二日目のカレー
困った。潜入調査で忍び込んだはずが、ばれてしまった。
牢屋に繋がれながら彼女は思う。
今日のカレーは二日目だから美味しいはずなんだよね。妹気づいてくれるかなぁ。鍋に入ってるから分かるはずなんだけど。
『王子、ダメです。間者の思考が読めません』
『カレーしか水晶玉に浮かんでこないね。この家は野菜カレー派らしい』
『そんなのどうでもいいですよ、王子! この間者が王子の寝室に忍び込んだワケを聞き出さなくては!』
『僕はシーフードカレー派なんだ。うーん、彼女僕に興味なさそうだし、子種目当てではなさそうだね』
『俺はキーマカレー派ですよ、王子。見たところ、王子への好意も感じられませんね。それでは隣国から探りにきたのでしょうか?』
水晶玉には昨日満足する味に仕上がったカレーを食べた回想が映し出されていた。王子と魔法使いはカレーを食べたくなった。
『野菜カレーもありだな。しかし、調べたところ彼女はうちの国の生まれで、血族も国内だ』
『野菜カレーもありですね。とすると買収されたのでしょうか?』
王子と魔法使いは探るように、背丈の大きい彼女を見る。拘束された彼女は視線を受けて、何か閃いたようだ。
「あ、本人に聞けばよかった。ねえ、王子様って好きな人いる? 恋人は? 好みのタイプは?」
『王子、まさかとは思いますが忍び込んだ理由って……』
『これが原因みたいだね』
水晶玉には彼女の妹が恋話をする姿が映し出された。二人はそこで内緒話をやめた。
「好きな人はいないよ。恋人もいない。好みのタイプは突拍子もないことをする、カレーを作るのが上手な面白い子かな。そう妹さんに伝えてくれるかな」
「そうなんだ! ありがとうございます」
「妹さんが大切なんだね」
「当たり前でしょ。でも王子に迷惑かけたの知られたら怒られそうだなぁ。秘密にしてくれませんか?」
なんと、背もでかけりゃ態度も大きかった。魔法使いは王子を仰ぎ見る。王子はむしろ楽しそうに笑っていた。
「いいよ。ところで君の家のカレー食べに行っていい?」
「いいですよ。交換条件ですね」
「成立だね。それでは拘束を解こう」
「王子ってカレー好きなんです?」
「そうだね、好きだよ」
あっさりと牢屋を出ていく二人に置いていかれた魔法使いは思う。付き合っている彼女にカレー作ってもらおう、と。
即興小説トレーニングで書いたものに加筆しています。




