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後日譚

 ――クリストロフ王国北東部の森の中。スターバムとエカテリーナが、西部を目指して旅をしていた。彼らは、西部を目指す途中で、王国の騎士達に見つかってしまい、戦闘になっていた。森の中で騎士達と戦うスターバムは、姫であるエカテリーナから敵の意識を逸らすために少し離れた場所まで移動。そこで、剣を振るっていた。


 次々と襲い掛かる的にスターバムは、苦戦を強いられていた――!


「……この者達、1人1人の実力は大した事はないにせよ……。数が多すぎる! 倒しても倒してもキリがない!」


 彼は、ゼーハーと荒れた呼吸をしながら剣を振るい、敵を1人1人切り倒していた。だが、それでも次々に援軍が駆けつけてくるため、次第にスターバムの体力も消耗し、彼にとっては苦しい戦いになっていったのだった。



「……くそっ! キリがない! こうなれば……!」


 スターバムは、そう言うと敵を1人斬りつけた後に、剣を空高くかざして、剣先に魔法陣を出現させた。そして……


「……こんな所で、使いたくはなかったが……仕方ない! 姫様! 遠くへご非難ください!」


 スターバムは、そう言うと木の裏に隠れていたエカテリーナともう1人、パーカーを深く被った謎の男の足元に魔法陣を出現させて、彼らを少し離れた場所に瞬間移動させた。


 そして、2人の安全を確認出来た後にスターバムは、魔力を剣に込め始めるのだった……。


「時制剣バックロノクルっ! 奥の手……行くぞ!」


 すると、途端にスターバムの周りにいた騎士達の至る所に魔法陣が現れ始める。


「陣形殺撃……完全消滅世界(ワールドエンド)!」


 スターバムの周りにいた数百の騎士達の体に刻まれた魔法陣。それが、一斉に強い光を放って……次の瞬間、彼らの存在と記憶は、一瞬にして吹き飛ばされる――! そして、破壊された存在と共に騎士達は、物凄い核爆発のような強烈な爆発に飲み込まれていった……!


 スターバムの回りが超強大な核爆発によって物凄いクレーターが生まれ始めていた。彼は、その物凄い威力の爆風や熱に耐えながら立ち尽くしていた……。


 全ての爆発が止んだ頃、スターバムは魔法陣で瞬間移動をさせていたエカテリーナと男をもう一度転移魔法陣でここに戻した。それと同時にスターバムは、剣を地面に突き立てて、それを杖のようにしながら現れたエカテリーナに告げた。


「……やりました。姫様……。これで、貴方の行く手を阻む者は……もう、いません……」


 スターバムは、そう言うとそのまま力尽きた様子で倒れてしまいそうになった。――しかし、彼が地面に倒れそうになる直前で、エカテリーナが彼の事をキャッチして、心配そうに見つめていた。


「……スターバム! 大丈夫ですか!」


「……」


「スターバム!」


 しかし、エカテリーナの言葉にスターバムの反応はなかった。彼は、気絶してしまったみたいだった。倒れてしまったスターバムを見て、エカテリーナは謎の男に告げた。


「……出発は、明日とします。今日は、ここでキャンプとしましょう……」


 男は、無言で頷くと、エカテリーナはスターバムを見つめながら涙を流した。


「……スターバム、全く……貴方と言う人は……隠す事ないのに。貴方が、勇者の力を使うたびに自分の寿命を少しずつ縮めている事は、知っています。……スターバム、本当は……戦って欲しくなどないのです……。わたくしは……」


 エカテリーナは、涙を流しながらそう告げた……。



                      *


 目覚めたのは、いつぶりだろうか? 私=マリアは……蕩けそうな意識の中からゆっくりと体を起こした。目の前に見えるのは、暗い部屋。私は、棺のような所で眠っていたみたいだ……。


「ここは……」


 自分が一体何処にいるのか、それが分からなかった……。そう言えば、光矢達の姿もない。



 ――あれ? そもそも私は……。自分の記憶を辿ってみる。……魔族の里で風邪を引いて寝込んでいて……その後、光矢達がヘクターさんの所に行って、それで……。その後がいまいち思い出せない。


「とにかく、ここは何処なんでしょう?」


 迷っていると、その時だった。私の元に1人の女性が姿を現した。その女性は、服を着ておらず、上に羽織った白いロングコート以外は、全て真っ裸の凄い格好をしており、私は一瞬だけ自分の目を疑った。


 すると、女は私に近づいて来て言った。


「……御目覚めねぇ~。意外と可愛らしい子じゃないのぉ~」


「貴方は……?」


 目の前にいるのが、誰なのか? ここが、そもそも何処なのか? 自分には何も分からなかったが、私は混乱の中で彼女に話しかける。すると――。


「……あら? いきなり質問だなんて……鬱陶しい事してくれるじゃない。でも、嫌いじゃないわぁ~。そう言う人、見てると……悶えちゃうわっ!」


 刹那、女はいきなり私に向かって魔法陣から出現した長くて尖った3股の槍を突き出して来た。大慌てで私は、槍の攻撃を避けようと棺から出たのだが、女の方は私をしつこく狙って来ていた。


「……あら? 意外とすばしっこいのねぇ~。けど、一突きで終わらせたげるわ!」


 そして、またしても彼女の攻撃が炸裂しそうになった次の瞬間――!


