ張り、窓に背を向けて横になった。

 明日は早いしそろそろ寝ないと。


 再び目を閉じたけれど、瞼の裏にこびりついた夢の光景は、しばらく消えなかった。


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