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滅多斬り、光り輝く白蜜は一方的な斬撃を浴びせ続ける。
ハイになり脳に快楽物質を垂れ流しながら本能で炎のコンボを決めていくプレイヤー。
「フル爆王斬!!」
放たれた最大威力の刃、巨大な炎球は倒れた巨躯を呑み込み。
突如。
マウントを取られていたアグニの反撃が始まった。
身炎浄化乃武、豪炎の柱が天に伸びた。
気を爆発させるように太すぎる炎の柱がすべてを呑み込んでいく。
その凄まじい威力、継続ダメージに耐えかねた黒スーツは後方に跳躍し、ざざっと、地に逃れた。
イカしたスーツは煙を上げ、敵の炎の威力受けたダメージを物語っていた。
「フハハははいいぞ炎神の子孫、そのチカラは我の本気をもって相手をすべき炎だ」
「もう一段……タフすぎやしないか……!」
悟ったような静かな炎は、もう一段階。
ごうごうと豪炎は燃え盛り、メラメラと全身に広げた身炎浄化乃武。
必ずしも悟り静かなら強いという訳ではない。炎はやはり燃えてこそ。
プレイヤーがボスの体力を削り解放されたのは、炎の神アグニの本気であった。
「もう出せないんだけど、手加減……火加減はどうにかならないか?」
「我が炎に燃え盛りながら死力を尽くせ、ヤマダ炎神よ」
白蜜、その刀身を纏っていたカラフルは失せ。プレイヤー山田燕慈の炎神タイムは終了してしまった。容赦のないアグニに苦笑いを浮かべてしまう。
さっそく豪炎の槍が次々と生成され、トストスとそのアツすぎる槍の雨が降り注いだ。
遠距離攻撃のパターンも変わり、ゲーム的なもう一段階のパワーアップを果たしたことがうかがえる。
はじめての攻撃パターンに対し処理が追いつかずダメージを貰ってしまうプレイヤー。
更にその間に巨躯は迫る。
ぶん回し振り下ろされていく巨拳は、地に突き刺さり。天を貫く豪炎の柱が次々にステージに湧き起こる。並じゃない威力がプレイヤーの視界を支配していく。
豪炎による掠りダメージを貰いながらもバカキャンを使いクリーンヒットを避け死と隣り合わせゲーム脳はフル回転、パターンを学習していく山田燕慈。
ハイになり猛攻を仕掛けた側も無事という訳ではない。戦闘が長引くほど電子体のゲーム的な部分とプレイヤーの精神の疲労のギャップは埋め合わせるのが間に合わなくなる。
予期せぬパワーアップに苦戦をしてしまう。秘かにサムから貰ったバフも失せ、相棒の白蜜、その美しい刀身にも疲れが見える。
王……参戦すべきなのでしょうか……! でも決闘……ふむむ。
それはまたも。
突如。
「わわ、ちょっと!」
白い何かが炎の壁をものともせず貫き。
飛び出した。
「ヌゥ! なんだ貴様は! 我の決闘に水を刺してくれるナッッ!」
かざされた大きな手の平は、不敬な者に対してエネルギーを溜めた。
「うおっと!」
黒スーツは、豪炎にさらされそうになった彼女を攫うように抱きかかえ、間一髪で炎の放射から逃れる。
「女神石像なんで出てきてんだ!」
彼女は見つめる彼の顔に微笑み指差ししながら、アオいオーラを纏いはじめた。
「決闘……なんだけどな、ハハ。ハハハハ!!!!」
時を越えた炎神、その子孫と炎の神アグニの神聖な決闘。その間に突如割り込んできた白い女神石像。リミットメルトを解放し二度目のバレバレの暗黙のルール破りにさすがに気付いたアグニはごうごうと怒りの炎を燃え盛らせている。
「リミットメルト……ヤルってことか」
「まぁそうでもしないと厳しいのはそうなんだが。仕方な」
「ん」
脳裏に浮かぶ、ビリビリと来る悟り。
女神石像は父親の電子体にソレを共有するように。
「ラヴあス完全版……」
迷いはない、父親はリミットメルトを解放した。
「おいおい女神石像ルート来てるナァ!!」
全くの予期せぬ感覚と気付きにテンションを上げたプレイヤーは豪炎をダイナミックに踊るように避け、紅いオーラとアオいオーラは太く繋がり混ざり合った。
電子体はその姿を変える。
黒スーツは燃え盛る紅い炎となり。
白い女神石像の殻は破られた。
美しい女神は翼を広げ。
「その姿フハハははは」
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『もうやめてください! このような騒ぎ天が黙っていません!!』
『もはや許しはせん浄化だ』
『フ、ヌルい炎はもう飽きた』
『バクエンザン』
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「女神様……ナンデス……?」
