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ロボゲー世界のMechSmith  作者: GAU
第一章 鈍色の魂持つ者の誇り
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第51話 戦果


 一方ジャンクの山では。

「~♪」

 リムが上機嫌そうにパーツを解体バラしていた。

 道具は無くともファクトリードロイドやメンテナンスドロイドが代わりを務めてくれるので問題ない。

「お、Bランクのモーター発見~♪ こっちのケーブルは……残念、完全におしゃかかぁ」

 ぶつぶつ呟きながら一喜一憂するリム。

 それを努めて気にしないようにして、右腕と頭を失った黄金の機体が、前足を失ったアラクネアを左手一本でベースに乗り入れたレンタルキャリアの荷台に運んでいた。


 ちなみに左腕は瓦礫に埋もれていたのを回収したものだ。

「派手にやられたわねえ」

『そうだねえ。私もまさかゴルディがここまでやられるとは思っていなかったよ』

 キャリアの運転席でぼやくランティーナに、レオンは作業の手を止めずに答えた。

 キャリアには痛々しいほどにダメージを受けたGSが積まれている。

 五体がしっかり残っていたのはリリィのボクサー位だ。

『修理費がいくらになるやら』

「ゴルちゃんは高いからねえ」

 嘆息するレオンに、ランティーナは肩をすくめた。

 全身を重合金製の特殊装甲で覆われているゴルディレオンは、フルメイド機体のため評価額は異様に高い。

 必然的に修理費も高額で、しかもレア素材やレア系製作機械が必要になる。

 そのため、NPCメックスミスには修理ができないと断られてしまうのだ。

 支配企業に直接修理を頼むのが一番簡単なのだが、フルメイド機は修理費がさらに上乗せされるので、報酬が無くなり赤字となることもしばしばある。

 それに比べればリムのようなプレイヤーメックスミスに素材持ち込みで修理を依頼する方が良い。

 修理が難しい機体や評価額の高い機体をいじる方が、メックスミス自身の経験値の実入りが良い。また製作系スキルの習熟度も上がるので基本喜ばれる。

 特にリムのようなほとんど専業の高レベルメックスミスは、スキル習熟度が上限に近いせいか普通の機体修理や機体製作では、ほとんど習熟度が上がらない。

 ゴルディレオンのようなレア系フルメイド機の修復は、リムたちには実に“美味い”作業なのだ。

『まあ、素材のストックは十分あるからね。リムに頼むとするよ』

「わたしもリムに頼もうかしら~」

 レオンの言葉にランティーナも呟く。

 彼女の機体もステルス機のパーツ主体で造ってあるため、それなりに修復が面倒だ。

 それはアサクラのブラッドストームにも、リアノンのパープルキッスにも言える。

 どうやらリムの本番は、これからのようだ。

「やたっ! Aランクケーブル発見! 伝達効率アップ間違いなし!」

 とはいえ、それは彼女にとって至福の時に違いは無さそうではあるが。

 ジャンク山の中心で小躍りする歩にて少女の姿に、レオンもランティーナも苦笑する。

「おーい。こっちはどうだー?」

 そこに声が掛かった。

 アサクラだ。

 アレクとリリィ、リアノンも居る。

 どうやら機密情報の抜き出しは終わったようだ。

『みんなの機体は積み終わったよ。後はリムの気が済むのを待つだけだね』

 アサクラにレオンが答えると、キャリアからランティーナが顔を出した。

「あっちはどうするの~?」

 ランティーナが示した方を見ると、隻腕となった鎧武者に、所在無さげな女ライダーの姿があった。

 アヤメだ。

 傭兵である彼女は捕虜にも出来ないし、彼女の愛機の鹵獲も出来ない。

 別の国の機体であるため、修理も難しい。

 遠方で傭兵をするというのはいろいろ大変なのだ。

「……ま、向こう次第だろ。とりあえず一休みしようや」

 そう告げてアサクラは頭を掻きながらキャリアへ向かう。

 それを見てランティーナが笑みを浮かべた。

「じゃあお茶の用意するわねえ?」

「軽食もヨロ~」

 言いながら頭を引っ込めたランティーナに、アサクラはそう言いながらキャリアのキャビンへ上がる。

「じゃあリムさん呼んできますね?」

 するとアレクがそう言ってリムの方へと小走りに走り始めた。

 それを見て、リリィは「ちょっとアレク!」と声を挙げながら追いかけ始めた。

 そんな二人の様子に、リアノンとレオン、アサクラ、ランティーナは生暖かな視線を送っていた。


「リムさん!」

 そんなことには気付かず、アレクはリムの背中に声を掛けた。

 リムは答えずに立ち上がる。

「キャリアでみんなが……」

「アレク君っ!」

 アレクの声を遮るように声を挙げたリムは、振り向きながら彼に飛び付いた。



『あああ~~~~~~~~~~~~っ?!?!』



 残骸の山の中で、少女の悲鳴のような声が響き渡った。

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