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「うおおおお、爆王斬!!」


またも駆け迫って来た次の石の騎馬小隊を炎球にぺろりと呑み込み小細工なしのパワープレーで撃破していく。


「汚い鉄砲隊がいないとやりやすいな」


白蜜を右手に流しながらつぎの獲物へと────黒スーツは戦場を駆けていく。


「騎士道精神バンザァァァイ!!」


雄叫びを上げる敵に対し、石の盾とブロードソードを構えた同じ種類の石の騎士小隊ががっしりと迎えうつ。


「だから盾はァ、王には意味ないんだってェ、攻略不可の爆王斬!!」


防御の姿勢で盾を前に構え準備は万全と信じている騎士、ガードしてからのカウンターの機会をうかがっていたその石のコンピューターが思い描いていた思惑もろともを巨大な炎球がスベテを染め上げ呑み込んでいく。


騎士道精神むなしくまとめて光の粒へと還っていったノーマルな石の西洋騎士たち。


「ぐぴぴ……これが(ちまた)で噂の無双ってやつか! エロいゲームで無双するならお股にチンポ無双だけで十分だけどナッ、ラヴあスは爆王斬ッッッ!!」


緑の地に巨大な炎球の爆発花火がボコッと咲き誇る。

黒いビジネススーツのよそおいの侍と天守閣を守る騎士たちの炎熱激しい攻防が続く。


軍の前衛部隊として1人突貫していった父親をよそに、石像住民軍は行進をしていきついに石像騎士たちのテリトリーに侵入しぶつかり合った。


おっ始まってしまった石の戦争。


ただただ突撃をしかけぶつかり合う両者。


女神石像はリーダーの言いつけ通りに後陣でみずいろの魔法陣を宙に構築し、アクアスナイプ、弾速の速い水のレーザーで騎士たちの身体を撃ち抜いていく。


魔法を使える石像住民から発動された魔法は敵味方を関係なしに石の身を砕いていっている。


「さすがエロいゲームこのガバさ……範囲魔法が味方の援護になってねぇ、前衛はやってられないぞ」


「ミジュクセカイってだけのことはあるな。石像の戦争もいいけどちゃんとパーティーシステム整備しておけよ、必死で文明築き上げてる石像たちがかわいそうだろエロいゲーム」


それはそれとこれは俺も他人事じゃない、後ろから撃たれたらたまったもんじゃないな……。これだけの大規模バトルだ存分に気をつけよう。


「【爆炎斬】【爆牙斬】!!」


地から這い出た炎の牙が襲いかかってきた石の騎士達を貫き各個撃破していく。

もみくちゃる石像たちは敵味方入り乱れ砕き合う混戦状態になっている。


もはや善悪なんてどうでもいいよな、このカオスはよ。


「戦争ってよりお祭りか……よし」


「騎士道精神に(のっと)り、バカみたいにぶつかり合おうぜ石の騎士様ァ!! ついでにたんまりお金も稼がせてもらァう!!」


白蜜を手に、どうなるか予測の出来ない混戦の中へとその身を投じていった。

石像住民と父親パーティーの同盟軍VS石像騎士達のエロいゲームの裏の凝ったオマケ内、石を砕き合う珍妙な戦いは激しさを増していく。





「【爆炎斬】【爆破斬】【爆牙斬】!!」


舞い踊る渋い侍の炎の刃のコンボで次々と討ち取られていった石像騎士たち。


「地道に無双したとはおもうが……俺ってもしかしてけっこうつよいのか!?」


プレイヤーである父親は一騎当千の活躍をみせその戦局を決定付けた。石像住民軍は石像騎士たちの前線を壊し押し上げて行く、その勢いは止まらない。


じわりじわりと後退を余儀なくされる石像騎士たち、門からぞろぞろと湧き出てきていた部隊ももう品切れの打ち止めになっていた。


士気の差、戦力の差は明らか、


そしてついに。



上がった白旗。



天守閣の頂上から出てきた石のプレートアーマーの騎士が大きな白旗を振りはためかせている。

見間違えじゃない、ちゃんと意味を分かり振ってこちらに知らせているようだ。


「ナニィ、白旗!? ……って騎士様も使うっけ? まいいや、いやーそこまで彼らを追い詰めていたとはなんか暴れ回っちゃって申し訳ないな……!」


「よし、ならっなにはともあれ」


完全なる降伏宣言だなおも石の騎士たちを殲滅する意味は感じず、流れにしたがい白蜜を鞘に納め、ひとつ大きく息を吐いた。


フッ、これ以上の殺戮はきっと不毛だろう、この石の戦争イベントを経て文明と文明が混ざり合ってより良いこれからの発展のために、


「戦争にもルー」


見上げる視界に水のレーザーが空を疾り、石の兜を撃ち抜いた。


唐突に意味を失った白旗が地に舞い落ちていく。


降伏のサインであったはずのそれは緑の地にむなしく堕ちた。


石像住民たちの進撃はなおも止まらない、最終防衛ラインの天守閣近辺へと石の波がわちゃわちゃと押し寄せる。


そもそもその意味は伝わっていなかったようだ彼らには。

石像騎士たちと、石像住民。彼らの文化の違い、いやゲームシステムのガバさが生み出した悲劇であった。


もはや誰も、この石の海の流れを変えることは出来ないだろう。

プレイヤーとて────


「……誠に悲しいけどこれが……平然となっちまうのが、エロいゲーム……なんだよなァ!!」


それは一度は納めたはずの刀。白蜜を抜刀し、黒いスーツは再び戦場を駆ける。

こうなったからにもせめてド派手に騎士たちを弔おう!