神々しい光と共に舞い降りた、艶やかなアオい長髪。石のドレスは豪華に変わり純白をなびかせ纏い。
真の姿を現し発動されたラヴメルト技。
ふわりと苞に包まれた円柱の穂に咲いた無数の花。穂先にアオはチャージされていく。
紅い炎の水芭蕉はそのエネルギーを解放した。
「変美仏炎苞」
優しみのある水の声は静かに叫び。
アオい炎のレーザーは照射される、迎え撃たれた豪炎を焼き消しその巨躯に向かい。
「この炎は! 青い!?」
「ヌゥうううう」
凄まじい火力のアオがアグニの赤肌を呑み込んだ。
猛スピードで突き刺さるアオい炎。
「フハははははははこれしきィィィィ」
ごうごうと燃え盛る身炎浄化乃武、その出力は更に上がり防御を固めた全身はダメージを軽減され。
アオが止み、その一射を耐え凌いだアグニ。
防御体形を解きそのイチゲキを味わうようにニヤリ、メラメラと高らかに笑う。その時。
紅い花は散り、アオい炎は形を成す。
突如、背後に化けて出た。
高笑いする頭部すぐうしろ。
炎から生まれた紅スーツ。
美しく燃え盛る白蜜はすでに振りかぶり。
上段から空を裂く一閃は、地に打ち付けられた。
「炎はまだ燃え尽きちゃいない! ってな」
「未だ残すかァァァああ!!!!」
「仏炎斬!!!!」
第二射、振り返るがもう遅い。父親史上最大威力、白蜜が放った紅いレーザーはアグニに豪快に浴びせられた。
アオと紅の炎、凄まじい二射は炎の神アグニに照射され。勝利を手繰り寄せるラヴメルト技は決まった。
紅い炎を見つめる、美しき女神は微笑み────。
「よっしゃー女神石像!」
「て、ダレ!?」
父親に微笑む美しい女神。アオく柔らかに光るウェーブした長髪に白のドレス、白い石の肌はきめの細かな活き活きとした人の肌となり。その神聖なる容姿と醸し出す雰囲気どこからどう見ても女神であった。
「め、女神……まじか、はは」
父親がアグニにぶち込んだ紅いレーザー、その凄まじ過ぎる爆炎は止み。
「マァ今はそれより……そっちも非常に気になるガ!!」
大ダメージにヤラれ焦げ色の地に片膝を着いた赤肌の巨躯が姿を現した。
父親と女神石像のラヴメルト技を受けたアグニはしぶとくもまだ体力が尽きてはいないようだ。
「おいっ、もう負けでいいか?」
ガチャリ、白蜜の切っ先は再びアグニへと向けられた。本来の決闘の形は既に崩れヤルのかヤラないのか、このまま滅するまで続けるのかという問いの意だろう。
「フハハはははははははは」
プレイヤーを睨み、突然高笑いの声を発するアグニ。
ぐぃ、白蜜はその柄を更にチカラ強く握られた。
そろり。
見せつけるように。
その大きな親指と人差し指の間に、あったもの。
「アッ!?」
手に摘まれていた、悪魔球はその大きな口へと運ばれて。
ゴクリ、太い首を通り呑み込まれてしまった。
ニヤリ、強面はプレイヤーを見つめ口角を吊り上げ不敵な微笑いを浮かべた。
「おいおいナシだよなぁ!!」
悪魔球を飲まれた、それの意味するところをプレイヤー山田燕慈は分かっていた。今回は悪魔カエデの時のようにわざとではない。完全に戦闘でハイになっていた頭からそのアイテムの存在がトンでいたとんでもないプレイミスだ。
ごうごうと燃え盛る炎。身炎浄化乃武、幾度も披露していたアグニの炎の技のひとつ。
それは今までプレイヤーに見せていたモノより一層メラメラと火災旋風を起こすように激しく燃え上がり、悪魔球の邪を浄化し薪の代わりに焚べてパワーアップしたことがうかがえる。
こいつが炎神じゃないってまじかよ……! ふざけた体力しやがって!
「女神石像……チガった女神さんヤレるか!」
父親と目を合わせうんうんと頷く美しいアオい女神。すぐさま、みずいろの魔法陣を構築していく。
それを見たアグニは黒スーツに向かい大口を開け。
ナニかが吐き出された。
「なんだ!?」
「女子供など、決闘は取り止めだ」
「王ーーブジですかァァ!! 大変ですッ、メガミさんが女神様で!!」
いつの間にか炎の観客席を飛び越え決闘の場に参戦しに来ていたサム。
アグニを纏っていた激し過ぎる炎は失せ。強面は真顔になり、なんとなく決闘の雰囲気とは言えないものに変わっていた。
アグニの意志を既に感じ取っていた女神も構成していた魔法陣を既に解いていた。
「ヤラないってのか……。……これは」
父親の前にコツンと転がっていたのは赤い球であった。その形状、プレイヤー山田燕慈の脳に連想されるのは、悪魔球。
赤い悪魔球……食って吐き出した……?
「我が炎の一部貴様なら使いこなせよう」
「……ナニ! パワーアップってことか!?」
空き瓶にアグニの炎を閉じ込めたってことか? なんだよソレ!! そのイベント!!
