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今はまだ任意での避難だ

ルカと合流した時の時系列に戻ります。

 意識を取り戻したナギを抱き締めて、俺は何度も内心で「良かった…」と安堵を繰り返した。暫くそのままでいると、ポンポンッとナギが俺をあやす様に背中を叩いたので、俺はそっと腕を弛める。

心配そうに俺を見上げるナギに「心配をかけたのはお前だろ」と少し憎らしく思い


「なんでこんな所にいるんだよ?」


と軽く頬をつねった。ナギが「うぅ」と少し呻いたので離してやると、頬を摩りながらナギは答える。


「それはこっちの台詞だ。今、天候の村がどんな状況か知ってるだろう?幹部候補のルカがなんでこんな所にいるんだよ?」


本来なら支部や現場で指揮を取るなど、本部からの指示のもと、対応に追われているはずだ。


「それに、アルカナから帰還命令は出てないのか?土の国から風の国への宣戦布告があった時、風花支部を始め、こっちにいるアルカナ職員は避難する様に言われてる筈だ」


「今はまだ任意での避難だ」


「百歩譲ってそうだとしても、栄光の世界(むこう)から繁栄の世界(こっち)にわざわざ来る奴があるかっ!」


と叫ぶナギに、俺は


「その言葉、そのままお前に返してやるよ」


と冷ややかに言った。そしてナギを抱き締める腕に力を込める。


「お前こそ今の状況を分かってるのか?ーーー先日の事も含めて」


「……」


薮を突いて蛇を出した事に、ナギはようやく気付いた。ナギは上目遣いで俺を見る。


「えっと…その…」


と吃り、どうやってこの場を切り抜けようか必死で考える。そして


「今はそんな事より、もっとやる事があるだろうっ!」


と、正論を叫んだ。

 その後、不服ながらも俺は此処に来た理由を話し、まずは天候の問題を解決してからと言う話に落ち着く。

そして道中、調子に乗って俺に抱き付いたりしてきたナギに


「なぁ、ナギ。お前はどんな相手にもそんななのか?」


前回、バッサリと俺を切り捨てたくせに、と、こめかみを押さえつつ言ったのだった。

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