「うおおおお、爆牙斬ッッッ!!」


文明と文明、どちらかが滅び光の粒へと還るまで戦いはつづく。





石像騎士達の抵抗むなしく天守閣は制圧、占拠された。終わった石の戦争、石像騎士軍は石像住民と父親パーティーの同盟軍により1人残らずその石の身を光の粒へと還されていった。


手にしたのは圧倒的な勝利。各々武器を掲げ、その場で飛び跳ねる石像たち。


五重の天守閣の最上階、父親パーティーと押し寄せてきた石像住民たちは完全にこの敵城を占拠し手中に収めた。


「エロいゲームに後味の悪さはいらないからな、お祭り会場誠に制圧スッキリしたぜ!! ハハ」


そして、仕事を終え納刀されるその美しい白い刀。


今度こそ戦いは終わりを迎えた。


後陣でアクアスナイプを垂れ流し父親の命令通りに活躍していた女神石像がおくれて彼の元に駆けつけて来た。


「おつかれ指示通りのアクアスナイプでちゃんとやってくれたんだな」


女神石像はうんうんと頷き背の羽をパタパタと元気に揺らしている。


そうだ。


「これでまりょくを回復しておいてくれ」


父親は女神石像にグレープグレープ天然水を手渡した。

迷わずぐびっといった女神石像。

女神石像はあざとい両手ガッツポーズを顔に寄せている。

これは……元気系女神!

ネットの女神石像ファンクラブのやつらの見れなかった表情がここにはある。すまないな、その他エロいゲームプレイヤーたち。

帰ったらみっちり報告してやるよ、ハハハ。


そして、しばらく。


石像住民たちは各々、素に戻ったかのように続々と石の背をみせ天守閣を降りていった。


「相変わらずオンオフが。……これぐらいがプレイヤーが介入すれには丁度いいのか? ハハ」


すっかり天守閣で2人きりになってしまった父親と女神石像。

石の行列がつくっていた足音はもう聞こえてこない。


「さてと」


気を張り直した父親は部屋の辺りの壁を右手でなぜかなぞるようぐるりと歩き始めた。


「ないか?」


「ガバいVRゲームの隠し部屋はだいたいこれで見つかるんだがな、そうもいかないと言うんだね」


一度しっかりとこの階を見渡してみると、

上部を白い蟻壁(ありかべ)で覆われている部屋に、甲冑や刀など和の要素を感じる様々なインテリアに何故か祀られている小さな神社。木彫りの男の像のようなモノが神社の中心に佇んでいた。


「殿様の趣味か? こんなところにあったよエロい宗教ナニソレ?」


そう言いつつ父親は左手にアイテムを取り出し、おもむろに。

その小さな神社の前にある置いて欲しそうな木の台に焼きおにぎりを供えてみた。


すると音もなしにその神社の奥に見える後ろの壁に開かれた、隠し部屋。


「隠し下手な神様め、エロい宗教に入っているエロいプレイヤーにはお見通しよぉ!」


さっそく隠し部屋、中に入っていくとただの狭い木造の小部屋の物置だった。


そして宝はすぐに見つかった。


見覚えのあるそれよりも美しく綺麗な緑の切っ先、緑の宝玉が柄にもあしらわれたデザインの洗練されたハルバードが雑に立て置かれていた。


「うおっし最高についてる! これがあのアッチで散々使ってきたエメラルドハルバードね。見た目も性能も最強に良いが……俺は脳筋なうえに刀しか使えないんだよなあ……。おそらくこれも惜しいが無理だろう、とはいえ父親さんは白蜜でもう最強装備だからいいんだが」


「まぁ使えなくてもさゲーマーに目の前の豪勢な武器を貰わないって選択肢は存在しないんです」


他にも色々あるなステッカーか。回収に決まっているな!!


隠し部屋にあった宝物は当然すべて父親の手で回収され電子の荷となり保管された。


「よーし、満足満足」


ここにはもう微塵も用は無い、ぐっと両腕を上げ伸びながら隠し部屋を後にし神社の前へと戻っていく────


「は!?」


父親は信じられない光景を目撃してしまった。

お供え、そこに確かに置いていたはずの焼きおにぎりが無くなっていたのだ。


父親は後ろを振り返りその残されたノコっていないミステリーの疑いの目を向ける。


ノーマルな石の表情をした彼女がこちらをじっと見返している。

まじまじと睨めっこしても答えは出ずこれ以上は女神が可愛いだけ、


「……どこかの神の腹ん中だよな」

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