潜る前にカード強化
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謙信とアリアに加えてウォーサイトも一緒にガイアスダンジョンに潜る事となった。
現在は早朝で出発するのは昼前頃なので、もうしばらく時間がある。
そのうちに謙信はサフィに聞いた『カード使い』の能力を自室で試してみる事にした。
『はーい!! お久しぶりです。お茶の間の皆様。実況はサフィです。今日は新たな能力の説明、そして後でダンジョンに潜る予定となっておりまーーーす!! 乞うご期待!! スペシャルゲストはこちらアリアたんです』
:いや久しぶりではないなw
:実況キターーーーー!!
:アリアたんきた!これで勝つる!
:かなり早い
:わし、また見るぞい
:今日潜って5日後大丈夫かな?
:アリアちゃんマジ天使
:わしさん、いつも見てんな
早速、コメントが書き込まれ始めたので謙信も何か言わねばと緊張しつつ口を開く。
「おはようございます。画面の前の皆さん。カオス化から復活した武田謙信です。き、今日もよろしくぅ!!」
「えっと、おはようございまーす! ゲストのアリアです!」
:キャラ作ってて草なんだ
:キャラ変わってて草
:アリアの生トークやんけ
:カオス化してたんですね。後で見ます!
:無理にしゃべらないでええんやで?
:なるほどカオス化の影響は大きいな
:何それこわい
:今回は可愛らしい娘さんがいるな
随分な言われ様に少し傷つきながらも謙信は微笑みを絶やす事はなかった。
所謂、営業スマイルと言う奴である。
『ではまず【カードショップ】の品ぞろえを確認してみましょう。これは謙信様の能力が生み出すショップで架空の存在です。実在の団体とは一切関係ありません。謙信様、どうぞ』
「はい。では【カードショップ】」
能力を発動すると半透明のボードにカードショップと書かれたお店のようなグラフィックが現れたが、これで一体どうしろとと謙信が戸惑っていると、すかさずサフィが解説する。
『これが! これこそが架空のカードショップ! ここをタップして下さい。あ、別に念じるだけでもいいですが』
そのグラフィックはドット絵で描かれたような昔ながらの懐かしいものだ。
思わず中古で買ったスーパーファミコンを思い出す謙信。
「おーなんか懐かしいな。昔を想い出すぜ」
「もっと実際のお店みたいにならなかったんですか?」
『ええ、実在のお店や団体などとは関係ありませんので』
:アリアちゃん厳しいやん
:ドット絵とか草なんだ
:これは開発陣の怠慢ですよ!
:サフィたんはやけに強調するな
:辛辣で大草原
:ドット絵ってなんだ?
:ショップはよはよ
すぐに謙信がカードショップに入るように念じるとグラフィックが切り替わり厳ついおじさんが映し出される。
ゲーム風の画面で下段にはおじさんの言葉が記載されていた。
「ここはカードショップだ。見ていってくれよな!」と。
そしてカードの一覧がボードに表示される。
:ゲームやんけ
:RPGか!
:これもう分かんねぇな
:これって『襲う』ってコマンドねーの?
:ほう。カードが買えるのか
:それなんてドカポン?
:これってカード使い専用のカードだけだよね?
謙信とアリアが金額に目を通していくのだが、明らかに顔色が悪くなっていく。
「け、謙信さん、これって……」
「ああ、すげぇ高いな」
カード1枚に対して金貨が数枚とかザラであり、中には銀貨や銅貨のものもあるものの決して安いものとは思えない。
こんなもん誰が買うんだよと思いつつ、買うのも使うのも俺かと考え直す謙信。
『あれ? なんだかお高いですね……もしかしたら使用できるのが謙信様だけなので吹っかけられてるのかも知れません』
「ええ………」
:ドロップで集めた方が効率が良い件
:相場は分からないけど高いのは分かったぞ
:吹っ掛けるとか舐められてるぞ!
:まぁ普通は買わんわな
:襲えよ謙信、オラァ!!
:死に能力で草
:今日もにこにこ現金払いです
「はい。無理。こんなん買えたもんじゃねーよ。お金がいくらあっても足りん」
「ですよね。ダンジョンなら殴れば落ちてきますし」
謙信がアリアの何気ない発言に戦慄を抱く。
これが素で言っているのなら彼女は傑物だと言えよう。
予想した通りコメント欄が加速する。
:なwwぐwwれwwばww落ちるとかww
:流石の物理聖女
:ホンマに聖女なんか不安しかない
:殴られたい
:最近ますます脳筋になったな
:これは名言やで?
:俺達も殴られたら何か落とすのかな……
『【カードショップ】は不評のようですね。これは相談案件……っと。ラフィーナ様に報告です。あっ……』
相変わらず思わせぶりな事を言うサフィに謙信はため息を吐いた。
普段はできる天使なのだが、時々何か失言するからな。
と言うか、ここまでくると態となんじゃないか?
