【第70話】8柱の神々
こちらを見つめる目は様々。
オラシアさんのような驚きの目、僕を心配するような目、面白い物を見つけたような目……
「えぇ、どうしよ……」
「ほらナツメ! あの椅子に座るの!」
指差した先は長い長方形のテーブルの端。
要するに、お誕生日席だ。
正直めちゃくちゃ嫌なんだけど。
だって今椅子に座っている人達って神様でしょ?
僕が一緒の卓を囲んで言い訳がない……
ただ、どうやら肩に乗ってる張本人がこの中で1番発言権が強そうなんだよな……
仕方ない! なるようになれだ!
「ここだよね? 降ろしちゃ……」
「だめ! ファーはナツメに乗ったまま!」
最後の抵抗を見せるものの、呆気なく散ってしまう。
まぁ、そうだよね。
という訳でパッと見た感じ7人の神々と、ファーちゃんを乗せた僕が席に着いた。
めっちゃくちゃ助けて欲しい。
「ナツメ君大丈夫? その、無理はしてない?」
「オラシアさん……取り敢えず大丈夫です、顔見知りが居るだけで幾分気は紛れてます」
見兼ねたオラシアさんが声をかけてくれた。
この人のふわふわ感に助けられる時が来るとは……
「オラシアちゃん、この子が新しい子!?
超可愛い〜! 飴ちゃん食べる?」
「い、いただきます……」
眩しい程の黄髪に、青空のような瞳の女神様。
つい貰っちゃったけど、この女神様は何の神だろう?
オラシアさんは祈りの女神って知ってるけど……
「自己紹介しなきゃね! あーしはベアティード!
幸福を司ってるよ! ほら皆も折角だから、ほ〜ら!」
幸福の女神様だったのか。
それにしても、幸福の女神様ナイス!
これで自然に全員の名前を確認できる。
ベアティードさんに急かされて、真っ先に挙手したのはかなりガタイが良い男性。
整った黄緑の短髪が爽やかな印象を与える。
「それでは我が続こう。
我が名はエスペル。希望の神である。よろしく頼む」
希望の神様! 吸い込まれそうな深緑の瞳を真っ直ぐ見据えて、固く握手を交わす。
今はお辞儀ができない状態だしね……
「はいは〜い、次行っていいかな?
ボクちゃんはヘドネー! 娯楽の神さ!
いや〜、君…面白い目をしてるよね?
巻き込まれる者の目だ! 刺激的でいいよ〜!」
「ど、どうも……?」
一際奇抜な服を着ていて、時折視界で気になっていたのは娯楽の神だったか。
オレンジ髪に薄茶色の目をした、言動から格好までいかにも胡散臭さそうな神様。
最後は僕にひらひらと手を振って自己紹介を終えた。
「つ、次は自分でいいですか?
あの、トリッサって言います……一応、悲哀の神です。
悲哀って言っても自分は悲しいの苦手だしその、ゆ、友好的なんだよ?」
「はい! よろしくお願いします!」
自信の欠けらも無い、伏し目がちな青い瞳の女神様。
挨拶をしたら、膝まで届きそうな長い紺色の髪に隠れるように顔を隠してしまった……
「根暗は置いといて次は俺だなぁ!?
俺ァ、憤怒の神アンクだ!
手合わせなら何時でも大歓迎だぜ!」
「お時間がある時に是非!」
「いい返事だ! よろしくな!」
一見小柄だが、ここに居る神様の中だと1番力強さに満ち溢れた憤怒の神。
燃え盛るような赤い髪と瞳は暑苦しいようで、爽やかでもある。
憤怒を司る割にはとてもいい人っぽい?
そして、最後はフードを被った神様……
この家に入ってきた時から素顔は見えなかった。
喜怒哀楽っぽい神様達、祈り、希望、あとは何だろう。
素顔は見せないのかな?
最後のフードの神様が話し出す。
「アタシは自己紹介、必要ないわよね?」
最後の人がフードを外す。
見覚えのある紫色のショートボブが顕になる。
「アベリアさん!? 何やってるんですか?」
「何やってるって……一員なのよ、アタシも。
何の神かは秘密にしとくわ。
そうね……さしずめ、愛の女神と名乗るわ」
「そうですか……」
「いいじゃない何の女神でも、アタシはアタシよ」
天翼族でないとは思っていたけど、まさか神様だとは思わないでしょう……
まぁ、アベリアさんの正体が何者でも、図書館の従業員である事が変わらないなら信用できる。
よし、1回整理しよう!
幸福の神が、ベアティードさん。
憤怒の神が、アンクさん。
悲哀の神が、トリッサさん。
娯楽の神が、ヘドネーさん。
希望の神が、エスペルさん。
後は祈りの神のオラシアさんと、自称愛の神のアベリアさん。
何とか覚えられそうかな。
実質、覚えるのが5人だけで良かった。
これで全員──。
「最後はファーだね! やっと回ってきたよ〜!」
肩の上から無邪気な声があがった。
そうだ、この子も神なんだっけ……
「あーしが紹介致しましょう!
このお方の名はファクトマ様。
あーし達7柱の神を従えし、最高神様にあらせられます。
無から有を生み出す創造を司る偉大なお方です!」
この子が最高神!?
いやいやいや、え? 今最高神様を肩に乗せてるの?
恐れ多くない? 大丈夫なのこれ?
ベアティードさんが何とも誇らしげな顔で、ファーちゃんの紹介をしてくれた。
口調も心做しか、丁寧になってたし……
ファーちゃんの太ももがプルプルと震えている?
何事かと思っていると、ファーちゃんが物申す。
「ファーの自己紹介、ベアが取った!!
ファーがナツメをびっくりさせたかったのに!」
「うぇっ!? それは申し訳ありません!
あーしも良かれと思って……」
ベアティードさん困ってるなぁ……
自己紹介の件で助かってるし、助けるか。
「僕驚きましたよ!? まさか最高神だったなんて!」
「……ほんと? いっぱいびっくりした?」
「それはもちろん! ファクトマ様って呼んだ方がいいのかと思っちゃいます」
「ダメ! ナツメはファーって呼ぶの!
お友達みたいにお話して!」
「分かったよファーちゃん。これでいいでしょ?」
「うん! さぁみんな、会議を始めようか!」
ファーちゃんの元気な掛け声で、これより8柱の神々による会議が始まる。
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次回からはいよいよ会議開始?
お楽しみに!




