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4竜の神殿



 結婚式の後、エルダー国の国民達は、4竜の祝福を受けた神の御使いが住まう国の国民であることを誇るようになった。

その誇りは、この国への忠誠につながり、私を害しようとする者は、おそらくいないだろうと言われるほどに、高まった。


 諸外国も、私達の結婚式に、多くの使者あるいは、直接、王族が、祝宴に参加していたのだけれど、4竜の祝福を見て、私を攫って自国に連れ出したり、あるいは暗殺することを、諦めたようだ、と、レジナルド王から聞いた。

「さすがに、神の逆鱗には触れたくないだろう。」


 その代わり、我が国にぜひいらして、我が国にも祝福をいただきたい、という要望が殺到しており、「当面、アルフレッド大公夫妻の外遊の予定はない。」と断るのに、外交に携わる役所が、苦労しているという。

何度断っても、そこをぜひ。と何度も依頼が来るのだから、本当に大変そうだ。

いつかは、各国との親睦を深めるため、アルフレッド公と外遊しなければいけないかもしれないけれど、その時、どの順番で回るか、悩むだろう。




 私達は、今、また、神の御使いを呼ばなければならなくなる、あるいは、呼ばなくても済むようにする方法について、何度も、相談している。


 4竜の浄化については、おそらく、大地または、4竜に、手を当て、浄化の光を強く流し込むことが、最善なのだと思われる。

「数千年にわたり苦しめてきた」という言葉について、シュヴァルスに真意を聞いたところ、今までの神の御使いは、ただ居るだけで、ゆっくりと国土を浄化したけれど、4竜を完全に浄化した者は、いなかったのだそうだ。

ある程度、4竜の黒いモヤが取れれば、4竜の憎悪や怒りは消える。

だから、魔獣も減った。

だけれど、完全に黒いモヤが取れないので、なんとなく、不快感は残っていた、のだそうだ。

それが当たり前になっていて、疑問にも思わなかったけれど、今回、私に直接浄化された結果、完全に黒いモヤが消え、数千年忘れていた、清浄なすがすがしさを、取り戻せたのだそうだ。

当たり前だと思い込んでいたのが、そうではなかったことに、4竜も驚いたという。


「本来の我らを取り戻したのは、ユーリ、その方だ。」


 だから、当分・・・、おそらく、今までで、一番長い期間、魔獣があふれることはなさそうだ、と言われているけれど、人のマイナスの想念は、決して無くなることはない。

いつかまた、はるか未来に、魔獣は、きっとあふれるだろう。

その時に、浄化の方法を、記録として残しておきたい。

あるいは、魔獣があふれる前に、4竜を定期的に浄化したい。


 どちらも、とても難しかった。


 神の御使いに関する記述は、知らないうちに消滅する。それが、この世の理であるならば、どうやって浄化の方法を残せばよいのか。

 また、4竜を定期的に浄化するには、何をすればよいのか。

これについては、シュヴァルス達も知らない。と言った。



 ある日、ふと、日本では、どこにでも寺社があって。悪霊を払う意味を持つところもあることを、思い出した。

もしかしたら、4竜の住まう場所に4竜のための神殿を建て、多くの人が、そこに感謝というプラスの祈りを捧げたら、少しは違うのではないだろうか。

 マイナスの想念が、竜に届くのであれば、それを打ち消すプラスの想念も届くのではないか。と。


 アルフレッド公に相談したら、何もしないよりは良いかもしれない、と、賛成してくれたので、レジナルド王にお願いして、東西南北四方に、それぞれの竜の神殿が建てられた。

 4竜の祝福の声を聞いた国民が、神殿を建てることを聞いた途端、我も我もと協力を申し出てくれ、寄付もたくさん集まったので、数年たたずに、美しい神殿が、建てられた。

 どの神殿も、真っ白い建物で、礼拝室には、各地の竜、北は黒竜、南は赤竜、東は青竜、西は黄竜の大きな、神像が正面に飾られ、その前のテーブルには、常に多くの花々の献花が捧げられるようになっている。

 国民は、この竜の神像の前で、竜に対し、この国を守護してくれることへの感謝の祈りを捧げる。

 マイナスの想念を払うための神殿なので、礼拝室には、怒りや妬み、などを持ち込んではならない。そのような心がある者は、神殿に出入りしないように。と神殿の入り口で大きく掲示してもらった。







 この国に召喚された日に、いきなり、結婚相手を決めろと言われて驚いた日から、何年も経ち、いつも思うのは、この国の人たちの優しさ、だろうか。

この国の人たちは、本当に優しい。

だから、この国の神は、神の御使いというものを、彼らに与えたのだ、と思う。

異世界から来る神の御使いは、皆、決して、不幸だったと思わない。むしろ、幸福に一生を終えたのではないか、と思っている。


「ユーリ。」

 今日も、夫が、手に大きなバラの花束を持って、近づいてくる。

結婚しても、アルフレッドの優しさは変わらず、むしろ、溺愛が深くなる一方だ。

愛してくれるかどうか、不安に思った日々は、はるか彼方に消え、ここに召喚されたのが、自分で良かった、としみじみ思う。


「アル。」

 万感の思いを込めて、夫に呼びかければ、ふわりと、優しい抱擁が、私を包む。





お付き合いいただき、ありがとうございました。

誤字報告や感想も大変助かりました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最後まで読ました!面白かったです!それにしても神の御使いも命がけですね。何度もさらわれて、、、
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