そう疑ってしまう謙信である。
:あっ
:あっ
:あっ
:【悲報】サフィちゃんまたもややらかす
:やっぱ製作陣は神か
:ラフィーナって誰だっけ?
『まぁ、それは置いといて、と。【カードトレード】を見てみましょう。これは魔物との戦闘で貯まるTPによってカードを落札したり交換したりできる能力です。これは期待できますね!』
流石はサフィと言ったところだ。
一言で全てを無かった事にする天使。
しかも全世界1000万超の前で、である。
謙信が能力を発動すると、すぐにカードの一覧がボードに表示されていく。
「ほーあの特殊ポイントか。戦ってれば貯まるポイントだし【カードショップ】よりは使えそうではあるな」
「それでも凄そうなカードはポイント高いですね」
『これはテラーズの探索者が拾ったドロップ品をアップロードしているんですね。ただ価値が定まっていないので結構な価格差が見られます。それにTPは貨幣に変えられるので皆積極的に出品しているのでしょう』
持っていてもどうしようもないものなら売るしかない。
だが相場価格が高い上、買うのが『カード使い』の謙信しかいない状況の中でカードを売りに出しても売れる保証などない。
そこでトレード、主に出品する者が多いのだろう。
TPに変えられて出品者もお得だし。
「あっ! 謙信さん謙信さん、【SSR・剣王アルトリア】が出品されてますよ! しかも結構安くないですか?」
じっとボードを眺めていたアリアが気付いて喜び勇んで謙信に伝えた。
「んーでももう人材としている訳だしな。複数存在するのか? これってどうなんだ?」
『人材は1体のみです。最初に召喚した者が所有権を保有しますので、剣王アルトリアのマスターは謙信様と言う事になります。後の【カード進化】で使用するために落札しておきましょう』
まぁ全世界で『カード使い』なのは……もういいや。
そう言う事なら特に異論はない。
まずは何ができるかを十分に理解しておく必要がある。
取り敢えずポチっとなと押さずに念じると落札されたようでカードが謙信の目の前に突如として現れた。ステータスを確認するが、TPもちゃんと減っているようだ。
:アルトリアちゃんが何人もいなくて良かった
:同じ人材で戦うのはな。せめてグラの色が変わればアレだ
:わし、アルトリアちゃんのファン。
:流石の人材もそこらじゅうで契約できないか
:それにしても出品数が多いな。それだけドロップ率が高いのか
:ふーん。結構重複カードもあるって事ね
『ではお次行ってみましょーーー!! 【カード強化合成】!! これは召喚獣、魔物、武器、魔法、アイテムなどのランクを上げる事ができます。位階はⅠ~Ⅹまで。ランクアップのためには同一カード、もしくは強化カードが必要になります』
「おー同じ武器とか魔法でも攻撃力が上がるって事か。とっておきの時に切り札として使えるな。まぁ引けないと意味ないけど……」
謙信は手持ちのカードの中から強化したい物を探し始める。
【剣の才能Ⅳ】がある以上、やはり剣を強化すべきかと思い手当たり次第に見ていくのだが、如何せん枚数が多い。
「いいな~私もモーニングスターを強化できればもっと殴れるのに……」
何だか切ない表情で、いじらしい事を言っているようだが、謙信はもう騙されない。
アリアの武器を強化したら狂化して凶かな?
『謙信様、ここは【SR・神秘の剣Ⅱ】に強化カードを使用しましょう』
「えー把握してるんかーい! 早く言ってくれよなー」
『さぁさぁ!! ではやってみましょう!! 対象のカードを浮かべて『強化』と言えば発動します。これも確率変動付きですのでご注意を。さぁ皆さんご一緒にーーーーー!! 強化!!』
:強化
:強化
:強化
:強化
:強化
:強化
:しかしこのサフィ、ノリノリである
成功確率は25%。
謙信は自分の運ならいけると強く願った。
強い思いは強い引きを生む。
何かを手繰り寄せる力があるのだ。
「強化」
その瞬間――2枚のカードが重なり銀色に輝く。
周囲が眩いばかりの神々しい光に包まれて一切の視界が利かなくなってしまった。やがて光が治まるとそこには1枚のカードがふよふよと漂うのみ。
『おおおおおおお!! 強化成功!! 謙信様は今日も違うぜ! 25%ぉ……? そんなもの、俺にとっては100%のようなものだぁぁぁぁぁぁ!!』
謙信が心にも思ってもいない事を平然と言ってのける。
やっぱりサフィはサフィだぜ。
そう思いつつ、浮かんでいるカードを手に取ると見事に【SR・神秘の剣Ⅱ】のランクが上がり【SR・神秘の剣Ⅲ】へ変化していた。
:うおおおおおおお!
