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おままごと用キッチンの材質は木材で決まり!これは最初から決まってるの!
こちらの普通のキッチンは竈とシンクは木製に樹脂を塗り込んだものか、ちょっと裕福な家なら石だったりする。
だから、おままごとキッチンは木材で作っても、高級感を出す為にシンクの部分はペンキで石に見える様に塗るつもりなんだぁ。
実際に石で作ってしまうと重たくなってキッチンを動かしたい時大変だし、万が一キッチンが子供の上に倒れてきたら怪我をさせてしまうものね。
おもちゃって安全でないとね。
もちろん角っちょは全部丸くするよ~。
安全って観点から、キッチンを作る木材は軽い木にしないとだね。
で、問題が調理器具と食材なんだよね~。
布で作るか、木で作るか。ここんところ、ずーーーーっと悩んでるのはそれ!
調理器具は多分、軽い木材で作ることになると思う。
鍋なんかは丸太状の木材の中身を切り抜けばできないことはないと思う。
問題は食材なのだ。
布ならば子供が怪我する事は少ないんだけれど、おもちゃの包丁で切ったりする時、真ん中から半分に切れるようにするには、内側に磁石を縫い込まなくちゃいけないと思うんだぁ。
でも、磁石って固いからねぇ。
布で作ったなら子供が口に入れても大丈夫だけれど、その口に入れる動作を繰り返し行えば、磁石が布の外に出てくることがあるかもと心配なのだ。
木で作るとするとスリットを入れて、力を入れて押せば、パカって真ん中から割れるようにできると思うんだぁ。
特に、錬金術で作れば、そして設計図がしっかりしているならばピッタリと嵌るように、食材の両側にスリットを入れることは可能だと思う。特に、ランビットが設計図を引いてくれれば間違いなし!
でも、そもそも木は固いから、子供が振り回しでもして怪我をしちゃわないかなぁって心配なのよ。
「ねぇ、ユーリ、どっちが良いと思う?」
「えっ!?」
夕食時に聞いたら、鳩が豆鉄砲を食らったような顔になり、フォークに刺した肉を口に持って行きかけた手を止めたまま固まっている。
「オレにそういうの聞いてきても……」
だよねー!と心の中では思うけど、ちょっとは相談に乗ってよと思ってしまう。
これはボブとかランビットでないとダメかなぁ。
新聞社の経営とか問題なく出来ているのに、こういう細々としたを物を作ることは苦手なのかなぁ?
しょうがないのでちょっと鎌を掛けてみることにした。
「ねぇ、旦那様」
「ん?この状況で旦那様と呼ばれるとちょっと怖いかなぁ~」
あさっての方向を見つつ、小声でつぶやくユーリ。君の第六感は正しいと思うよ。ニヤリ。
「ねぇ、旦那様。アドリエンヌ様とメグへの出産お祝い、何を用意するの?」
「へ?」
「ん?なぁに?何も用意しない心算?」
「いやぁぁ……。もちろん、用意するぞ」
「んじゃぁ、何を用意する心算なの?」
「それは……。今はまだ考え中」
そう答えたユーリの目はいたずらっ子の様にキラキラしている。
きっと、絶対、必ず、何か贈るものを決めているはず!!
「あ、オレはセシリオと一緒にプレゼントを用意するから。まだ、セシリオと相談中なんだ」
ムムム。怪しい……。
あれはきっともう決まっているのに、教えてくれない心算なんだね。
プンスカ!
「ねぇ、私たちのプレゼントについてはちゃんと教えてあげてるんだから、そっちのもちゃんと教えてよね!」
「……ああ。……決まったら知らせるよ。それにしてもお前……最近仕事から遠のいてるからか、学園時代に戻ったようだな。若返ったというか……」
別の話で誤魔化されないよ!絶対怪しい!
でも、これ以上は教えてくれそうにないので、しょうがないね。
いいよ。平民グループは平民グループで進めるもんね!
しかし、この年で若返ったってどうよ!まだまだ元から若いんだからねっ!
あ、今はそんなことはどうでも良い。あ、良くはないけど、まずは、食材を布にするか、木にするかだよね……。
その問題は翌々日、ホテルの事務所でランビットに相談したら一発で解決したよ!
「赤ちゃんの時はおままごとなんて出来ないと思うから、ぬいぐるみとして大きな野菜のセットを用意すればいいんじゃない?もちろん磁石なしでね。んで、もう少し大きくなったら木製のスリット式の食材で遊んでもらえばいいと思うぞ」
「!」
確かに、赤ちゃんの時はおままごとで遊べないし、抱き枕よろしくやわらかい生地でできた野菜や魚のぬいぐるみの方が安全だし良いよね。
それならぬいぐるみを半分に分かれるように作らなくてもいいし、楽ちん!
なら、平民組のお祝いの品は食育セットとして、おままごと用キッチンと鍋と包丁、木製の食材で断面に食育の色付け。そして赤ちゃん用の肌触りの良い大きめの野菜とか魚のぬいぐるみ。これだね!
でも、一つ問題がっ!
「え?何が問題なの?」
「いやぁ、木製の方は錬金術で作るから、きっとランビットが設計図描いてくれるよね?」
「うん。いいぞ」
「でもね、ぬいぐるみの方は錬金術では作らないよね?」
「まぁ、布を縫うだけだからなぁ」
ランビットは何か問題ある?と問いかけるような表情を浮かべている。
問題なのよ!大問題!
聞いて驚け!
「私ねぇ、裁縫苦手なのよぉぉぉ!」
「ぶふぉっ!」
噴き出したランビットはそのまま大笑いに移行した。
こんにゃろう!
誰しも苦手はあるのじゃよ。
私の場合は裁縫と運動だよ!
あああ、でんぐり返しも苦手だし、ダンスも苦手。
フェリーペの足を散々踏みつけたダンスを思い出すよ……。
「じゃぁさぁ、プロに頼んで作ってもらえば?」
「いやぁ、それだと何かズルしてる気がするの。私たちの手作りのおもちゃをプレゼントしたいのに、一番簡単そうなぬいぐるみを外注するなんてねぇ……」
「いいんじゃないかなぁ?上手にできてるものの方が喜ばれると思うけど?」
そう言われても、何か納得できない私は、自分で縫うことにしたのだ。
あ~あ。『熊のまどろみ亭』のホセ爺さんがここに居てくれたらなぁ。
爺さんのスキルは裁縫だから、すご~く助けてもらたのにぃ……。
翌日、私は街中で色んな色の肌触りの良い布を少しずつ買って来た。
「人参とぉ……鶏とぉぉ……魚は何にしよう……切り身?」
メイドのタバサに「あっちこっち糸くずを落とさないで下さい」と小言を言われながら、ぬいぐるみ作りに着手した私を誰か褒めてぇぇぇ~。




