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夏の思い出と大切な人

3年前 夏

『いらっしゃい東崎さん』

『叔母さんお久しぶり…』

『あら、謙人君。新しい彼女かしら?』

『ち、違うって(汗)』

あの時、謙人はご家族と「芝山茜しばやまあかね」っていう女の子と一緒に泊まりに来てたわ


『謙人君と仲良しな娘なの?』

『そうなんですよ。謙人と同じ中学の友達らしいです』

謙人のお父さんが説明した

『親父!!余計なこと言わなくていいって(汗)』

『あら~?顔が赤いけど、もしかして彼女?だったりして?』

『叔母さん!!いいから早く案内しろって///』

『青春よね~』

『くそ~………///』


茜ちゃんは結構物静かで可愛らしい娘だったわ

『茜ちゃんは、謙人君とお友達かしら?』

『あ………け、謙人とはつ、付き合ってます…/////』

『あら~、そうなのwwじゃあもうキスしちゃったの?』

『キ…キスだなんて…///ハ、ハレンチな事なんてしませんよ!!』

ちょっと頭が固い娘だったけど、謙人が好きだという事はかなり分かりやすく態度に出てたわね


『おーい、こっちだ茜!!そこに魚いるぞ』

『え?どこどこ?』

帰る日に近くの川で楽しそうに遊んでる姿は本当に彼氏彼女みたいだったわ


~~~~~~~~~~~

「でも、謙人はなんで知らないとか言うのかしらね」

「……………」

確かに聞く限りでは夏の楽しい思い出としか思えない

………ちょっと嫉妬しちゃうけど…

でも、なんで知らないなんて…


「ケンカした…とかですか?」

「でもね、謙人は女の子とケンカするような子じゃないの」

「……………」

「謙人は昔から女の子には優しくしてるわ。謙人はそんなに感情を出さない子だから」

それは私も知っている。謙人君が怒ることは1回もないし、優しくされたことしか覚えがないような…

そんな謙人君を好きになったんだけど…///

「そんなあなたは謙人が好きになったのよね?」

「にゃ!?……は、はい///」

「そうよね~やっぱり2人はお似合いだものね」

「は…はい/////」


「でも、謙人が茜ちゃんを否定してるのは、あなたが大切なのかもしれないわね」

「え………?」

謙人君が私を?

「今日ね、あなた達が撮影してる様子を見てたんだけど…謙人が楽しそうにしてるの初めて見たもの」

「あ………」

そうだ。謙人君はいつも撮影をするとき、いつも楽しそうにしていた

企画会議も真剣に取り組んで、楽しそうにしていて、時々真面目な顔してるし…

「私から見てるとね、あなたと謙人が一緒にいるときが一番楽しそうだったわ」

「え………///」

「だから謙人はあなたが大切だと思っているのよ」

謙人が私を大切…

あ、あうぅぅぅぅぅ…/////


「ふふ、顔真っ赤よww」

「お、叔母さんがそ、そんな事言うからです///」

「でもこれで分かったでしょ?謙人は友達なんて本心じゃないわよ」

「そ、そうですか…///」


~~~~~~~~~~~

「………/////」

叔母さんから話を聞いた後、私は露天風呂わきの休憩室で座っていた。

「うぅ…なんか顔が熱い…///」

謙人君が私を…大切なんて///

なんか…両想いみ、みたいで恥ずかしいなぁ…


「……………」

でも私はふと思った

謙人君は『芝山茜』て娘と付き合ってたんだよね…

謙人君は女の子に興味ない。それは私も知ってる

でも、謙人君は女の子と付き合ってた…


どうしてだろう…?

