レジスタンス編⑥
──銃声が鳴り響く。金属と金属のぶつかり合う音。血が零れ落ちる音。
ぶつかり合う2人の男達。宿命の対決は、切って落とされた──。
*
「最初から……かますぞ!」
リアに話しかける。魔力のこもった特殊な銃弾を装填し、俺は弾に意思を込めた。
──勝負は、殺す気で行く。そうしないと決着を果たす事はできない。
「迷うな。撃て……!」
俺は、引き金を引いた。銃弾は一点のブレもなくエンジェルへ向かっていった──!
「……全て撃ち落とす!」
だが、対してエンジェルは金色の槍を両手で回転させて魔法陣を至る所に出現。中から無数に槍を召喚し、大雨のように降らせる。
「くらえ……!」
──瞬く間に槍と銃弾が相殺する。
「……まだだぁ!」
しかし、槍が止んですぐに俺は、すかさず引き金を引いた。
エンジェルも同じく槍を一つ放った──! 両者の攻撃が、それぞれの頬を一直線に貫いていく。
2人は、傷を負うも、それでも互いに攻撃をやめない。槍と銃弾が何度も交差する。その度に傷が1つ……また1つと増えていく。
「ぐっ……!」
とうとう俺は、右肩に槍が突き刺さってしまい、身動きも取れなくなる──。
激痛が……尋常じゃない激痛が、俺の心を乱す。かろうじて、槍を引き抜くも……それがむしろ痛みを加速させる。
──尋常じゃない出血……。痛い。痛すぎる!
「……ここまでのようだな? 佐村光矢」
エンジェルがマントを広げ、そう告げる。俺は、地面に手をつきながら奴の事を睨みつけていた。
「……決着は時期につく。どうやら、時が動き出すよりも先に終わりそうだな」
奴は、俺の後ろで苦しんでいるスターバムを見ていた。
──確かに……魔力も尽きそうで、時期にこの止まった時の世界も終わりそうだ。だが……。
「……その前にやられんのは、お前の方だ。……エンジェル!」
俺は、立ち上がる。そして、銃口を奴に向けて言い放った。
「お前を……止める!」
痛む右肩を抑えながらも引き金を引き、駆け出す──!
「望むところだ。来い!」
エンジェルも槍を構えて、俺の弾丸を弾いたり、切断して防いだが、そんな中でも俺は、奴の元へ走って行き──。
「……捕まえたァ!」
エンジェルのマントを掴み、引っ張り上げる──!
「何のつもりだ!?」
──間髪入れずに銃を持った手で奴の顔面を思いっきり殴った。
物凄い音がして、よろめいたエンジェルの胸ぐらを掴むと俺は更にあいつの顔面を力一杯殴った。
「……それが、エッタの痛みだ! 分かったか? このバカ野郎!」
エンジェルは、激しく怒った態度で俺を睨みつけてきた。
「お前に何がわかる──!」
「分かるさ。エッタの苦しみならな!」
更に俺は、あいつを殴った。やがて、エンジェルはフラフラした足取りで倒れ込んだ。
「……くそ。こんな奴に……」
心底悔しそうな奴に俺は、言った。
「目を覚ませ。こんな事してる場合じゃない。俺達は、一緒に協力しなきゃダメなんだ」
「そんな事……」
エンジェルは、唇を噛み締めていた。彼の口から一筋の血が流れる。
スターバムの時間停止も解除された……。すると、その時──。
「何をやっているのですか? 陛下」
1人の男が、俺たちの前に姿を現した。その男は、カウボーイハットを被った外人の見た目をしている。
──コイツは……!
男の顔を見てエンジェルは、告げた。
「サンダンスか……。何の用だ?」
俺は、奴を睨みつけた。コイツが、サンダンス……!
奴は言った。
「いや、手こずっていると思ってな。陛下がその様では、せっかく配下にした魔族達がついてこない。よって、とどめは俺が刺そう。良いか?」
すると、エンジェルはサンダンスから視線を逸らして悔しそうに告げた。
「勝手にしろ……」
「御意」
すると、途端にサンダンスは、掌をかざし、魔法を発動。目の前に立っていた俺をチェーンで動きを封じた。
「なに!?」
そして瞬く間に奴は、必殺を放とうとする……!
「くらえ。魔王に刃向かった罰だ……!」