:太陽拳!!
:今回のエフェクトは強烈だな。眩しくて見えんかった
:どれだけ強くなるのか見てみたいものだ
:100%おおおおおおお
:わしは武器は専門外じゃからのう……
:戸愚呂さんチィーッス!
「やりましたねっ! 謙信さん! SRの武器ですよ! 私とお揃いですよ!」
「ふっ才能があり過ぎて自分が怖くなるぜ。アリアのモーニングスターもその内、強化してやろうではないか。ふははははは!」
かつて1%の確率を2回連続で引き当てた謙信である。
25%程度が当てられない訳がないだろと調子に乗って高笑いを始めた。
『えーでは次に行ってみましょう。次はーーーーじゃーーーん!! 【カード進化】の能力でーーーす!! これは人材の価値を上げる事ができ、基礎ステータス、補正値が大幅に上昇し格段に強くなります。これで心強い味方が増える事でしょう。進化には同一カードが必要なので先程トレードで落札した【SSR・剣王アルトリア】を使用しましょう』
:おい。謙信が無視されてんぞ
:謙信が調子にのっているみたいだな
:サフィちゃん鬼畜の所業
:ここまで全部成功か。次もいけそうだな
:スルーされてて草
:もう(サフィちゃんだけで)いいじゃん
:あれより強くなるのか。本当に人材は有能だ
サフィが冷たいし、突っ込み役は放棄しているしで謙信は少し寂しさを覚えたが、実況中の彼女は活き活きしているのでしょうがないかとも思う。
何が彼女を実況に駆り立てるのかは不明だが、趣味と言うのは大事だしなと納得する。
謙信の目の前に大元の【SSR・剣王アルトリア】と先程落札した同一の【SSR・剣王アルトリア】が浮かんでいる。
『さーーーて、SSRからURへのランクアップの確率は3%!! まーた謙信様の幸運値が火を噴くのか!? それは神しか分からなーーーい!! さぁ行くぞ!! 謙信! アルトリアの命運は貴様にかかっているぅぅぅぅぅぅ!!』
「謙信さん、ファイト!です!」
「えげつねーな……3%かよ」
流石の謙信もここまで来たら駄女神――ラフィーナの運に頼る外ないと神に祈る。
何度もトレードで落札できるとも限らないし、出品さえないかも知れない。
それにダンジョンでカードが意外と発見できるとは言え、SSRはやはり名前の通り超スーパーレアなのだ。
「よーし!! 頼む! マジでこい! 強化!!」
2枚のカードが重なり合い、宿の床に魔法陣が出現する。
そこからボウッと半透明のアルトリアが姿を見せたかと思うと、軽く微笑んだ気がした。光の粒子に包み込まれた彼女は、自らも粒子となって消える。
『カード進化に成功しました。【SSR・剣王アルトリア】が【UR・剣王アルトリア】にランクアップします……ってマジかーーーーーーーーー!! どんだけ運がいいんだテメーはよぉ!! 3%だぞ? さんぱー? にぱーじゃねーんだぞ!ってそれ梨花ちゃんやんけ!!』
:脅威のwww
:豪運すぎて笑えない
:古手梨花wwww
:神にでも魅入られてるんじゃないのか?
:ひぐらしプレイしてて草
:頼もしい味方ができたな!
:大 草 原
:わし、絶頂
:後戻りはもうできない
謙信もかなり驚いていた。
あの駄女神の加護は本物なのかも知れない。
そう思ってステータスを確認した謙信はまたもや驚かされることなった。
【美女神の加護Ⅰ】が【美女神の加護Ⅱ】にランクアップし、幸運値も+3000から+6000に上がっていた。
「女神様様じゃねーか。今度、礼でも言っとくか」
「やりましたね謙信さん!! URですよ、UR!!」
興奮した様子で瞳を輝かせたアリアが謙信に抱きついた。
凄いテンションの上がり様である。
賭博をする奴の気持ちが理解できたような気がする謙信であった。
:アリアちゃん、アイマスでも見てんのかwww
:あぁ~心が絶頂するんじゃ~
:てんかいさんがいる動画配信はここですか?
:URかーURって出ないんだよなー
:プロデューサーさん!!やりましたね!!
:本当にうらやましいのだが……
:ぷろでゅーさーって何だ?
:カード使いになりたい
『と! 言う訳で今回の生配信はここまでーーーーー!! この後すぐにダンジョンに潜りますのでまた生配信するから見ってねーーーーー!! ではさようなら!』
「さようなら~以上、アリアでした~」
「ダンジョンで会おうぜ。また見てくれよなー!! 見てくれないと俺が酷い目に遭うんだからな……たぶん……」
最後は全員がハイテンションの状態で動画配信は無事終了した。
ただし謙信を除く。
ありがとうございました。
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