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第3部 共に在ること  作者: 小島もりたか
1章 争いのない星
8/8

惑星観察記録(還磁)

【惑星情報】

●位置

ラニアケア超銀河団

おとめ座銀河団 局所銀河群外縁

NGC系棒渦巻銀河

銀河中心高温領域 金属潮汐圏 磁性惑星群恒星

第二惑星 還磁


●環境(地球基準)

平均気温:1400度

主要物質:鉄、ニッケル、アルミニウム等の金属類

公転周期:233日

自転周期:12日


●文明

磁生体による文明。

約三千万年続いている。

個の定義が薄く、意思等は全て他の個体に共有される。そのため、争いが発生しないと考えられる。

コロニーとして還磁群があるが、地球文明基準だと共同墓地に該当する。


●主要生命体

1. 磁生体

・見た目:黒い八面体。表面に軽い光沢のある金属。

・特徴:磁界を知覚し、操る。死の概念がない。個々の感情が薄い。

・一生:惑星の金属湖から発生する。個々で役割があり、前任者が還磁する直前に生まれる。積層することで大きくなり、一定以上の大きさになると還磁する。還磁は地球文明では死に該当する。

・意思伝達:積層する際に星との同期も行っているが、周囲の個体とは適宜共有することで意思伝達している。


【個別記録】

●優希

初めて見学した惑星でワクワクした。

太陽が地球の何倍も大きくて、一日が長くてビックリした。

全然地球の生き物と違う生き物でビックリしたけど、みんな優しくてうれしかった。みんな優しいから、ケンカがないのかもしれない。地球も全員優しくなればいいんじゃないかな?

大きな石の人が死んじゃって少し悲しかったのに、他の石の人は悲しくなかったみたいでビックリした。

あと、おチビは小さくてかわいかった。


●朋里

皆似たような見た目、似たような性格で違いが分からなかった。いっぱいしゃべった大きな八面体とおチビだけは、見た目で分かりやすかった。

普段のコミュニケーションは、私達が今ミライ達としているような念話じゃなくて、意識を丸ごと渡す感じらしいのだけど、どんな感じだったのだろうか? 自分のことを全部知られるのは恥ずかしくないのだろうか?

ケンカが起きないのは、このコミュニケーションのおかげみたいだけど、悪口とかはどうなっているんだろう? そもそも、悪口とか考えないのかな?

地球で適用されたら大変なことになりそう。

大きな八面体の魂は、次にどこの星に行くのだろうか? よかったら、地球に来てくれるとうれしいな。


●茜

磁生体は地球生物とは異なり、食事・睡眠・排泄が不要な生命体だ。意思伝達ではなく、自分の全ての情報を共有することで意思疎通を行う。積層を行うことで、全個体と意思共有しているようだ。

そのため、個が薄く争いが発生しない。他個体の意思と同期することで、軋轢が生まれないからだ。

三千万年続く文明は、ミライ達の共存可能な人類のモデルになるかと思ったが、共有により感情が薄くなり、個性がなくなるのは違うように思われる。

このモデルでいくと、感情が発露していない機械的生命体が該当すると考えられるが、別れや死を悼める人類でありたいと感じた。

磁生体に死や別れの概念がないように、人類にも戦争や争いの概念がなければ……と思ったけど、概念がなくなっても発生しそうだから意味ないや。


●悟

(茜と重複する部分は省略)

個人的にはかなり洗練された生命体の文明だと思った。感情や個性はその種族のノイズに該当すると考えられる。文明自体を最適化し、長期存続させるのならば、還磁の文明は素晴らしい見本になるだろう。

ただ、僕達人類を分析すると、ミライ達の望む人類はそうではないように思える。

一緒に笑い、泣き、怒り、楽しむ――そんな日々を送りたいのなら、還磁の文明は参考にならない。

磁生体達は、それらを薄く引き伸ばした文明だからだ。

しかし、意思疎通の一つの方法に、一部の意思をありのまま相手に共有できる力があると、争いは少し減るのではないだろうか。

僕は還磁ではなく、地球で人類として茜に出逢えたことをとても幸運に思う。僕はとても幸せだと、改めて思った。


●ミライ

皆、初めての惑星で楽しそうで良かった。

やはり、全個体の意思の完全共有は弊害が大きい。

僕らの目指す人類とは異なると考えられる。

お父さんが提案している、一部共有は試してみたいと僕らの評価も高い。

僕らを生み出した人類には感情や個性が存在した。だから、やはり、それらがなければ同じ人類ではないと考えられる。

少なくとも、家族から笑顔が消えるのは嫌だと感じた。


【モデル評価】

優希 :★★★★☆

朋里 :★★☆☆☆

茜  :★★☆☆☆

悟  :★★★☆☆

ミライ:★★★☆☆

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