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【第80話】緊急合同会議




 神域の図書館の中心とも言えるリオ爺が息を引き取った。

 全てを言い切ったと言わんばかりの、それはもう安らかな顔で……

 眠るリオ爺の周りで悲しみに暮れていると、ガラっと医務室の扉が開かれる。



「……リオ爺……帰って来た?」


「先輩……」


「ナツメお兄ちゃんにルーナお姉ちゃん、泣いてたの?」


「セルビアちゃん……」



 入って来たのは先輩とセルビアだった。

 どう説明すれば良いんだろう。

 セルビアはともかく、先輩は僕より長い間リオ爺と過ごして来たはずだ。



「……リオ爺……寝てる?」


「…………」


「……わ…手、冷たい……毛布…持って来る」


「クーちゃん、いいのよ……もう、大丈夫。

 リオテークは遠い所に行ってしまったの」


「……? ……ここに、居るよ……?」


「あっ……!」

 


 どうやらセルビアは分かったようだ。

 これは『マッチ売りの少女』では、死が近くにあったからだろう。でも、先輩はイマイチ理解出来ていない……



「クーちゃん、リオテークはもう戻って来ないの。

 眠っているように見えるけどね……もう起きる事はないんだよ」


「……そんな……あれ……?

 ……これ……あれ?」



 先輩は頬を伝う涙を、困ったような表情で拭い続ける。



「……もう…会えない? ……お話しも……出来ない?」


「その通りよ。でもね、リオテークは世界を守る為に一生懸命に戦ってくれたの。

 お疲れ様って言って送ってあげて?」


「……お別れ……嫌…だよ……

 …こんな感情…知らない……教えて貰って…ない……」


「覚えておいて、クーちゃん。

 その感情が『悲しみ』なの。リオテークができる限り、貴女に感じさせないようにした感情の1つよ……」


「……悲しみ? ……こんなの……やだ……

 ……胸が……痛いよ? ……皆…平気なの?」


「ううん。全然平気じゃないのよ。

 でもね、悲しいって事はそれだけ相手の事が大切だったって、気付ける機会にもなるの。

 クーちゃんもリオテークとの思い出、いっぱいあるでしょ? それを思い出して、『ありがとう』って送ってあげよう?」


「……ん……思い出……いっぱいある。

 ……どれも……クークラの…宝物……

 ……リオ爺から…貰った名前……大切にする。

 ……ありがとう……バイバイ……」



 先輩は安らかに眠るリオ爺の頭を撫でながら、別れの言葉を告げる。

 その後は医務室にいた皆で、泣きじゃくる先輩をギュッと抱きしめて、落ち着くまで宥め続けた。




 ただ、明日は朝から会議室で騎士隊を含めた合同会議を開くから、寝坊しないようにしてね?」


 「分かりました」



 その日は僕、先輩、ルーナそしてセルビアが集まって僕の部屋で夜を過ごした。

 リオ爺がいなくなって、心にどうしようもない寂しさがあったんだと思う。勿論、僕も含めて。



◆◇◆◇◆◇◆



 翌朝、図書館陣営全員と聖天騎士隊長のモネさんを始め、騎士の抜粋されたメンバーが図書館内の会議室に集まった。



「これより、図書館職員と聖天騎士隊による合同会議を始めます!

 進行は副館長の僕、アルバがお送りします!

 まず初めに、お伝えしなければならない事があります。

 我等が図書館長、リオテークが先日亡くなりました」



 事情を知っている図書館陣営はともかく、騎士隊の人達はザワザワとしだす。

 そして、騎士隊を代表して発言したのは隊長のモネさん。



「亡くなったって、異形はどうなったんですか!?

 まさかもう地上へ!?」


「いえ、異形は無事倒されました。

 ただ、神域(ここ)の歴史に詳しい者なら知っていると思いますが、あのディクティオが脱走しました」


「質問をよろしいですか?

 そもそも、ディクティオなる人物は厳重に封印されていると聞いていたのですが、何故外に出てきたのでしょうか?」


「私が答えましょう」



 と、質問に答えるのはメイレールさん。



「まず初めに、厳重な封印から解かれた術については今現在不明です。しかし、可能性として2つ考えられます。

 1つ目は封印の劣化です。

 下手に本を開けない分、中がどうなっているかの確認が出来ない為です。

 2つ目は封印対象(ディクティオ)の異形化です」


「待ってください!

 そもそも、物語が無い本での異形化なんて可能なのでしょうか?」


「分かりません。本来であれば、魔素を吸収し過ぎた本内にて、登場人物の強い感情によって異形は生まれます。

 そのほとんどが負の感情によるものですが、中にはクークラやセルビアのような例外も存在します。


 ディクティオの本には魔素の吸収を抑える措置はされていますが、彼は魔素と相性が良い天翼族を喰らっている為、その影響もあるのではと考えます」



 会議室内のザワザワが加速していく。

 ディクティオの異形化か……

 それなら異様な能力がある事にも、多少は理解が出来る。



「ええ、ひとまず進行の僕に戻ります。

 ディクティオの説明も終わった所で、彼の暫定的な能力と目的についてです。

 現段階で判明している能力は『異形の発生と強化』。

 そして肝心の目的ですが……

 曰く、『神殺しの大戦(ラグナロク)』を起こすと」


「ラグナロクと言うと、北欧神話の物語に出てくる終末の日の事ですか?

 オラシア様だけと言うより、狙われているのは神界そのものという認識ですかね?」


「概ね、その考えで合っていると考えられます。

 そこで、この会議では今後の対策や、設備等の強化案を話し合います。

 意見のある者は挙手をお願いします。

 どんな些細な事でも構いません!」



 いつもは元気が無さそうなアルバさんが、今日はかなり気合いが入っている。

 今だけは、これが副館長であると言わんばかりの威厳が見える。

 僕も図書館長の意志を継ぐ者として、しっかり貢献しないとね。


 そんな事を考えていると、早速1人の手が挙がる。



「1つよろしいでしょうか?

 アタクシ達聖天騎士側に、裏切った者がいる可能性がありますわ!」



 宣言したのは、聖天騎士見習いの代表で来ていたレヴィアさんだった。




読んでいただき、ありがとうございます!


「面白い!」「続きが読みたい!」と思った方は、ブックマークやいいね、広告の下の評価★★★★★を押してくれるとかなり頑張れます!


次回、裏切り者が判明?

乞うご期待なのです!

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― 新着の感想 ―
[良い点] リオ爺を思うクークラの姿が切なくて、また泣けてしまいました。それにしても、良い感じで不穏な雰囲気になってますね。ここからの展開にますます期待です。
[気になる点] 「その通りよ。でもね、リオテークは世界を守る為に一生懸命戦ってくれたの。  お疲れ様って言って送ってあげて?」 口語で、「いっしょけんめい〇〇する、した」という人は居るので、間違いで…
[良い点] 今回は布石の説明回 [気になる点] 間違いではないけれど気になる。 ムムム・・・ と思うけれど、スルーが正解かな。 で、それとは別に重箱の隅をつつきますね。 現段階で判明している能力は…
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