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「このブーメはすごいわね。神々しいナニカを感じるわ」


「はは、そうなのか……」


緑色のブーメラン、左右対称に引かれた金の縦線模様がアクセントになったそれを魔女は受け取り。手に取りたのしそうに眺めている。

まさかのこいつの武器かよ! ラブあスそれは無茶ってやつだぞ……。


「武器を手にとるのなんていつ以来かしら。さんびゃ……あ、このスタイル魔女っぽくないわねこれ」


「そう……おもいます!」


「ブランクがこわいけどお守りぐらいならできそうだわ」

「でもこんなに良いブーメがあったならまりょくを残しておくべきだったわね」


「いや……まさかブーメラン使いがいるとは……」

「そうだ! まりょく回復アイテムだ」


父親は魔女にグレープグレープ天然水のボトルを手渡した。

白い手袋はそれを受け取り、一気に中身を飲み干した。


「ぷはぁ。おいしいわねちょうど喉が渇いていたところよ。でもうれしいけど無理よ、のろ……契約だから今日はもうまりょくを補給しても使えないわ」


「そうなのか……てかノロ」


「それでこの子は貸さないで本当にいいのかしら? ふたりのりでもいいわよ」


紅い烏の背に乗った白い魔女は不思議そうに言った。


「あぁ、俺にはこいつがいる。(カード)頼んだ」


石の板は月面に対して平行に横たわりその身体を拡大させた、その上に父親は乗り込み女神石像はちょこんと正座した。

どういうチカラが働いてか2人を乗せ月面から浮き上がっている石の板。

やっぱり出来たようだ、ハハハハ。


「その子にのるのね……。人がのるのは想定していなかったわ」


「ハハ、ティータイムのおぼんにしておくのはもったいないぜ」


父親と魔女の思考を混ぜ合わせた作戦会議を済ませ。ラストアタックの準備は整った。


作戦はこうだ、シンプルにこのキラキラオーラの俺のリミットメルト技でデカブツの真下から最大効率を放つ!! ……どうやら手順を間違ってしまったようだこの場の全員にお守りされることになってしまった。さすがエロいゲーム上手くはいかないな。


「おしゃべりもここまでね」


「あぁ」


仄かに緑に光り続けるルナティックデス人形(チャリ)三日月(ミィガ)はその傷を修復していく。そして影のティック軍団が月面上に繰り出された。連続発射された白いレーザーミサイルは黒い宙を彩り。


『くハッハーーーー!! もはやカグヤも相手にはならん魔女渋メンティッカー。実験協力に感謝ァァァァするワヨ!!』


「コラ、まだ終わってねぇぞ」


「ヨイザ最後のあそびよむかえにいくから逃げてもいいわよ」


『クウフフ、そうねモットモット高め愛マショ。さぁイケ、ルナティックデス人形(チャリ)四日月(ヨツガ)!!』



「作戦名は十六夜(いざよい)ラストアタック。イクぞ! マルチプレイだ!」




作戦は決行された。


父親パーティーは出撃した。石の(カード)に乗り込み月面をホバーしながら滑走し、紅い烏はそれに並走するよう飛ぶ。


「いくわ」


魔女に追随していた銀のブーメが迫り来る白いレーザーミサイルを迎撃した。

次々と宙で銀の刃がぶつかり合い爆発し敵のミサイル攻撃を寄せ付けない。

巨大な城から繰り出された影の軍団の先行部隊と父親パーティーはぶつかり合う。見えて来た上空を舞う黒い影の烏たち。


「なんでも取り入れちゃってサァ! ただのオカマじゃねぇナァ!」


紅い烏は空に向かって大きく羽ばたいた。

放たれた銀のブーメの弾丸の牽制射撃は影の烏をロックオンし貫き、緑のブーメをがっしりと手にした魔女により群がってきた影はインファイトで切り裂かれて滅されていった。


「はりぼて相手は楽だわ」


更に先行した魔女は月面へと爆撃を開始した。

【ジュエルボム】、紅い烏は色とりどりの宝石や首飾りを撒き散らし地に触れた瞬間それは鮮やかに爆発していった、強度のない影の粘液、人形たちがその空襲により葬られていく。


