第九十七話 人類と悪魔
悪魔アザミが出現してから三日後、王都周辺では悪魔の目撃が相次ぎ始めた。
とは言っても小柄で羽も小さく角の生えていない低級悪魔ばかりだった。しかしこいつはC級の冒険者三人でやっと倒せるの
相手だからそれなりの脅威には変わりない。
俺とラナ、そして新しくパーティーに加わったネネは一緒に郊外に来ている。
一応S級が日替わりで門番をやるということにしているのだが未だ大きな事件は起こっていない。それゆえ不安も煽られるわけだが。
一方国王の勅令として軍事力の総投入が決定された。
C級以上の冒険者も強制的に討伐へ参加する。そもそも逆らおうとすれば自分の居住地区がなくなるわけだし致し方ない。
低、中、上級悪魔の見分け方は、まず低級が先ほど言ったよう小柄で小さい羽、角はなくまた喋ることもできない。
そして中級はというと、これが一般的に悪魔と言って連想されるものだ。羽、角はしっかりと生えていて言葉を発することはできないにしてもギャギャギャというような金切り声を出したりするようだ。
そして上級悪魔は大柄であり個性的だそうだ。個性的はというと、角が中級で二本生えているのだが三本生えていたり、羽の色が異なったりと個人的な特徴を持っているらしい。
いつでも戦いに入れるように、こうして暇な時間にはお互いの魔法なりをしっかり理解しようとしている。
レベルアップしていたラナは、中級魔法と氷雷魔法が使えるようになった。これで属性が八個か。
一方ネネは味方を回復させる魔法以外は基本個人技が多いので立ち回りの邪魔をしないようにしようということを話し合った。
そうこうしているうちに、不意に自分たちの近くに気配を感じた。
「何かいる……?」
まず索敵を使う。大体30メートル先に魔物の反応……いや悪魔か……?
――ギャーーーーーー!
不快な気分になる音が聞こえてきた。
声が発せられるということは中級以上!?
すると姿を表した悪魔は、地面を蹴りそのまま着地せず羽を広げて滑空するように向かってきた。そして爪を立てて振りかぶる。
「そうはさせない。『カシ』!」
並立思考を使い木を連続で生やす。
最初のうちはかわしていた悪魔だが、苛立ったのか振りかぶった手が俺たちに届く前に振るった。
すると樫の木が三つほど抉られ倒れる。
同時に悪魔の移動も止まった。
容姿を見るに個性的な外見はないので中級か。そして中級でこの攻撃力……。
悪魔は再び地面を蹴った。流石に不意を付かれなければ対処は余裕だ。
挿していた剣を抜刀し一刀両断。魔法を使う必要もなかった。
「ロイさん一人でやっちゃいましたね」
「まあ中級だったから当然ちゃあ当然だね」
「いや、二人とも。中級でこの攻撃力は俺らは大丈夫にしても普通なら十分な危険だ。そしてこれが単体なら取るに足りないが大群で来たとしたら俺らでも危ないかもだぞ」
そう、今は一匹だったから余裕だったが複数だったら……そしてそのときはすぐ来ることとなった。
■□
いつも通りの日常。街には緊張が迸ってるが少しの安泰に最初ほど張り詰めた様子はない。
そんな中だった。急にあの脳内に響き渡るような声が国民全員に届く。
『お待たせした諸君。さて始めようか悪魔の行軍。いや、侵略を!』
そして空を見上げると、アザミを先頭に黒い斑点が空を埋め尽くすように存在していた。その数はスタンピートよる多く人々に絶望を与えるには十分なほどだった。
『ゆけ』
その一言で黒い斑点がまるで雨のように降り注いできたのだった。
俺はまず索敵を発動させた。
「くっ……!」
あまりの情報量に一瞬頭痛が走る。
スキルレベルもそれなりに上がっているためより強い反応だけをピックアップする。
「強いのが13個……そしてその中で一際強いのが4つか……」
俺は急いで宿の中にいるS級全員にそれを伝える。
この日のためにS級は全員同じ宿で泊まることにして、索敵を持っている俺が特級悪魔の居場所を割り出すということを決めていた。
「じゃあ俺が一番強い反応のここにいこう」
「……ここがいい」
「それなら――」
そしてS級が各々どこへ赴くか決まった。
ヨウラクさんが口を開く。
「いよいよだな。みな頑張ろう」
「「「はい!」」」
そして人類対悪魔の戦いが始まったのだった。
シナリオ自体は決まっているのに、文章に起こすことが全然できなくなるという事態に。
文量が少ないですが……




