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迫り来る運命編③

 ――ルアとの仲直りもできて、俺達は最初の朝を迎える。次々と起き上がる仲間達に一番最初に起きていた俺=佐村光矢は、朝ご飯を振舞った。


「……ほら。お前ら、いつまでもウトウトしてないで、さっさと俺が作った朝ご飯を食べちまいな!」


 俺が、眠い目を擦りながらゆっくり朝食をとるルリィ達にそう告げると、彼女達はウトウトした目を擦りながら、ゆる~っとした声で「は~い」と返事を返してきた。


 そんな彼女達に呆れて溜息をついていると、後ろからルアの声がした。


「……俺のじゃなくて、”俺達”だよ? 光矢!」


「ん? あぁ……そうだったな」


 今朝の料理もルアに手伝って貰ったんだ。指を切った俺を心配してくれて、包丁などはルアがやってくれた。俺は、炒めたりするだけで凄く楽だった。俺達は、2人で目を合わせてお互い笑いあった。


 すると、そんな様子を見ていたルリィ達が、いやらしい微笑みを浮かべながら告げてきた。


「……どうやら、仲直りできてたみたいですわね。殿方様達……」


 すると、今度はシーフェが……。


「ほんっと、世話の焼ける奴ね。コミュ障ってこう言う時に困るのよねぇ~」


 更にサレサも……。


「……でも、何はともあれ仲直りができたのなら私も嬉しい」


「ははは……今回は、お前らに助けられたな。ありがとう……」


 仲間達の事を見渡しながら俺は、お礼を述べた。彼女達は、口々に「どういたしまして」を言っており、そのタイミングは全部バラバラだった。


 そんなやりとりの後、俺は食後の片づけを行った。サレサが出してくれる水の魔法で食器を洗い、洗い終わったものから順番にルリィの収納魔法の中へしまっていく……。


 そうして、食器や調理器具を洗い終えたら、さっそく旅の準備に取り掛かる……。


「すぐに出発するぞ! ここ最近は、かなり順調に進む事ができている! この調子で、一気にマリアの元まで急ごう!」


「「「おお!」」」


 仲間達の返事を聞き、俺は早速自分の旅支度を済ませる。後は、ルリィが龍の姿となってくれれば良いだけ……と思っていたその時だった。



 ――凄まじい爆発音が、俺達のいる場所よりも遠くから聞えてきた。そのあまりに大きな音に遠くにいたはずの俺達にまで緊張感が伝わって来る。


「……何が起きているんだ?」


 気になった俺は、早速走り出した。


「……すまん! お前達は、ここにいてくれ! 俺は、向こうの様子を見に行ってくる!」


 そう言うと、俺は早速銃の中にいるルアを連れて駆け出した――。


 今の爆発が、誰に向けてのものなのか? まさか、自分達がここにいる事が、もうバレてしまっているのか? それとも何か別の……他の誰かに向かっての攻撃なのか? そんな事を色々と考えながら俺は、音のした方向を真っ直ぐ走って行き、森を出る――。


 すると……。


「え……?」


 森を出た先で俺が見た光景は……大勢の人間達と魔族達が、互いに睨み合う構図で武器を手に持ち、鎧を身に纏っている光景だった。


「これは……」


 俺は、思わず口が開いたままになっていた。何も言えなくなっていた俺だったが、そこに銃の中から姿を現したルアが、告げる。


「……光矢、これって……」


「あぁ……。戦争だ。人間と魔族の……戦争が始まっている!」


 その瞬間、俺達の目の前で睨み合っているだけだった両者が、互いに駆け出し始める――!


 お互いに物凄い爆発をくらいながらも、必死に走り続ける人間の騎士達と、魔族の戦士達……。


 前衛で剣や槍などを手に持ち、斬りかかる戦士達と後衛で後ろから大きな杖を片手に遠距離攻撃魔法を展開する人間陣営の魔法使いと、空を飛ぶガーゴイルや杖なしで強力な魔法を遠距離から編み出すエルフを率いる魔族陣営。


 激しい攻防が、既に繰り広げられていた……。


「戦争が、もう始まってしまったのか? どうして……? アブシエードは? アイツは、戦争を起こすような事は、しないはずだ……」


 俺は、魔王アブシエードの事を思い出していた。あの時、魔王城の中で別れた魔王は、確かに戦争はしない方針で考えているような事を言っていた。アイツは、何処か裏がある感じの王様だったが、しかし嘘はつかない。こちらが、勘づけばちゃんと真実を教えてくれる。そう言う奴だった。アイツのそう言う所は、実際少し信じていた。


 なのに……。どうして? 人間側と交渉決裂してしまったのだろうか? いや、それでも戦争に至らぬようアブシエードならうまく躱せるはずだ。


 と、そんな事を考えていると、隣に立っていたルアが俺に言ってきた。


「……光矢、あれを……!」


 ふと、ルアが指さす方向を俺は、見つめてみる。彼女は、魔族陣営のかなり後ろの方を指さしているみたいだった――。その指の先を目で追いかけながら俺は、魔族陣営の隅々を探した……。そして。


「あれは……。そんな、まさか!?」


 ルアが指さした方向に見えたもの。それは、信じられない光景だった。魔族陣営のかなり後ろの方で多数の部下の魔族達に囲まれながら守られていた魔族軍を率いる者の存在。


 それは、大魔王アブシエードでは、なかったのだ。ここから微かに見えたその者の正体それこそ……。


「エンジェル? なんで……なぜ、エンジェルが……魔王のいるべき場所に座っているんだ?」




                      *


 いよいよ、魔王エンジェル・アイと夕日のガンマン――佐村光矢こと、ジャンゴが再会する事となった。


 刻一刻と王都に迫って来ていたジャンゴ達の前に、ついに姿を現した魔王エンジェル。2人の再会は、この先の運命をどう覆すのか? はたまた、西部へ向かっているエカテリーナとスターバムは、どうなるのか? 


 クリストロフ王国と、彼らの戦いは、いよいよ最終決戦へと向かっていく事になる――!

 

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