「ブランクってなんだよ! 魔女ってのはみんなこうなのか!」


「妹には及ばないわ」


魔女のブーメ操作による奮闘により道は開かれた。

父親パーティーは敵陣を斬り裂きながら巨大な城の六脚に目掛けて突破していく。


『チィ!! ルナティックブレイドⅨ何故でない!?』


父親パーティーに向けられた丸太のような長い両腕はその光の刃の武器を形成できず白い粒子は霧散した。


「ハハハ容量オーバーなんだろ、なみなみに注ぎ過ぎだ。香りがしないぜ」


『訳の分からんことを!! 容量など!』


影のティックは月面の一ヶ所に密集していく。

そして散り散りになった粘土を混ぜ合わさるよう捏ね上げ。新たなティックは形成された。

黒い翼とその美しい巨大な影の彫刻。

【シャドウデス女神人形(メガミティックチャリ)】。

影の女神は翼を開き宙に浮かび父親パーティーの行手を立ち塞ぎ、その形成された巨体で迫り仕掛けて来た。


「また真似かよ! 黒ってちょっとかっこいいじゃねぇか」


女神石像はバンバンと彼の背中をはたいた。


「痛てて、ごめんなさいはあとでな!!」


『認める認めええええル』

『すべてを認めて壊しそして私は更にその上をイコウ』


「勝手に認められてもナァ! パクリは許してヤラねぇぞ月オカマ」


「あら。ワタシも真似させてもらうわ」


魔女の周りを追随している残った銀のブーメは、

堂々、手に掲げた緑のブーメの元へと集まり溶けて混ぜ合わさるように、

緑のブーメをコーティングし巨大な銀のブーメへと生まれ変わった。


「こっちはハリボテじゃないわよヨイザ」


銀の特大ブーメは両手を挙げた魔女の頭上でしゅるしゅる回転し、

勢いをつけたその銀の回転ブレードは猛スピードの初速で飛んでいった。

シャドウデス女神人形の翼を裂き首を裂き身体を滅茶苦茶な荒い軌道で両断していく。

立ち塞がった最大の障害を切り裂き、銀のブーメの内在まりょくは尽きた。

そのコーティングが剥がれ堕ちた緑のブーメは魔女の手元へとゆるりと回転しながらもどっていった。


『クハハハそのような魔法創造以上だ魔女』


『だがノしかァシ!! 月でも粘土遊びはミナやるのだよ異星人ドモ!』


宙にバラバラに散らばった影の粘土は蠢きまた集合していく、システムはまたソノ形を練り上げようとしている。


「年がいもなくはしゃいでしまったようね……」


苦笑う、出し尽くした魔女はうなじに張り付く枯れ草色の髪をさらりとかき上げた。


「カード、ヤれええええェ!!」


その命令を受け、石の(カード)から白いレーザーミサイル群が3連続発射された。

1点に収束するよう放たれた光のミサイルは散らかしてあった影の粘土に命中しその白い光の爆発花火を咲き散らした。


「お宅の白い粘土。返すぜ月オカマのヨイザさん!」


再生を試みたシャドウデス女神人形は激しい白光(はっこう)と共に跡形もなく片付けられていった。


『渋メンティッカーーァァぁあッ!!!!』


「ふふ、ひどいわね。ワタシもよく妹をからかっていたわ」


「ハハハこんなデカい妹は趣味じゃないんで倒すっきゃないな!」


障害は取り除かれた。

ヤツの六脚に向かいスピードを上げ月面を滑るように走り飛んでいく。


「ところで、まりょくはもうなかったんじゃ?」


「まりょく操作よ、ブーメのないざいまりょくをいじっているだけだわ」


「な、ナルホドォ!」


「そのカードちゃんも攻撃できたのね」


「相手のだけどな! 今日はもう品切れだこのまま一気に突っ込むゾ!!」


「ええ!!」


その細い手にしっかりと握られたブーメ。

枯れ草色の長い髪をニセモノの月面の風に(なび)かせながら、彼女の全てを出し尽くし斬り開かれた道を石の板と紅い烏は突き進んでいく。



六脚、がっしりと月面に面するその巨城の脚。

ゴールを目指し前部の二脚に近づいた父親パーティー。


『ヘソノヲ』


『少々不恰好だが仕方ナイワネ。新しい刺激だ、この巨体を持ってしても自分自身のウツワとはこうも(こぼ)れやすいモノだな! 感謝するぞ渋メンティッカー!!』


「ざけんなァァッ、何学んでんだぁぁひょっとして俺のせいかッ!!」


「そうね。あなたはまったく得体が知れないわ」


六脚は青い光の触手をびっしりと張り付け、うねうねと蠢きながら異物に向かいその迎撃システムを作動させた。


