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異界の刀鍛冶 ~1日5分の最強勇者!!~  作者: 前田  裕也


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014  初代勇者・奥義

村人達に囲まれて剣をゆっくりと抜く。


神から借りた勇者の名刀が明かりを受けて光る。

この剣の良さは素人でもわかるのだろう、村人の顔つきが変わった。


皆、槍や剣を構えてはいるが腰が引けている・よな?


さて誰からにするか? それとも血の気が多いのが来るかな。

あの刀の男か、それとも槍のあいつか、そう思っていたら家の陰からそれらしきのが

剣を抜いて小走りに来た。


「誰だおめえ、ひとりで来やがったのか? いい度胸だな」


え? いい度胸なのはそっちだと思うが、 こちらは全身鎧だよ。

そちらは防具ないよな? いいのかと思うがそんな事は聞かない。  

不気味な相手に見えるように黙って立っている。


「ここが普通の村とでも思ったか、 運が悪いな、生きて帰れねえよバカが」


おう、当たりだな、普通の村でないと教えてくれたよ、ありがたい。

もしかしたら間違いかもと思ったが、問題なしだ。


「生きて帰れないのはどっちかな、では試してみようか?」


そいつとやるつもりで近づくが、向こうは素早く後ずさり後ろから矢が飛んできた。

同時に荷車を押したのが前後から突っ込んで来る。


なるほど、まず体勢を崩すわけか・・思ったより訓練されている。

今までのは村人風の芝居なのかもな。

やるではないかと感心する。   


矢はほっといて大丈夫だし、荷車は避けつつすれ違いざま少し斬る。

当然、人の方もだ。

「グアッ」

腕を少しだから死にはしないが痛いだろうな、技は有っても剣士でないからまだ慣れない。


もう1台の方も切ろうと思ったが逃げられた。


槍を構えて向かって来たのは、槍を3分割にしてやったら腰を抜かし逃げた。


次は太い金棒を担いだ大男だ。

これは少し手ごわそうなのが出て来たぞ、さてどうするか。


『あの~~ ムライ様』   

アンジーが話しかけて来た、戦闘中なんだが。

「ん? なんだ!」


『まだ発動しなくてよろしいですか』

発動? え?


勇者の技か? そう言えば砂時計が出ていない・忘れていた。

「やってくれ、すぐに!」


金棒、鬼に金棒のあのごつい金棒だ・あんな物で殴られたら鎧があっても危ない。

それが振り回されて頭の上から来る。


ドン! と地面に打ち付けられた。

避けられたが一瞬背筋が寒くなって足の力が抜けて血の気が引いた。  

やはり勇者の技は得ても魂は違うな! 気持ちはただの職人だ。


『ムライ様~ 力は有ります、臆せず落ち着いて~~!!』


「わ、わかっている」

天使の応援か、なんか妙な感じだがみっともない所は見せられん。


勇者の剣ならあんな物真っ二つにできそうだが、あれと名刀を打ち合わせるなど

実に不本意で刀鍛冶として許せない。


ゆえに意地でもあれは切らんぞ。

勇者の技で今の自分に合うのは・・・・・・・これか?!

頭の中に見えた技をとっさに選んだが、良いよな。


『ムライ様~ それで大丈夫、頑張って~~っ』  

またアンジーの声が・・ 天使からの応援て、どうも調子が狂うんだが。


「初代勇者 活身流奥義、四健斬!! 」

言ったとたん ゴッ と風切り音がして剣が振られ手ごたえがあったが、早くて自分にも剣筋が見えなかった! これが奥義か。


所でどこを切ったのだろう。

そう思ったとたん大男の両手足から血しぶきが飛んで、叫んだ。

「グアアアッ 」


大きいだけに獣のような声で辺りに響く。

ドドンッ と金棒を落として膝をつき、腕を垂らした。


手足を斬られて力が入らなくなったか。  


本命らしき大男をやられて辺りに動揺が走り、顔を見合わせているがどうする?


こちらは余裕があるかのように剣をゆっくりと周りに向けた。

「次は誰だ、斬られたい奴は前に出ろ」


すると最初に出て来た偉そうな男が懐から取り出した笛を吹いた。

濁った音の変わった笛の音だ。

周りの村人がぎょっとした様に一斉に離れて行く。


すぐに自分ひとりその場に残されることになった。

撤退だろうか? 皆逃げることに決めたという事か?



そう思って周りを見ていると遠くから地響きが聞こえてきて徐々に大きくなり、少し離れた家の角からあの男がにやけて見つめているのに気付いた。  




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