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「ピィ―――――――!しゅ~りょぉ~おぉぉお!」

 笛の音と同時に、皿が一斉に運び出される。

 監視員たちが料理を手に、次々と大聖堂へ消えていった。


 今日も結果が出るまでの時間がもどかしい。


 さっき、ちらっと見た隣のテーブルの料理、なんと蒸し料理だった。

 ウチのレストランが広めたこの世界では新しい調理法だ。


 そして彩が秀逸だった。

 キャベツの緑、かぼちゃの赤、白子の白、玉ねぎの透明な色が混ざらないように並べてあって、見た目は満点!

 鯉の切り身も見えており、野菜だけの料理でないことを主張している。

 味で勝てなければ負けると思う……。

 でも、向こうも使いどころが難しそうな食材があったもんね。

 勝てるとしたら、そこら辺……かな?


 ウチはホワイトソースを使っているから、2㎝×7㎝に切り分けた重ね蒸しを2つ、ズレる様に並べただけだ。

 ホワイトソースの上に散らばせたパセリがアクセント。

 本当はプチトマトとか赤系の付け合わせを載せたいところだけれど、食材は5つまでだもんね。

 ちょっと地味なお皿になったんだよね。

 隣のがカラフルなだけにちょっと不安……。


 暫くすると大聖堂から木札を持ったスタッフが数人出て来て、男性司会者へ手渡した。

 昨日の教訓を活かしたのか、今日は既に札の並べ替えは済んだ状態で渡されたようで、すぐに結果発表に入った。


「結果はっぴょぅぅぅぅおおぉぉぉ!」

 ざわついた会場が一気に静かになった。


「では、まずテーブル番号1の……」

 皆、どの料理人も調理しづらい食材が混ざっていることで四苦八苦した様子が見られた。

 特に、スープとかステーキに走った料理人は、最後まで何を作ったら良いか案が出なかったのだろう。

 そして、そういう料理の得点は低い傾向にあった。

 

 まぁ、そりゃぁ、ただ煮ただけ、ただ焼いただけではねぇ。

 煮ていたとしても味付けに拘っていたり、食材の煮え具合を考慮して、煮る順番に拘った料理人、焼くだけでも凝った味付けの料理人などは比較的高い得点だった。


「では、次! テーブル番号13、ハリスタ子爵家調理長。食材は玉ねぎ、キャベツ、かぼちゃ、鯉、白子! 出来た料理は『カラフル蒸し』!」

 男性司会者がそう言うと、他の料理と同じく大型スクリーンに『カラフル蒸し』の画像が映し出される。


「「「「「「おおおおおお!」」」」」


「得点はぁぁぁ、8!」


「「「「「「ごくりっ」」」」」


「続きまして対戦相手はテーブル番号14!『ホットドッグ屋』。食材は玉ねぎ、リーキ、じゃがいも、マトン、山羊のチーズぅぅぅ!! できた料理は『マトンと野菜の重ね蒸しぃぃぃ』」

 他の参加者同様、料理の画像がスクリーンに。

 パセリがアクセントになって綺麗ではあるのだけれど、カラフル蒸しよりはちょっと寂しい。


「得点はぁぁぁ……」

 男性司会者がヤケに勿体を付けて中々得点を言わない。

 例のニヤリ顔をした後、漸く「満点の10点だぁぁぁ!」と叫んだ。


「「「「おおおおおおお!!!!」」」」


「まずは、13番のハリスタ子爵家調理長のカラフル蒸し。8点の理由は、綺麗な皿。珍しい蒸し料理にした事。本来なら扱いが難しい食材は1つだが、鯉も白子もちゃんと調理できていたので高得点となったぁぁ。ただ、一つ一つの食材の味付けは良かったが、二つ以上の食材を一緒に口に入れると味のハーモニーが無く、一つの料理として捉えての採点では減点の対象となった」

「「「「「おおおおお!」」」」」


 やはり白子という特殊食材を持て余したのかもしれない。

 食感も独特だし、私ならソースにしちゃったかも?

 でも、食材毎の味付けは良いってことだったから、ちゃんと料理したんだなぁ、お隣りさん。


「翻って『ホットドッグ屋』は『マトンと野菜の重ね蒸し』ぃぃぃ。こちらも取り扱いが難しい食材が2つ! マトンと山羊のチーズだあぁぁ。しかぁぁしっ! 味の調和。それが決め手だったぁ。マトンの臭みも消えていた。盛り付けにも工夫が見られたので満点となったぁぁ」

「「「「「「おおおおお!」」」」」」

「こちらの『ホットドッグ屋』は、第一試合でも満点を叩き出した本物だぁぁぁ! 今回も満点! 明後日の第三試合に乞うご期待だぁぁ!」

「「「「うおぉぉぉ‼」」」」


 男性司会者は次のデュエルの結果発表に入っている。

 私は、この広場のデュエルでも終わり方の組み合わせになっている『リスの宿』の結果が気になる。


「ホットドッグ屋さん、完敗ですわぁ」

 そんな時、横から若い男性の声が聞こえてきた。

 外国人と分かるくらいにはイントネーションがちょっと独特。

「ハリスタ子爵家調理長、白子は大変でしたでしょう。それでもあそこまで仕上げられるとは……見事でした。今回はたまたまこちらに流れが来ただけです。もし次があれば、どうなるか分かりません……」

 負けたのに、あの人は平然としている。

 ……なんだか、こっちの方が拍子抜けだ。

 この結果になったからといって子爵家の料理長を首になることがないのかな?

 もしかしたら腕一本であっちこっち放浪している料理人なのかもしれない。


 そんなやり取りをしている間に、次はいよいよ『リスの宿』の番だ。

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