「このオカマ容赦ねぇなぁ、ゲームってガバくないのもいいけどサァ!」


「まずカップを温めておくものだろ!」


「女神石像ヤれ!!」


彼の言葉にうんうんと頷いた女神石像は石の板の上で立ち上がり。

月面の出陣地点に置き去りにしてあったみずいろの巨大な魔法陣。ソレを媒介にして魔法は発動された。

頭上に浮かぶアオい2つの∀。

女神石像は両の手を元気に振っている。


【アクアバイバイ∀∀】。


大きなおおきな波がパーティーの前方を疾り流れていく。

黒紫色の六脚はその魔法の水流に呑み込まれ、容量を割いた迎撃システムの触手は相殺されていった。


「イエスイエス!!」


「ふふ、これは妹にしたいわね」


「得体の知れないヤツにはヤラねぇよ、俺の女神石像だ!」


父親パーティーはその大波の勢いに乗り、攻撃能力を失ったその前部の二脚の門をくぐっていく。

そしてその巨城の、真下へ。


「電撃アターーッ!!」


すぐさまリミットメルトは発動された、紅いオーラと星色のオーラが混ざり合い。

スペシャルなオーラは解き放たれた。


なんだこれ過去最大っきてるぞおおおおお!


「最大効率……斬波爆王斬!!!!」


頭上を見据え振るわれた美しい刀、白蜜。

オーラが一瞬形成した悪魔は微笑みながら霧散し、

紅い炎の特大斬撃エネルギーが、


月面から天へと昇っていく。


最高効率。


その炎の刃はルナティックデス人形(チャリ)五日月(イーガ)を無数の小爆発を上げ真っ二つに斬り裂いた。

足先から天まで両断されたデカブツ。


『まだだ、マダああああカグヤ渋メンティッカーァァぁあ!!!!』


白い光の粒子が股、六脚の根元の1点に集まり徐々に球体を成しチャージされていく。


『ルナティックデス人形(チャリ)十五夜月(フルムーン)!!!!』


地に向けソレを撃ち放つつもりだ。


「ぐぴっといくから焦るなよデータオタク!」


空になったレモンレモンスカッシュ天然水のボトルが、月面に投げ捨てられた。


「斬波爆王斬!!!! ラヴも恋もよくしゃべる月オカマもオオオオ焼き尽くす!!!!」


再度、フルチャージされた紅いオーラは解き放たれ、

チカラを込め空を斬り裂いた白蜜。

炎の斬撃エネルギーは見上げる天へと疾っていき。


十字に裂かれたルナティックデス人形・十五夜月、父親最大の技を二度受けてしまった。その身に受けたダメージは計り知れない。


チャージされていた白い粒子の塊は霧散し消え、

黒紫色のボディーカラーは()せていき、白い砂のような燃え尽きた色へと。

月面に君臨したルナティックデス人形・十五夜月(仮)は、その機能を停止した。



「ちゃんとガバいじゃないか、ハハハ」


天を見上げる、圧倒的な炎のエネルギーの二閃を放った白蜜は深呼吸をするように煙を上げ。彼は白い歯を見せながら大笑いしてみせた。





「ハハハハハ、ってあれ……!?」


何かが月面に落ちてきた。その衝突音を上げ。

深緑色を纏ったヤツ、月のオカマ、ヨイザだ。

全身から白い煙を上げながらもしぶとく生きていた。

ヨイザは父親の炎のすべてを受け切る前にルナティックデス人形・十五夜月(仮)から分離し元の人の身の器へと乗り換えたのであった。


「アイツ生きてやがって!」


「逃がす訳にはいかないわね!」


紅い烏はその手負いの敵に向け飛び去った。


「おう! ッッッぐぐぐぃぃい!!?」


「うそだろ? ぬえええ容量オーバーってヤツかぁ!?」


父親の身体は嘘のように、石のように重くなり動かない。だらりと首を下げ。


「容量なんて適当なことぬかしてみたがこれもなんかのバグかエロいゲーム……!!」


女神石像はつんつんと父親の頬を石の指でつついている。


「はは……ちょい休憩」



紅い烏は猛スピードでターゲットに接近しメインウェポンのブーメで宙から斬りかかる。


「ルナティックブレイドⅣ!!」


火花を上げかち合い鍔迫り合う。黒い曲刀と緑のブーメ。


「魔女め何故マダ邪魔をする! 貴様ら戦争商人マガイは弱者を利用した気になっていればいいはずだ!」


「フフその役割は飽きたもの、それにワタシはあなたを評価していたけれど見誤っていたわ想像いじょうよ。あなたがその邪心で星の脅威になるのは少々危険過ぎる穏やかな余生とティータイムのためにも……しんでちょうだい!!」