「……パトロ、やめなさい」


 向こうから何者かが、彼女の攻撃を止めさせた。少し歳をとった男の声だった。その男の声を聞くや否や女は、攻撃をピタッと止めて、槍を下げた。


 そして、男がゆっくりこちらへ近づいて来て……。


「……って、貴方は!」


 驚いた。目の前にいたのは、クリストロフ王国の国王……クリストファー・C・クリストロフ国王だった。彼は、威厳のある様子でやって来ると、裸の女に告げた。


「……この者を殺してはならぬぞ。パトロ……。この者は、ワシの計画に必要なのだ。分かっておろう?」


 しかし、女の方は首を横に振って駄々っ子の如く告げた。


「え~。でもでもぉ~、なんか邪魔じゃない? 今すっごくムカついてるし……腹いせにちょっとくらいさぁ……」


「ダメじゃ。パトロよ……。お前は、分かっておらん。この娘の価値を……。この娘は、我らが巫女の生まれ変わり……女神の復活に欠かせない存在なのじゃ」


 女神……? 国王の言っている事に疑問を感じていると、パトロは告げた。


「……神話の時代にいたとされる女神を召喚した4人の巫女ね……。けど本当に、こんな女が? 確信は、あるのぉ~?」


 ――さっきから何を……。


「……ある。ワシには、神話の時代から王家に伝わりし目がある。ワシの目は、勇者や巫女の転生者を見分ける目が備わっておる。この女は……今、覚醒しようとしているのだ。じゃから、必要なのだ」


 国王の言葉に対して女は、まだ不満そうだった。彼女は、尋ねた。


「……お父様ったら、女神を復活させて何をするおつもりなの?」


 すると、国王は不敵な笑みを浮かべて告げた。


「……粛清じゃよ。ワシの求める理想の世界は……人々が、平和で安全に暮らしていける世界の構築。それだけじゃ……。そのためには、女神の力が必要不可欠なのじゃよ。既に巫女としての力に目覚めようとしている者が、この娘を含めて3人おる。……後、1人。後1人を探しだし……そして、4人の巫女を結集させた時、ワシは……この世界に平和をもたらした国王として永遠にその名を刻み込む事ができる。ワシらは、永遠の絶頂に立てるのじゃよ! じゃから……今すぐその武器をしまえ……。そして、この女をもっと丁重に扱うのじゃ。女神を扱うみたいにな!」


 王は、そう言うと女は不服そうではあったが、納得した様子で頭を下げる。


「……分かりましたわ」




 ――To be Cotinued.

 と、いうわけで皆さんこんにちは! 上野蒼良です! ここ最近、ついに卒業論文も完全に終わり、後は卒業を待つだけとなりました。いやぁ、いよいよ社会人になってしまう時が来るという訳ですね。……色々と緊張もします。


 そんなこんなで第十一章! いかがでしたでしょうか? 今回の章では、様々な謎が回収された事かと思います! 主にルアについてと、精霊について。そして、スターバムの能力のデメリットについて。最後に国王の目的です!


 勿論、まだまだ全部が解き明かされているわけではないので、分からない事も多いですが、この物語もいよいよ伏線回収フェーズに入ったというわけですね。


 まず、精霊の正体について。……これについては、初期から構想にあり、そのためここまでの間に精霊という存在をどのように表現したら良いかが、とても悩みどころではありました。結果的にジャンゴを復活させられる便利屋さんみたいには、なってしまいましたが……。今回、ようやく精霊について深掘りする話をかけて、少しは理解が深まってくれれば幸いです。


 そして、ルアの正体ですね。こちらも初期から構想がありました。ちなみにこれまでも色々と伏線を貼っていて、(秋葉原を知っていたりとかね)そう言う小さい所に気付けた方は、もしかして? なんて思っていたかもしれません。


 ルアの本名についても、私の大好きなとある有名人さんからお名前をいただきました。(たっ、多分……多分、訴えられたりはしないはず……。しないはずです!汗汗)


 次にスターバムの能力のデメリットについて。これも初期から構想があって、勇者の力にはそれぞれデメリットをつけようと考えていました。ようやくスターバムのデメリットについても触れる事ができて、達成感でいっぱいです!


 ……ん? ジャンゴのデメリット? それについては、また後程!


 最後に国王の目的についてですかね。まだまだ謎は、多いですが……国王についても女神を蘇らせるという目的があるみたいです。前から女神復活計画なんて口にしてましたし、ここいらでその詳細部分が垣間見えたのではないでしょうか?


 忘れちゃいけないのが、もう1つ! 序章に登場したサンダンス・キッドですね! 日本では、あんまり馴染のない名前かもしれませんが、実在した西部劇のガンマンです! 早撃ちのキッドとも呼ばれていて、彼を題材にした映画も作られているくらいアメリカでは人気のある人です。


 ちなみに彼の泳げないという設定もその映画から来ていたりします!


 こんな所ですかね。今回は、色々と書く内容が多かったですが、短くまとめられたかな? ここまで応援して下さった方々、皆さん……大変ありがとうございます! ここまで書けたのも皆さんのおかげです!


 さて、次回ですが……『迫りくる運命編』となっております! いやぁ、本当にそろそろ最終決戦に近づいて来ている本作ですが、これからもどうかよろしくお願いします! それでは、応援して下さった皆様! サラだばー!

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