旅行と違和感 後編
「よーい、スタート!!」
『咲野、こっちだよ』
『うん!!』
バシャバシャ…
『懐かしいな、昔はここで遊んだよな』
『懐かしいよね…』
次の日、私達は撮影で近くを流れる川で撮影していた
カツン!!
「はい!カット」
そう言った謙人君は、カメラを確認し始めた
「よし、こんなもんだろ」
「ここでの撮影はこれで終わりですかにゃ?」
「そうだね。じゃ、次はバスで町まで出るか」
「……………」
昨日、謙人君の叔母さんはアカネという女の子の名前を言った
でも謙人君はそんな人はいないと言ってる…
なんでだろう…謙人君が女の子といたと聞くと、何か胸が苦しい…
「桜?どうした次行くぞ?」
「にゃ!?…分かった」
「なんだ、喉渇いたのか?」
「喉は…渇いてないけど…」
「そか、でも熱中症になるといけないからこれ飲め」
そう言って渡されたのがポカリ
「あ、あの…ちょっと減ってるんだけど…」
「え?あぁ…それ俺の飲みかけだから」
「にゃ!?///」
け、謙人君の飲みかけ…///
ドキドキドキドキ…
「倉見先輩、東崎先輩?行かないんですか?」
「にゃあ!?/////」
「あ、今行くよ。武蔵浦和君」
「武蔵田!!」
「ゴメ」
そう言うと、謙人君は撮影機材を持って歩き出した
「……………///」
ゴクッ…
『紗奈…俺さ…結婚するんだ』
『え………?』
『ごめん、あんな約束してたのに』
『……………』
私達は場所を変えて撮影をしていた
やっぱり気になるな…アカネという娘
もしかして謙人君はいないと言ってて本当は私に隠れてとか…
うぅ………こんな事考える自分が憎い…
「桜?」
「にゃあ!?」
「桜の出番だぞ」
「う、うん分かった」
「……………」
~~~~~~~~~~~
ミーンミンミンミーン
「よし、それじゃあ今日は終わりだな」
「お疲れさまですにゃ」
「お疲れさまです」
「桜も今日はお疲れさま」
「う、うん…」
なんか桜元気ない?
「どうしたの?今日は元気なさそうだけど」
「にゃ…なんでもない…」
「心配だよ、何でも相談してくれてもいいんだからな」
「うん…」
「俺達、友達だろ」
ドクッ…
「う…うん」
なんで?なんで胸が痛いの…
謙人君が友達って言っただけなのに
~~~~~~~~~~~
ガラガラ…
「ただいま、叔母さん」
「あら、おかえり。今日は撮影終わったの?」
「うん、明日は午前中に撮影したら夕方には帰るよ」
「そうなの?寂しいわねぇ…せっかく皆さんに会えたのに」
「大丈夫ですよ。また来ますから」
武蔵田君は励ますように言うが
「ありがとね、えっと…………………………む、武蔵小金井君」
「武蔵田です!!(汗)」
ここでも影が薄い武蔵田君であった。
そして夕食時
「は~い、お待たせしました」
「うぉ!!ずいぶん豪華だな…」
昨日と打って変わって、海鮮料理のオンパレードだ
「伊勢海老の刺身とか鯛まである…」
「叔母さん急にどうしたの?こんな豪華な…」
「明日皆さんとお別れだと思うと寂しくなっちゃって、張り切っちゃったww」
「張り切りすぎだろ」
さすがにここまで出されると、申し訳ないような気も…
「それに、謙人の新しい彼女にももてなしはしたいものじゃない」
「は?俺の彼女?」
「照れなくていいのよ。ね、倉見さん」
「え?」
私は耳を疑った。
私が謙人君の彼女?
……………
……………
「にゃあ!?/////」
私は思わず声を上げてしまった
「照れなくていいのよww」
「わ、私と謙人君がつ、つつつ付き合ってるにゃんて…///」
「そうだよ何言ってんだ叔母さん。」
「う、うん…///」
「俺と桜とは友達だって」
ドクッ…
「……………」
なんで?どうして友達って言われてこんなに苦しいの…?
どうして…?
きゅっ…
「どうした桜?」
「う、うぅん…何でもない…」
「……………」
~~~~~~~~~~~
夕食後
「あ、あのっ…」
「あら?倉見さん?」
私は夕食の片付けをしていた叔母さんに声を掛けた
「あのっ…もしよろしければ、話したいことがあるんです」
「……………アカネちゃんの事かしら?」
「あ…」
叔母さんは知っていたように言った
「あの時はごめんなさいね。冗談で付き合ってるなんて言っちゃって…」
「そ、それは気にしないでください。私が気になるのはその…」
「私も気になってたのよね。何で謙人がアカネちゃんなんていないっていうのか」
「だから…謙人君の事、話してもらえませんか?」
「いいわよ。だって、謙人の事好きなんでしょ?ww」
「にゃ!?///どどど、どうしてそんなことを…///」
「分かるわよ。だって友達って言われて凹んでたじゃない」
「あぅ…」
「でも…好きな人に友達って言われて悲しいわよね」
「はい……………」
「でも、なんで聞きたいと思ったのかしら?」
「それは…謙人君にアカネっていう娘と隠れて付き合ってると思ったら、何か心苦しくて…嫌だったんです。」
「そうね。苦しいわよね…」
「だから、教えてください!!謙人君のこと…」
「分かったわ。」
そうして叔母さんは話し始めた