魔女は鍔迫り合いをいなし、宙へと舞い上がる際すれ違いざまに【ジュエルボム】をお見舞いした。

ヨイザはしぶとく反応しその空襲爆撃を力強いステップで避け続ける。


「世捨て人風情魔女が余計な感情など!! 私は貴様と違い遊びではないのだよ!! ヘソノヲ」


「フフ、あなたのその欲とワタシを見下した眼はいい刺激だったわ。ワタシのつくるこれからのセカイ。フフっ」


再度インファイトを仕掛けた魔女は真っ直ぐ宙に貫くように伸び迫ってきたヘソノヲの先端を弾きそのだらっと伸びた中途をブーメで斬り裂き無力化した。


「ヌ・カ・セええええ!!!!」


月面のヨイザは仕掛けた。

その背から青い線が弧を描くように。

数多のヘソノヲで予想外の攻撃を魔女に対し放ってみせたのだ。

紅い烏はその触手に絡め取られるように捕らえられ。

すぐさま、青い雷が送電され紅い烏に乗り一体化していた魔女にもその継続ダメージを与えつづけていった。


「──チッもどれ、ばーにんぐバード!!」


ヨイザの触手に拘束されていた紅い烏は紅い光の線となり魔女の瞳の中へと戻り、宙ぶらりんになった青い触手は機転を効かせた魔女のブーメにより全て一瞬の間に斬り裂かれた。


「あれ程の巨体ノ操作、私のウツワにも少なからずチカラの一端が反映されるというモノだ」


「そしてええええ貴様のまりょくが尽きているのは知っている!! ナメていたな、私の勝ちだァ!」


「ルナティックブレイドⅥ!!」


ヨイザの突き出した右拳から放たれた。光のブレイドレーザー。

乗機を失いニセモノの月面へとその重力に引かれ堕ちてくる魔女を捉えた。

長くターゲットへと一直線に伸びた閃光がその身を貫く。


「ナッ!? 貴様!!」


光の刃の射撃攻撃は黒い彼方へと抜けて行った。

魔女は自身の身が貫かれようとする瞬間に、魔法のように宙にふわりと浮き上がり上体を起こしヨイザの一撃を避けてみせたのであった。


「あら? 悪魔も今日はご機嫌のようね、ぼるとアロー」


即座に構築された青紫色の魔法陣から出力を抑えた荒い雷の矢が出現し魔女の命令により投げ放たれた。


「──ぬううう、宝魔改造は! その程度は耐えうる!」


予想になかった素早い雷の矢の魔法射撃に直撃したヨイザはビリビリとその身を焼かれうっすら煙を上げる。


「ン? このかんかく……ひらめいた! ぼるとウインド!」


出力を抑え矢継ぎ早に構築された青紫色と緑色の魔法陣は宙で重ね合わさり。その未完成な雷風(らいふう)を垂れ流した。

ヨイザに吹き荒れた雷風、先程の魔法よりも強力な合成魔法がダメージを与え続けている。


「あはははははッ、この歳でぱわーあっぷなんて出来損ないの妹もきっと笑っちゃうわ!」


宝魔改造のダメージカットの恩恵により雷風の拘束から逃れたヨイザは辺りをちらちらと見回し何かを確認しながら魔女との距離を取っていく。


「あら逃げるのかしら? 宝魔かいぞうたしかに厄介ね。チッ……うざったい!! 魔法を否定する存在はあなたの次に滅ぼしておくべきかな」


「やはりその本性、貴様も生かしてはおけん! 狂いはナイ、私のスペシャルな感覚は常にぃぃぃぃ正しい王ノ道を歩ませる!」


テンションを更に上げたヨイザは右と左の拳を連続で突き出し、ルナティックブレイドⅥによる光の刃の連続ビーム射撃を行った。


「ぼるとまいんシルド」


即構築された魔法陣から発生した雷の球の輪は迫り来る光の刃をその球の一つ一つをもぎ捨てるように投げ捨て迎撃し、空に紫色の爆発花火を咲き散らした。


「あはははッ、すぺしゃるな感覚ゥ? あなたごとき若僧が訳がわからないわ。馬鹿みたいね、ていうかバカ。なぁらおつぎはそうね? こういうすぺしゃるな悟りはどうかしら、ぼるとういんどブーメ!!」


