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西の領地にて7



 その後、ルーカス王子から報告があり、私を監禁したのは、フェロー王国の元帥カスタロフだと断定された。

目的は、私が聞いたとおり、魔獣の浄化と、この国に戦争を仕掛ける際の、魅了の力を利用すること。

 彼の独断ではなく、フォロー王国の国王の指示だった。

私の魅了の力を教えたのも、フェロー王国国王。

国王が、魅了の力が神の御子にあると知っていたのは、国王の祖母が、エルダー王国の公爵家から来た令嬢だったから。

この令嬢が、エルダー王国の神の御子の黒い瞳には、気を付けなさい、と国王に伝えていたそうだ。

リリアナ妃が、あの令嬢か、と怒っていた。母に聞いて、知っていたらしい。

エルダー王国に居られないほどのスキャンダルを起こしたので、父親の公爵が、放逐する形で、フェロー王国に嫁がせた令嬢だそうだ。

とっくに、この国では忘れられた話だけれど、まさか、この国のトップシークレットをべらべらしゃべっているほどの愚か者とは思わなかった。と。


 ともあれ、カスタロフの情報では、魅了の力を知っているのは、国王と、カスタロフだけ、のはずだそうだ。国王は、父王から、エルダー王国の神の御使いについて話を聞いたけれど、その当時、神の御使い自体が存在しなかったため、ころっと忘れていて。私の噂を聞いて、思い出し、もし、本当にそのような力を持っているなら、利用できないか、試してみたい。と、カスタロフに誘拐を命じたそうだ。

魅了の力は、両刃の剣なので、国王も、周囲に情報を漏らすつもりは無さそうだ。


 私を監禁した屋敷の持ち主は、カスタロフが出資していて、カスタロフの手足として動いている商会だった。

表向きは、著名な貿易商、裏では、違法な取引をしていた。毒薬や麻薬は言うに及ばず、人身売買も。ちなみに、この世界では、人身売買は、どの国も禁止している。見つかったら、売った側も買った側も、死罪になるほどの重罪。

その証拠の在り処も、カスタロフがしゃべってくれたので、エルダー王国内のすべての支店を一斉調査して、関係者を逮捕し、今後、この商会全てを、エルダー王国から、放逐すると、ルーカス王子は、言った。

 つまり、屋敷の中で捕らわれた者は、全員、人身売買にかかわっていた、とされ、西の領主の裁定で、全員、死罪が確定、近日中に執行される。

 ちなみに、この商会の関係者が、私が連れ去られたことの偽装のため、何人か、街から出ていたけれど、全員逮捕済みだそうだ。



 カスタロフも、王都に送られ、正式な裁判を受け、死罪になる。

本来は、フェロー王国に罪人として、送還すべきだけれど、偽名を使って我が国に入国していたため、その偽名で裁くとのこと。

フェロー王国の元帥は、戦略家として有名だけれど、好戦的かつ、残虐性が酷いので、恐れられている。そして、人身売買の総元締めでもある。

だから、人身売買の罪で裁いてしまうのだそうだ。それはすなわち、元帥も居なくなることを意味し、フェロー王国の戦力を削げるらしい。


 人身売買で裁くなら、西の領主が、他の罪人と一緒に裁いてしまっても良いけれど、せっかく魅了をかけて、素直に何でもしゃべるようになっているから、フェロー王国の情報を、王宮が洗いざらい調べてから、裁判にかけると聞いた。


 カスタロフは、私から、聞かれたことはなんでも正直に話すようにと命令された上で、王宮に護送されていった。



 カスタロフが、王都に向けて、護送されてから、ようやく、西の領地も落ち着きを徐々に取り戻し、閉鎖されていた船着き場も開放され、フェロー王国とエルダー王国の間で、再び、船が行き交うようになる。


 それと同時に、フェロー王国から「こういう人物を見なかったか?」と、カスタロフについての問い合わせが入り、西の領主は、「知らぬ。ただ、人身売買が発覚した、貴国の商会の従業員は、国際法に則り、全員、死罪とした。」と回答した。


 また、レジナルド王の名前で、「フェロー王国の商会が人身売買に関わっていた。全支店の調査を。」と、各国に向けて警告が発信され、各国に支店を持っていた、この商会は、エルダー国以外の国でも、一斉調査の対象となり、人身売買の証拠が次々挙げられて、潰されていった。


 本店があるフェロー王国も、各国に送られたレジナルド王からの書簡に、証拠となる書類の写しが入っていたため、しらばっくれることができず、本店も、取り潰しになり、関係者は死罪になったらしいけれど、フェロー王国に限っては、国王も見て見ぬふりをしていたそうなので、完全につぶしたとは言えないだろう、と、アルフレッド公が、苦々しげに吐き捨てる。




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