プロローグ
生をまったく感じさせない夜の森を駆け抜ける。後ろには草木を薙ぎ払いながら追ってくる人影が一つ。お互いのスピードは人間をゆうに超えている。
「しつこいな!!」
「嫌なら止まればいいだろうが」
笑っているのを見ると、余裕があるのだと感じる。追いつかれる訳にはいかない。しかし、こんなところで能力を使っては森火事になってしまう。今は逃げることしかできない。
「使えないところを見ると、お前は太陽の加護だな」
諦めることなく追ってくる影がそう言う。何も答えず、走り続ける。
「そろそろ走るの飽きた。止まれよ」
そんな言葉が耳に入るのと同時に、顔の横をナニカが通って行った。木にそのナニカがぶつかると音を立てて崩れ、俺の進行を遮る。木には石がめり込んでいる。ただの投擲が弾丸並みかよ。止まり、後ろを振り返る。初めて見る男だ。背は180cmほどあるだろう。荒々しい雰囲気を醸し出している。
「睨むなよ。別にいいだろ、どうせ死なないんだからよ」
「それが問題なんだろう。死ぬために争ってるんだから」
「違いねえ。お前と加護を繋ぐ鎖はどこだ。腕か、それとも足か」
駄目だ。鎖を切られるわけにはいかない。
「勝った気になるのはまだ早いんじゃないかな」
腰にある拳銃を抜き、相手の顔めがけて打つ。至近距離の銃弾を避けることは出来ず、頭を貫く。初めて使ったが上手く当たってよかった。意識が戻るまで約10秒。俺は横たわる木を迂回し、森を抜けるため走る。




