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【第85話】開戦

新年初更新!




 前騎士隊長アステラさんとの一騎打ちを提案するルーナに、モネさんはかなり複雑な表情だ。



「ルーナちゃんの気持ちは分かるけど、隊長として認める訳にも……」


「わたしのわがままだと言うこ事はわかっています。

 でも、譲れない物があるんです」


「…………分かった。この後に会議があると思うから、その時にアタシからも進言しておくよ」



 また会議か……今回の議題は何かな?

 敵の軍団の詳細とかを話し合う感じだろうか?






 ディクティオの宣戦布告から僅か数時間後に、聖天騎士と図書館陣営の会議が開かれた。

 今回はモネさんが司会となって会議が進行している。



神殺しの大戦(ラグナロク)までの猶予は1ヶ月と判明しました。

 相手側の敵がある程度判明している為、大戦当日の担当を決めていこうと思います」



 誰がどの異形に当たるかの会議だったか。

 真っ先に手を挙げたのは、横に座るルーナ。



「わたしはお姉ちゃんの異形を担当したいです!

 これは誰にも譲れません!」


「分かっている。

 他の者もこればっかりは折れてあげて欲しい。

 彼女は前隊長である、アステラさんの妹だ!」



 告げられた事実に会議室がザワつく。

 前隊長を知っている人は多いのだろう。それに、話を聞いた限りでは、かなり慕われている感じだったし。

 聞き耳を立てると、「あの子が!」とか「前隊長の自慢のってやつ?」とか言う声が聞こえる。

 妹がいること自体は知っていたのか。



「前隊長の妹がルーナさんなら私達も心強い!

 ただ、2つ名持ち同士の戦いであるなら、私達ははっきり言って足でまといになりかねません。

 出来て、多少のサポートになります」


「ああ、それでいい!

 どうか彼女を助けてやって欲しい。

 前隊長にしごかれたアタシ達であれば、戦い方などはアドバイスできるだろう!

 編成は追って伝えるが、アステラ前隊長はルーナちゃんが任されてもいいな?」



 反応を見る限り、異議無しと言う事かな。



「続いてケルベロスの異形だが、これはアタシが単騎で挑もうと思う! 異論はある者はいるだろうか?」


「異論、と言う訳じゃないが、僕からいいかい?」



 挙手したのはアルバさん。



「勝算はあるのかい?

 相手の能力も実力も不明だよ?」


「正直、勝算は不明だ。

 ただ、嗅覚や視覚、神話における奴の弱点となり得そうな物は全て投入するつもりだ!

 正面から渡り会おうとは考えていない」


「それなら文句は無いよ。進行を止めて悪かったね」


「気にしないで欲しい。ご理解、感謝するよ!」



 これでケルベロスの担当はモネさんになった訳だ。

 さて、次は……



「次に、謎の黒い粘体だが……

 誰か志願する者はいるか?」


「そいつは僕が担当しよう。

 アレは詳細が微塵も分からないからね、そういう相手は僕が適任だろう。

 その代わり、何人か聖天騎士を貸して欲しい」


「成程……それならばアルバに任せる!

 騎士はこちらで選抜させてもらおう」



 あの黒いスライムはアルバさんか……

 僕はどうしよう……いや、決まってるな。



「続いてあの大きな龍ですが……」


「アタシが出るわ」


「っ!? アベリアさん……その、制約とか大丈夫なのでしょうか?」


「構わないわよ。アタシはアタシの正義に従うだけよ。

 勿論、増援はいらないわ」


「では、龍の異形はお任せします!」



 アベリアさん、参戦するのか……

 神は不干渉なイメージがあったから意外だ。

 でも、あの龍をアベリアさんが担当してくれるのは、かなり心強い。



「残りは3つとなりました。黒妖犬ブラックドッグ、謎の天翼族、そして……ディクティオ。


 黒妖犬は騎士隊を総動員させようと思っている。

 中には騎士見習いも入ってもらう予定だ。

 謎の人物については、前回の会議でレヴィア騎士候補生が言っていた、ロイドという者の可能性がある。

 そうなった場合は……」


「モネ騎士団長。アタクシが出ますわ!

 単騎ではチカラ不足かもしれませんので、騎士候補生だけの編成で向かわせてください!

 騎士候補生の失態はアタクシ達に対処させていただきたく願います!」


「了解した。レヴィア騎士候補生の立候補に感謝する!

 人選については君に任せても問題はないか?」


「はい! お任せてください!

 必ずや仕留めてみせますわ!」



 黒妖犬の群れは騎士と騎士候補生を総動員。

 正体はまだ不明だが、暫定ロイドの異形はレヴィアさん達騎士候補生が担当となった。

 そして、最後は勿論──。



「最後にラグナロクの首謀者、ディクティオですが……」


「僕が出ます」「私が出ます」



 僕とメイレールさんの声が重なった。

 片や図書館長を引き継いだ僕、片や長年付き添った相棒を殺されたメイレールさん。

 立候補するには充分なだろう。

 あいつから図書館を守る使命がある。

 じゃないと、リオ爺に顔向けできないじゃないか。



「分かりました。ディクティオに関してはお2人に完全に任せ切りになりますが、サポートはできる限り行いますので、よろしくお願いします!」



 これで、全ての敵への担当が決まった。

 ただ、敵が増えてないとは限らない。

 その時は臨機応変に対応しないとならない。


 全体での会議が終わった後、聖天騎士だけが残って詳しい人員の配置や細かい割り振りを決めていた。



◆◇◆◇◆◇◆



 宣戦布告から1ヶ月。

 各々が今日この日に備え、準備をして来た。

 図書館陣営も、聖天騎士の皆も、互いに協力して心身共に最高の状態でこの日を迎えた。

 住民の避難も先日に完了している。

 見据える先にいるのは、以前にも見た黒い軍勢。



 ラグナロクの開戦だ。




読んでいただきありがとうございます!


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今年も1年、よろしくお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 決戦前の静けさながら、ここまでフォローしてきた読者なら興奮しないはずがありません! 事実、おおいに興奮しました!
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