突然の決闘中断さらにパワーアップらしきイベント、次々と変わる状況に持ち前のゲーム脳を駆使しついていき目をギラつかせるプレイヤー。
「貴様は炎神に比べ弱すぎる、せいぜい我が炎を磨きそれを我に喰わせる為に生きることだヤマダ炎神よ」
「弱すぎるって……炎神どんだけ……」
拾った赤い球、既に手の平の中にあるソレを。
強面のアグニが睨み見つめるなか。
多少の迷いを踏み締めて、口の中に放り込んだプレイヤー。
「アツイ身体が燃えるうおおおお!! ってアレ……? ……なんともないな」
赤い球は父親の電子体に呑み込まれ。あっさり、父親の一部になっていた。
「身炎浄化乃武、我炎斬。我が炎はたしかに受け渡したぞヤマダ炎神よ。……そして美しき女神よさらばだ!」
そう言われ、さっそくミーヌを唱えた父親。ゲーマーとしての興奮は抑えられない、当然のようにゲーム本能に則りステータスは即確認された。
「えっとあの我炎斬? あのいっぱいトバしていた飛び道具はウワッ──────」
突然に視界が白い光に包まれていく。
「ちょ、飛び道具はァァァ!! ──────」
プレイヤー山田燕慈が手に入れた新しいチカラ、アグニの炎。覚醒した女神石像。多くの収穫を得たミジュクセカイの塔4000階隠しイベントは終わり。父親パーティーは古びたモスクへと強制転送されていった。
▼
▽
激闘に次ぐ死闘、疲れた精神を癒すため父親パーティーは強制転送されたモスクからホームの礼拝堂へと戻っていた。
アグニや女神のことこれからのこと、パーティーでの話し合いを消化し。激し過ぎた戦闘での興奮は冷め、落ち着いたそれぞれのじかん。
「女神モードになったって訳か……」
「まだ喋れないのか」
気品良く頷く女神。
「……呪われていたり?」
少し考えて、頷く。
「まじかよ~」
興味の尽きない女神に対し質問攻めをしていく父親。
そうだステータス。
「ミーヌ」
▽
水神(善)
ランク 紅炎
ラヴ ラヴ
技
【アクアスナイプ】
【アクアちょーちょ】
【アクアドルフ】
【アクアばーど】
【アクアシルド】
【アクアとーねーど】
【アクアバイバイ】
【水鞭】
【アクアシャーチ】
ラヴメルト技
【変美仏炎苞】
▽
「水神かっこ善?」
「ちょっと待て水神ってなんだそれ炎神ならぬ水神……?」
確かに水の魔法しか使わないから何か意味があるのかとは思っていた。水神、そんなものはラヴあスに出てこなかったし……関連があるとすれば令月かほりと武器の水月。
女神は口角を少し上げにこやかに微笑む。
「ははは女神さん……」
かっこ善っていい加減な名付けを……とりあえず作ってみたみたいな感じだな……。ラヴあス未完成版かよ狩野サハラ。
これは予想外過ぎるぞ。
「にしてもほんとにあの女神石像?」
彼女はうんうんと元気良く頷いてみせた。
▼
▽
地下室、礼拝堂の左の穴を抜け階段を降りた先にある古びた部屋。
そこは父親のプライベートルームでもあった。1人になり考え込みたいときに地下室にこもりがちなのであった。特にこの日は情報過多、いつものようにやっていた攻略情報を紙に書き起こしていく作業に一層励んでいた。
「身炎浄化乃武、我炎斬……とりあえず明日だな……」
「炎神にアグニ、殺された炎の一族と鬼狂ちゃん。そして水神の善」
「この調子だとゲームの中でちゃんとした攻略本が作れそうだな……はは」
重ねられた、紙の束。白の隅々まで情報を載せ毎日積み重ねていったものだ。
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▽
絶えず燃えている金の燭台のろうそくが光を放ち。その暖色が疲れた身を眠りへと誘う。
ぐっすり、プレイヤーは寝落ちしていた。紙と鉛筆を下敷きにしながら。
とすり。柔らかな重みが眠りを解いた。
「────、──! ん、ンン?」
「女神石像……じゃなくて女神さん!?」
父親の上に乗っかっている女神。
微笑みながら。
見つめるやさしげな黄色の目が近づいて。
「あのー……女神さ」
触れる白い手。
女神はプレイヤーにキスをした。
静寂の間に、唇と唇は離れ。
そして、おちんちんに手を伸ばした。
「おちんちん!?」
思わず叫んでしまったワード、美しい女神は疲れからかそのビンビンになっていたおちんちんをシゴキ始めたのだ。
突然の快感が父親を襲う。
それは女神石像に父親が教え込んでいた手つきと同じであった。
快感はピークを迎え。
そして、射精の瞬間を見つめながら女神はプレイヤーにまたキスをした。
プレイヤーを見つめ微笑む美しい女神。その視界いっぱいに広がる光景に。
いつの間にか女神をベッドに押し倒していた。
「俺の女神石像がさらに美しい女神に……! ヤルっきゃないよな」
石像にはない質感、そして機能。それがより一層の興奮を生み。
出来なかったことがデキるようになった。エロいゲームでこのチャンスを逃す手はない!!!!
プレイヤーは女神ともう一度、三度目のキスをした。




