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「痛っ!」

 ちゅーっと左の人差し指からぷっくりと盛り上がるように出た血を吸う。

 ここの所これの繰り返しだ。

 学園時代にもアイデアはあっても裁縫が苦手なため、他の生徒に頼んで布関係の仕事はやってもらっていた。もちろんお手当は出してたよ?

 そのツケが今頃になって出た感じかなぁ。

 学生時代にしっかりといろんな技術を身に付けておくんだった……。

 この思いは前世でも早逝した前々世でも感じていたのに、人って同じことを繰り返してしまうんだなぁ~と痛感するよ。


 でも、前世の記憶があるから色んな便利なものを作り出せるし、前々世の記憶があるから手作りのしょう油や味噌の作り方も分かる。

 兎に角今はメグんところの赤ちゃんにぬいぐるみとおままごとセットを作って贈りたいんだよね。

 ただ、アドリエンヌ様の方は女の子が生まれるのか、男の子が生まれるのか分からないから、男の子用のプレゼントも考えないとだよねぇ……。


 おままごとと対にするならブロック?

 でも、それは前世の地球にプラスチックがあったからできたこと……とすると、木製なら積み木?

 この世界にも積み木はある。

 ただ、細長い形しかないけど……。

 なら、三角とか円筒とかも作って、それこそカラフルな色を使って遊びの幅が広がるようにする?

 なんなら〇ゴのようにミニチュアフィギアもつけちゃう?

 お城がつくれて、騎士や衛兵なんかのお人形があったら面白いかな?

 乗り物も付けた方がいいよね?馬車?いやいや、鉄道が人気だから鉄道?

 ん?なら、最初から鉄道模型でジオラマ!

 これ、いいんじゃない?

 早速、ユーリやランビットに聞いてみよう!


「え?木でレールと汽車の模型を作るのか?なにそれ?オレが欲しいぞ、それ」

 夕食の時、相談するなり返ってきたユーリの返事がコレだ。

「お前らが学園で作った馬車の模型。あれ、本当は全部手に入れたかったくらいなんだぞ」

「え?前にお祝いで一つプレゼントしたよね?それに、もう大人だから……」

「関係ないっ!年は関係ない。そうだ!」

 いつもより目がランランと光っているユーリが食事も半ばで書斎へ走って行く。

 扉を開けるなり、自分のデスクの前を指さした。

「ここからここらへんまでをお前が言う土地の模型にして、その中で一周できる線路を敷いて、そうだなぁ……汽車は2台。違うデザインの物を作ってくれ。あっ!これはあくまでも試作品を作るだろうから、それの置き場の提供だと思ってくれ」

 おいおい、大の大人が鉄道模型がそんなに欲しいのか?

 そんな風に思っていた時期が、私にもありました。


 後日、ランビットに相談するとユーリと全く同じ反応が。そしてランビットから情報が流れたボブやフェリーペ、そして果はランビットに相談したのが私のホテル内の事務所だったことから、ダンヒルさんまでが欲しいと言い出した。……男って……。

 折角みんなでウチでの飲み会でおままごとセット作りの話を進めようとしていたのに、話題は直ぐに鉄道模型とジオラマに変わってしまった。

 ランビットに至っては、おままごとセットそっちのけで、すぐにでもジオラマや機関車の設計図を引き出そうとする始末。

 でも、男どもがこれほと浮足立つなら、もし、アドリエンヌ様のお子様が男の子なら、鉄道模型とジオラマで良いと思えてきた。


「なぁ、敷地の模型には木があったり、川が流れていたり、家があったりするんだよな?」

 ボブがおつまみが載せてあったテーブルの上の物を全て退け、ウチのメイドに持って来させた紙をテーブルの真ん中に置くとサラサラとクロッキーを描き始める。

 すんごい勢いで皆が頭を乗り出し、ボブの手で産み出されるジオラマの絵に見入っている。

「家かぁ……。それなら、学園の時に作ったドールハウスの小型版でいいんじゃないか?」

 当時、小物の設計図を担当してくれたランビットには私たちよりもはっきりと、当時何を作ったのか記憶があるんだと思う。

「ならさぁ、俺思うんだけど、鉄道側は普通の家に見えて、裏側に回ると家の中が見える感じにしたら面白いんじゃねぇ?ほら、中で住民が食事しているとか、そういうのが見えると臨場感が上がるだろぅ?」

 フェリーペもノリノリだ。でも、その案は是非却下させてもらいたい。

 ジオラマの中の家ならば、相当小さいはず。

 その小さな家の中に家具とか人形とか入れるとなれば、錬金術をどれだけ使わないといけないことか……。


 それよりも、ジオラマは地形の選択だよ!

 手で持って動かす鉄道模型なら、ジオラマは多少の起伏がある方が面白いだろう。

 実際の鉄道は広い土地に敷設してあるので、あまりはっきりとした起伏は無いんだけどね。

 当然、ゆるやかな上り坂や下り坂はあるけれど、乗っていて坂があると実感する程ではない。

 でも、ジオラマなら、狭い中にぎゅっと詰め込まないと面白くないので、坂道なんかもあった方が良いかもしれない。山も作っちゃう?

 そんな事を言うと、川を超えさせるための橋を作ってみたらどうかなど、男性たちでワイワイとやりはじめた。

 う~ん。私としてはメグの方はもう生まれているので、お祝いを早く贈りたいんだよね。

 でも、この調子だと、男性諸君は鉄道模型とジオラマにかかりきりになりそうだ。

 ちょっと上の空になっていた間に、男性諸君の間で話は進み、試作品と称して、全員にジオラマと鉄道を作ることになってしまったようだ。

 しかも、ジオラマは各自の好きな地形にするとか言い出し、今や全員で紙に自分のジオラマをデザインしはじめた。


「ユーリ、このデザインだと部屋一つを潰しても、土地の模型は入らないよ」

「え?そうかぁ?なら……川を5本から3本にするかぁ?」

 ランビットから注意されてがっかりした顔のユーリ。

 でもとても楽しそうだ。

 う~ん、おままごとセットの方を、完成させるのを優先してもらうにはどうしたら良いか。また頭痛の種が出てきてしまったよ。う~ん。

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