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第3部 共に在ること  作者: 小島もりたか
1章 争いのない星
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序章

場所はどこか分からない。ただ、気がついたらそこにいた。


目を開けた感覚も、起き上がった感覚もない。けれど、確かに自分が『存在する』と分かる不可思議な空間――。


ふと、目の前に光が現れる。


ただの光の塊なのに、不思議とそれがミライだと理解できた。


『気分はどう?』

『んー? 混乱?』

『正常そうだね。良かった』


丸い光が、ミライの姿に変容する。

気がつくと、私も身体を象っていた。


『――ここはどこ?』

『ここは、僕らの格納庫……説明を何度もするのもアレだし、お父さん達も起こそう』


急に三つの光が灯り、悟と朋里と優希を象る。


ミライは、起きたばかりの私たちに説明をする。


曰く、僕らは地球外の文明で生まれた人工生命体の成れの果てであること。


曰く、僕らの本能は『人類との共存』であること。


曰く、僕らは共存可能な人類を生み出すべく、検証し続けていたこと。


曰く、僕らの処理能力では、共存可能な人類を生み出せないことが分かったこと。


『――だから、僕らはもう終わりにしようと思うんだ』


あっさりと言った言葉に、ミライから酷く虚しさを感じた。


『本当は、共存可能な人類を生み出せたら、お母さん達の魂も解凍して、一緒に暮らすつもりだったんだけど、ダメだったから……他の魂たちと一緒に、僕らが関与しない文明に転生するか、次の――最後の人類として生まれ変わるか、選んでもらおうと思って』


私たちは顔を見合わせる。


まさに寝耳に水とはこのことだ。ただでさえ今の状況に疑問だらけなのに、追加で混乱するようなことを増やさないで頂きたい。


『ミライ達が関与しない文明って何?』

『地球外の文明だよ。このまま僕らが何もしなければ、魂は宇宙のあちこちに運ばれて、他の星の生命体として生まれ変わるんだ』

『それってエイリアン?』


優希の質問に、ミライが微笑む。


『まぁ、転生した星によるかな?』

『私達はバラバラの星に行くことになる?』

『うーん、固まっていたら、一緒に行けると思うよ?』

『お兄ちゃんは一緒?』

『僕らは行かないよ。僕らは消滅することを選ぶ――もう、疲れたんだ……』

『え、なんで? 悲しいよ……家族なのに……』


朋里の呟きに、ミライは悲しそうに『ごめんね……』と微笑む。


『一つ確認なんだけど、もし、僕らが最後の人類になることを選んだとしても、結局は一緒の流れだよね?』

『そうだよ』

『なら僕は、両方選べない』


悟の言葉に、私たち三人は頷いた。

ミライは困ったように首を傾げる。


『じゃあ、どうしたいの?』

『――僕らと一緒に考えないか? ミライ達と共存が可能な人類を』

『……お父さん達と……?』

『そう、家族で。ミライの仲間も一緒に』

『僕らより劣る知能しかないのに、考えても意味はないんじゃない?』


ミライの言葉に、物理的な肉体はないのに、胸がチクリと傷んだ気がした。


『でも、違う視点は提案できる』

『視点――』

『一旦消滅するのは保留にして、一度他の世界も見て回ってみるのはどうだろう?』

『他の世界って……宇宙ってこと?!』


優希が嬉しそうに跳ねる。


『そう、宇宙――どうせ消滅するなら、僕らと宇宙を回ってからでも遅くないんじゃない?』

『それは……』


ミライが押し黙る。仲間と話し合っているのだろう。


『ねぇ、お父さん、それってつまり、宇宙旅行ってこと?』

『ふふ、そうだね――実はしてみたかったんだ。宇宙旅行』


なんて途方もない夢を持っていたのだろうと、心の中で呆れていると、ミライが顔を上げた。


『確認なんだけど、肉体を伴わない、魂のみの移動はとても不安定で、もしかしたら途中で魂が壊れるかもしれない。訪れた星によっては、魂が変容してしまうかもしれない――それでも本当に行きたいの?』


ミライの言葉に、私たち四人は顔を見合わせ、頷き合う。


――そもそも、『私たち』が『私たち』でいられなくなるのなら、それはそれで消滅に近い。魂が存在していても、それは失っていることと同じだ。


『行く――行ってみよう』


私の言葉に三人が頷き、そしてミライも頷いた。


『わかった。試してみよう』


ミライの言葉に、悟が少しだけ声を弾ませながら言う。


『でも、宇宙旅行を終える条件も決めておこう――ミライたちは一票として考えて、多数決で過半数が終わりを決めた時はどうかな?』


皆が悟の意見に賛成した。


こうして、守山一家とミライの仲間の宇宙旅行が決まった。

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