【第87話】神殺しの大戦②
〜Side レヴィア〜
レヴィアは自らが編成した6人の部隊でロイドに挑む。
最初は人数の差で押し切れると思っていたレヴィアも、交戦している内に、それが不可能だという事を悟り始める。
「こんな攻撃じゃ、僕は止められないぞ!!
ハハハ……ハハハハハハァ!!!!」
「くっ……! 出鱈目な強さですわ!?
皆さん、前に出過ぎないように!」
「雑魚が何匹集まっても、僕の力の前では何もかも無駄なんですよ!」
複数の攻撃を弾き返し、余裕綽々の笑みを浮かべる。
元より騎士候補生の中でもロイドは、首席を維持できる程度の実力は兼ね備えていた。
それが異形化の影響により、比べ物にならない程に強化されている。
しかし、騎士候補生部隊も最初こそがむしゃらに攻撃していたが、激戦の中で自然に連携が出来上がっていく。
「レヴィアさん、指揮をお願いします!
俺達は連携は得意ですが、戦況の判断が苦手です!」
「分かりましたわ!
逆にアタクシは連携が苦手です! ロイドを挟撃する形で立ち回りましょう!」
『はい!』
そのやり取りから、レヴィア達の動きはガラッと変わる。
ロイドも急激な動きの変化に戸惑いを見せた。
「ちょこまかと……!
何をやっても無駄だと言っているのが……っっ!!?」
「お喋りとは随分余裕ですのね?
その割には怪我をしていますが」
レヴィアの槍の穂先がロイドの頬を僅かに掠めた。
あれだけ見下していたロイドも、流石にこれには焦りの表情を顕にする。
「あら? それは冷や汗ですの?
もしかして……焦ってらっしゃる?」
「黙れ! この僕がこの程度で!!」
「レヴィアさん! 前衛と後衛、交代します!
3、2、1……スイッチ!」
流れるような連携で、前衛と後衛が入れ替わる。
これにより、長期的な戦闘が可能になるのである。
一方ロイドは防戦一方な上に、体力も消耗していく。
「はぁっ……はぁっ……小賢しいっ!!」
「大人しくやられてくださいな!」
「僕がやられる訳ないだろう!?」
これだけ不利な状況であれど、ロイドは諦めていない。
「皆さん気を抜かずに! 前衛は少し下がって牽制。
2分後にスイッチを!」
『はい!』
レヴィアは戦況、仲間の消耗、ロイドの挙動の全てを同時に確認しながら指揮を執る。
そして彼女自身も攻撃をしている為、その労力は半端な物ではない。
「さぁ、ロイド!! いい加減、降参なさい!
可能であれば、殺したくはないですわ!」
「馬鹿にするなよ!
君達は全員殺す! そしてルーナとか言う奴を殺して、僕が図書館長の横に立つのさ!!」
ロイドは何とも自分勝手な理由を展開する。
「そんな事、アタクシが許す訳ないでしょう!?
アタクシの親友には、指1本触れさせませんわ!
皆さん! 前衛を1人増やせますか!?」
「俺が出ます!」
「助かりますわ!」
前衛が4人、後衛が1人、そしてレヴィアという編成に変わる。
前衛を増やす事により継戦力を捨て、攻めに転じた。
ただでさえ攻めあぐねていたロイドには、その効果は顕著に現れる。
「ぐっ……! クソっ!!
何で僕が苦戦しているんだ!?」
「守るべき物を間違ったからですわ!
貴方はその天を貫くほど高いプライドを守った。
対してアタクシ達は、己以外を守る為に戦っています。
負ける道理は無いですわ!」
「黙れ……黙れ、黙れぇ!!!
エリートの僕にも、負ける道理は無いんですよ!」
そのロイドの発言に6人は攻撃の手を止め、お互いに目を合わせて僅かに微笑む。
その顔はまるで、悪戯が成功した子供の様。
「あら? そんなエリートの貴方が、アタクシ達の編成を見て何も思う所は無いんですの?」
「編成だぁ? ………………っ!!!」
ロイドはレヴィア以外の騎士候補生を見渡して気付く。
そして、怒りや焦り、屈辱感からワナワナと震える。
「馬鹿にしやがって……!!!」
「気付いたようで何よりですわ。
そう! アタクシの選んだ部隊は、全員がDクラス所属の候補生ですの!
貴方がずっと見下してきた方々ですわ!
彼等はアタクシ達Aクラスとは、比べ物にならない程の高い連携力を持っています。
貴方は正に今、それに追い詰められているのですわ!」
「そんな……そんな訳が……あるかァ!!」
「拘束を!」
『はっ!』
レヴィアの指揮で、前衛の騎士候補生達がロイドの四肢を槍で深々と貫き、正座をさせるような形で抑え込む。
身動きを封じられたロイドは、俯いて何も言わない。
そこへレヴィアは近寄り、説得を試みた。
「ロイド、これは最初で最後の提案です。
どうか……どうか改心してくださいな。
元はと言え同じ教室で学び合った同胞を、アタクシに殺させないでください……」
これはレヴィアの心からの願い。
今は敵対しているとは言え、同じ教室でお互いを高め合った候補生の1人。
レヴィアにとってロイドは、良きライバルだったのだ。
敵だからと言って、簡単には割り切れなかった。
「ロイド、答えて」
「どうして僕が、こんな惨めな思いを……
いいだろう。僕の答えは──」
ロイドを答えを聞こうと、レヴィアが1歩前に近寄った途端。
「こうだッッ!!!」
「っ……!!?」
槍が刺さった箇所を無理やりに動かし、両腕が悲惨な状況になりながらもレヴィアに噛み付こうとした。
交渉は決裂に終わる。
レヴィアは憐れむような視線を送り、槍を構えた。
「残念ですわ……」
レヴィアの槍がロイドの胸を貫く。
ロイドを中心にに血溜まりが広がっていく。
数分後には、ピクリとも動かなくなった。
戦闘は呆気なく終わったかのように思われた。
しかし──。
胸を貫かれたロイドが獰猛な笑みを浮かべていた事に、まだ誰も気付いていない。
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