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俺はJKを助けたいのか、それとも助けられたいのか  作者: 酉 真菜
第2章:人類のため働きつづける世界
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第25話:リトルレディ、到来

「「えっ?異世界人?」」


 みこと英利羽は同時に驚いた。


「異世界人ではないです。異なるアナスモからやってきた……平行世界人とでも呼びましょうか……」


 チャッ子は2人が何者であるかをいろいろ説明してくれた。

 みこにとっては、チャッ子の言うアナスモだの、スーパーなんちゃらだの、フラク・カリフラワーだの何を言っているのかよくわからなかったが、少なくとも自分たちとは少し違う世界に生きているらしい。


「つまり、俺は君たちの知っている俺ではないってことだ」


 チャッ子の隣にいる男は言う。みこは首を傾げた。


「俺は君たちと暮らしてきた湊誠司とは違うんだよ。まず見ての通り、俺の方が若い」


「たしかに……そういえばちょっと若い」


 英利羽がその男を全身舐めるように見ている。


「俺は16歳だけれども、君たちの知っている俺は37歳だ」


「16歳!若っ!」


 みこはつい驚いてしまった。


「いや、あんたも17歳でしょ」


 と英利羽がツッコミを入れた。英利羽が続ける。


「つまり、アナスモっていう世界の単位があって、チャッ子と誠司……別の誠司はAMA01っていうアナスモから来たってわけね」


「英利羽、よくわかったわね……」


「ただ、同じ誠司だと呼びづらいわね」


「たしかに……」


 若い方の誠司、別の誠司、異世界の誠司……なんかうまく呼べないものだろうか……

 英利羽がなにか思いついたようだ。


「AMA01の誠司ってことだから、一誠っていうのはどうかしら?」


「一誠って英利羽……」


「いいわね!」「いいんじゃない?呼びやすくて」


 みこ的にはもう少しいいネーミングがあると思うが、チャッ子も誠司……一誠も喜んでいるようだった。

 みこはチャッ子と一誠の方に顔を向ける。


「二人は今この状況を理解しているの?」


「この状況ですか……」


「そう、みこたちがなんでこんなところに入れられているのかってこと」


「私も完全に理解しているわけではありませんが、一応」


 チャッ子の言葉にみこは希望が湧いてくる。

 今度は一誠が話し始めた。


「この収容所は、その時代のホモ・サピエンスが最善の世界線に行きつくことを目指した機関なんだよ」


「最善の世界線?」


「そう世界線。簡単に言えば、人類の発展のためにいらないと判断された人物は人類史から抹殺するための機関ってこと」


「……つまりわたしたちは人類史からいらないって判断されたってこと?」


 英利羽は目を大きく見開いた。チャッ子が横から訂正する。


「この人類史からいらない存在というより、この人類史にとって悪影響な存在と判断されたということです」


 その後、チャッ子がさらに詳しくこの場所について説明した。

 みこにとっては、またもや理解できない話が多かったが、少なくとも20年よりもはるかに遠い未来に来て、殺処分を待つのみということだけは分かった。


「そんな殺処分なんて……人造人間ってだけで……」


 みこと英利羽の間にまたもや重い空気がのしかかる。

 そんな様子を見て、一誠は話を切り出した。


「そんなわけで、実は俺たち、4人を救い出して、元の世界に戻しに来たんだよ!」


 一誠はこれでもかというほどのドヤ顔をしてきた。

 しかし、そんなことが気にならないほど、みこと英利羽の中に大きな希望が湧いてきた。

 今までうずくまっていた真菜が顔を上げた。


「元の世界……?」


 真菜は小さくつぶやいた。

 一誠はすかさずそれに答えた。


「そう、元の世界。4人が暮らしていた2037年の世界に送り届けてあげよう!」


 真菜の目からゆっくりと光が消え、また顔をうずめた。

 英利羽はその様子を少し見た後、考え込んだ。みこは目を輝かせて


「ほんとに!やっとここから出られるんだ!」


 英利羽は少しうなずくと、チャッ子に疑問を投げかけた。


「その殺処分って、どれぐらいの確証なの?それはすぐのことなの?」


「正直なところ、70%ぐらいの確率です。普通は殺処分が実行されるのは10年後より後が多いようです」


「そうですか……。ここから2037年の世界に戻れる確証は?」


「多く見積もっても12%程度でしょう」


「あんたまさか……」


「そう、ここに残ろうかと思って」


 みこの予感は的中してしまった。なんで英利羽はこんな無味乾燥な部屋に10年もいられるというのだろうか。


「なんで……?12%がなんだというのよ。10年間もここにいるよりも逃げ出した方がいいじゃない」


「わたしはまだあの男を許せない、一誠には悪いけど」


「そんなことを今……」


「だってそうじゃない?真菜はずっと悩んでいるのよ。ずっとこんな風にさせたあいつを……」


 みこは真菜の方を見た。真菜は相変わらず無気力にうずくまっている。ここに入れられてから、どれぐらいそうしていたのだろうか。


「リスクを冒してまで、真菜をあの男と一緒に暮らさせるなんて、わたしにはできない。わたしが真菜をこうしてしまったという責任があるから、わたしが真菜を守らなくちゃ」


「いいの?ここに入れられたら、みこたち殺されてしまうんだよ」


「あいつがわたしたちを殺さないなんて保証はあるの?」


「そんなことするわけ……」


「みこは誠司について何を知っているの?わたしより何も知らないでしょ」


 みこは反論しようとするが、言葉が詰まり何も出てこなくなってしまったのだった。


極秘調査報告書 特別項目1

アナスモ

 同世界束上に存在する平行世界の世界単位のこと。アナスモ間は物理的距離がかなりあるため、原理的に通信することができない。アナスモの周りにはサテライトアナスモが見られ、ハブアナスモの世界線変動率が3%を超えたときサテライトアナスモにも影響が出始める。複数のハブアナスモが集まってコロニーを作っており、各コロニーに3文字の名前が付けられている。一誠の出身であるアナスモはAMA01であり、我々のアナスモはAMA18である。

(ツーヨルゥ協定世界調整機構データ管理室所蔵)

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