西暦2053年第3次世界大戦
「私たちは、第3次世界大戦の数少ない生き残り、東京の地下深くに作られた実験都市、アルメディアにたまたま試験的に住んでいたから、世界中に降り注いだ核爆弾の影響を受けなかっただけ、地上にいた人たちは、一瞬で灰になってしまった。そう、2053年8月3日、世界は核ミサイルを発射する。そして人類の5分の1を残して世界は滅んだの。」
それはあまりに衝撃的な発言だった。人類はやはり自分で自分を抹殺する過ちを犯したのだ。
アニメや映画、近未来を破滅的に描いた作品は数多くあったが、まさか本当にそんな未来が訪れるなんて、
俺はもうなんとリアクションしたらいいのか、まるでわからなかった。
本当にそんな未来が来るのか?
俺は完全に思考停止していた。
「私たちは、こんな未来を何とか変える事が出来ないのか、
もう済んでしまった歴史を変える方法は無いのか?
必死に考えた。
幸いにもアルメディアには、最先端のテクノロジーで出来た量子コンピュータがあったの。そして、あらゆるデータをインプットして、この現実をなんとか出来る可能性を1つ導き出せた、、、、それがアルティメット計画、第二次世界大戦への介入よ。
第二次世界大戦は明らかな歴史の分岐点になってる。
すべてが大きく狂い始めるきっかけだという事を私たちの量子コンピュータは導き出した、日本に核兵器が落とされた事は、歴史で学んだけれど、それが人類が核を使う事への躊躇いを無くしてしまったのね。
だから、未来を変える一つ目は、日本に核を落とさせない事。その為には日本はこの戦争に負けてはならないのよ。
そして、それが出来るたったひとつの可能性、零戦にスーパーテクノロジーを与え、戦況を大きく変えること、
量子コンピュータはそう結論を出した。」
言い終わると京子の目からは一筋の涙が溢れていた。
「京子、もういいよ。ここからは私が話すからね、」
今度は美希が話し始めた。
「実は今回の任務は四回目なんだ、最初は人選間違えてなんも出来なかった、二回目は結構いい奴だったから上手く行くと思ったんだけどね、五回目の出撃でグラマンにやられて空中分解しちゃってさ、三回目は本当にもう少しだったんだよ。神風特攻隊も防ぐ事が出来たんだけど、軍部の奴らが馬鹿ばっかでさ、結局広島と長崎に原爆を落とされるのは防げなかったんだ。だから今回は絶対に失敗は出来ない。」
アニメっぽい声で話す美希だが、その声と内容のギャップで余計にリアルに感じた。身長は155cmくらいか、やや小さめだが、胸はそこそこ出ていた。 いや、そんなことは今はどうでも良くて、出てくる内容が重すぎる。
「本当に信じられないような話だな。だが、目の前の状況を考えれば、信じざるを得ない、と言ったところか。」
「そうね、話が随分と飛んでしまったけど、今はこれからのことよ。とりあえず、みんなはゼロの改造を急いで!、一登には操縦も覚えてもらわないといけないし、直ぐに訓練に移ってもらうわね。」
京子は、そう言って、顎をしゃくると、モニターの右横にある扉へ目を向けた。
「ついてきて」
俺は言われるがまま京子の後について言った。
その部屋は、広さ10m四方くらいのこれまた大きな部屋で、ゲームセンターのレースゲーム機のようなモニターとシートを合体させたようなものが3台置いてあった。
「これは零戦用の操縦訓練システムよ。普通にシートに座ってちょうだい、そうすれば後はナビゲーションが始まるから、直ぐに訓練に入れるわ。」