その白く細い女性の手が、緑のブーメをさっと撫で上げる。帯電し風を纏ったチグハグな威圧感のあるブーメは。

月面に構えるヨイザに向け力いっぱい投げ放たれた。


「イリュージョンむううううゥ!!」


すぺしゃるなブーメは月面に突き刺さり豪雷と強力な風の刃で地を裂きその威力の跡を残した。

秘蔵のイリュージョンムーブにより存在を霞ませたヨイザはすぺしゃるな一撃をもらいながらもしぶとくいなし。

一瞬で、例の星の魔法陣の元へと移動した。

抜け目のないヨイザは、その場所を白い魔女と戦う前から当たりをつけていた。回避行動と攻撃行動を織り混ぜながら逃亡の機会と魔女を不意打ちで仕留める機会を思考の天秤にかけていたのであった。



「ハァハァ……それ程の時を生き永らえながら精神の未熟なイカれたやつめ! そして渋メンティッカー……トンだハズレのくじに変えてくれた! だがノしかし! データは持ち帰らせてもら」


強烈な水の矢が突き刺さる。

そのアオい弾幕は収束しべらべらとしゃべっていたヤツのど真ん中を猛スピードでぶち抜いた。

ヤツの最後の言葉はそれっぽい台詞も残せず。女神石像のリミットメルトの多重魔法陣により。


しぶとさを魅せつづけた月の十六衆ヨイザは呆気なく光の粒へと還っていった。



「何やってんだあんたら……ってまさかの死んじまったな……」


「ふふふふ」





月面のテラス席で食べるくるみクリームのロールケーキは美味い。

燃え尽きた白い巨城を眺めながら、飲み流す。なみなみに注がれたこのアメリカンコーヒーは待ち望んでいた勝利の味だ。そしてこのお出汁の効いたスタンダードなちく──。


「なぜに……ここにちくわが」


「ワタシの夢の中の取引先よ」


「はぁよくわかんねぇが。ってそんなのより……ッッッついあいいい!!」


ちくわのカップスープは予想の上の熱量で彼にダメージを与えた。


「っっっぃぃ……。俺たちのパーティーにはなれないと」


「そうね。光栄だけどちょっと月に用事ができたわ」


「渋メンくんも来るかしら?」


「月か……。興味はあるが遠慮しておくぜ」


「これ以上厄介なオカマが出て来たら疲れるからな。でも大丈夫なのかアイツ……死んじまってるけど」


「ええ、これでカグヤさまに報告するわ」


【イビルPOV(ぽぶ)アイ】

3日前までの目の情報を与えてこのモンスターを媒介にしホログラム映像で再生することが出来る。


さっそく魔女は自身の星色の瞳の持つ情報をその悪魔の翼の生えた大きな目玉を持つモンスターの瞳孔を見つめコピーし終えた。


「よく分からないが……なるほど、な」


「マアそう急ぎすぎるものでもないけど」

「チャネルも故障して色々と片付けないといけないかしら」


魔女は(そび)え立つ白い巨城、機能を完全停止させたルナティックデス人形・十五夜月(仮)を眺めている。

どうやらこの巨城の異物の存在が原因でチェンジチャネルを使えないバグが起こってしまったらしい。


はぁ、まじか。魔女がいたらこの先ラクラクだったんだけどな。

てか冷静に考えてこれラヴあスだよな? ティクティカの敵とノリで戦ったが……。

ラヴあスに追加されたオマケ要素ってやつなのか。それとも──。

どっちにしろ元の目的に戻った方が良さそうだ。


それに結果的に守るカタチとなった月のカグヤ様ってのもなりふり構わないオカマの必死さを見るに……どっちかというと地雷くさいと俺のエロいゲームの勘が告げている……。

直接関わらないに越した事はないな!


「また考え込んでるわね、ふふ」


顎に手をやり唇を口の中にしまいこんだ分かりやすい表情の父親はまたも向かい席の彼女にソレを指摘されてしまった。


「……あぁ、あの変わった帽子どこで買おうかなって。あとパーティーにならないならブーメラン返せ、モンスタートレーダー!!」


「ふふ、帽子もブーメもむかしから魔女のモノよ。ちくわは持って帰ってもいいわ」







ニセモノの月面を後にし白い魔女と別れた父親パーティーはじゃんけんランドに戻り月の十六衆ヨイザとの激闘で疲れた身体と精神を癒すべくホームのベッドで深い眠りへとついていった。

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