がらんどうの部屋
笑顔に戻った静香と別れた後
アキは考え込みながら歩いていた。
静香はなぜ泣いたんだろう?
なぜ俺に女らしくしてほしいんだろう?
かわいい服を勧めてみたり
男の言葉は使うななんて
なんで言うんだろう。
何度も歩いた
自分の部屋への帰り道。
アキは突然謎だらけの
生活に陥った自分にまだ困惑していた。
歩きながら下を向く。
見えない。
足元が見えない。
自分の胸が邪魔をして下が見えないのだ。
はああ、、
ため息をつくアキ。
それにしても
このままずっと女のままじゃ
静香とも付き合えない。
それだけは、、、
それだけは困る!!
アキは心の中で
そう叫びながら部屋へと続く階段を上っていく。
鍵を取り出し
安っぽいドアを開ける。
ぎいいい、、
これまた安っぽい音を立てながらドアが開く。
靴を脱ぎ部屋に上がると
アキは何かの違和感を部屋に感じる。
おかしいな?
何かがおかしいぞ、、、って!!!
アキが驚くのも無理もない。
部屋の中はがらんどう。
アキの家財道具一切がなくなっていたのだ。
きれいさっぱりとした部屋の中で
唖然とした顔で立ち尽くすアキ。
頭の上にひよこでも飛んでいたら
ちょうど良いような顔をしたアキは
一言つぶやいた。
「またかよ、、、」
床にぶっ倒れるアキ。
そしておもむろに
アキは泣き叫んだ。
わーーん!
という声が何もない部屋の中に響き渡る。
無理もない。
朝起きたら女になってて
好きな子には突然泣かれ
家に帰ってみたら
部屋の中がからっぽになっていたら
誰だって
泣き叫ぶぐらいのことはするだろう。
哀れなアキは
その後も泣き続けた。
そして
泣き叫ぶアキの耳に
突然声が聞こえる。
その声は
耳に聞こえるというよりも
心の中に響いてくるように
アキに語りかけていた。
「だ、だれだ!!」
驚いてアキは周りを
見渡すが
部屋の中にはアキ以外は
誰もいない。
その声は繰り返し
アキの心に語りかけてくる。
お兄ちゃん、、、、
お兄ちゃん、、、、
悲しげなその声は
がらんどうの部屋の中に
それからも繰り返し
響き続けていた。