女の子に興味がないなら、付き合ったりしないはず…

そこだけ引っかかるんだよね…

私は考えていると


「あ、いた」

「え…?にゃあ!?///」

いきなり目の前に謙人君が立っていた

「さっきから探してたんだけど…こんな所で何してるの?」

「あ…えとね…ちょっと考え事してたの(汗)」

「考え事…?」

「うん…考え事」

さっきの話を言えるわけもないので言葉を濁した

「桜、今日は考え事ばっかしてるよな」

「そ、そんにゃこと…」


「桜。嘘をつかないでほしい」

「え…?」

謙人君は急に真剣な目つきで私を見てきた

「俺、今日桜がおかしいとは思ってたんだ。そんなお前が心配なんだ」

「し、心配…?」


「だって俺、桜が大切だと思ってるから」


「!!」

……………え?今大切って………

私のこと大切って…わ、私を………///

カァァ…/////

「桜?」

「あ………あぅ///」

「何かあったら、俺に頼ってくれるか?」

「う、うん…/////」

ま、まさか本当に私を大切に思ってくれたなんて…


謙人君…は私を…私………

「桜?」

~~~~~!!/////


ギュッ!!

「え?」

……………

……………

「あ、ありがとう…///」

私は無意識に謙人君に抱きついてしまった。

「さ、桜?」

「……………///」

謙人君が…私から離れてほしくなかった…

そんな気がして私は謙人君に抱き締めた

「えと…なんで急に俺に抱きついたんだ?寒いのか?」

「……………大切だから…///」

「え?」

「…謙人君が大切なの…」

「俺が大切?」

「う、うん…だ、だから急に抱きしめたくなったの…///」

「……………」


ギュウ…

「って、桜…」

「は、離さない………///ずっと離さない…」

「桜…」

だって嫌だもん。大切な人がそばにいてくれなきゃ…


いや………

「……………分かった」

「うん…ありがとう……………謙人」

その後、私は謙人を時間が忘れるほど抱きしめた


~~~~~~~~~~~

ガララ…

「あ、東崎先輩お帰りなさい」

「お、おぉ…」

俺は自分の部屋に戻ると、武蔵田君が聞いてきた

「それで、倉見先輩は見つかったんですか?」

「あー………休憩室で休んでたよ。さっき連れ帰った」

「そうですか………って、東崎先輩?」

「え?なんだ?」

「なんでソワソワしてるんですか?」


「へ?」

「さっきから目をキョロキョロして落ち着かない様子なんで」

「あー………いや、ちょっと疲れてんのかな…」

「今日は結構動き回りましたからねぇ」

「あー………だから先に寝るわ」

「そ、そうですか」

東崎先輩はすぐに布団に潜り込んだ


~~~~~~~~~~~

あー………なんかおかしいな…

なんでか分からないけど、落ち着かない

桜が俺に抱きついてからだろうか、いろいろ落ち着かない

なんだろうな…桜が俺を大切なんて言ってくれるのは嬉しかった

そりゃあ俺も友達として桜を大切と………


ドクッ…

「あれ?」

なんでだろう、胸が痛い…

どうして桜を友達としてたら、変な気持ちになるんだろう

「友達………か」

あー………いろいろ分からない


~~~~~~~~~~~

次の日

「お世話になりました~」

「皆さんありがとうね。また来年も来てくれると嬉しいわ」

「来年も来ますにゃん」

「ありがとうね、咲ちゃん」

「俺も来年来ますよ」

「ありがとうね……………む、武蔵坊弁慶さん」

「もう俺の名前に原型がない!!」

結局、最後まで名前を覚えられなかった武蔵田君であった


「あ、ちょっと来て桜ちゃん」

「はい?」

急に叔母さんに呼ばれて、そばに来ると

「はい、これ」

「これは…?」

叔母さんが渡してきたのは、小さなお守りだった

「これね。恋愛成就のお守りよ」

「恋愛成就…」

「あなたが謙人に似合ってほしいっていう私の願いよ」

「叔母さん…」

「謙人を大切にしてあげてね」

「っ………はいっ!!」

私は謙人と一緒にいたい

それがこの撮影旅行を通じて分かったことだった。


しかし、2学期が始まるとき…私は謙人の過去が分かってしまうことになるなんてまだ分からなかった


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