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【第32話】ルーナを止めた強者




 ボロボロになった会場。

 未だ響き続ける雷鳴……否、ルーナが連続して引き起こしている衝撃波。

 とうとうルーナの武器にまで纏わり付く赤い雷。

 そして現状、それを止めなければならないのが……僕。


 さて、どうやって止めようか……

 力で敵わず、速さも敵わず、後残るは──。



「作戦で勝負って言っても、これじゃな……」



 いや待てよ……図書館メンバーが勢揃いしてるはず……

 誰かに手伝ってもらう事が出来れば!

 そう思い付き、図書館陣営がいる方に目を向ける。

 すると何ともまぁ、和やかな光景が広がっているではないか。

 木陰でお弁当を広げて、美味しそうに食べている。


 あれじゃ頼み辛いよな……

 あっ、先輩がサンドイッチ片手に手を振ってる。



「他に頼れる人と言えば……」



 視線をある人物に向ける。

 もう少し前まで闘っていたレヴィアさんに。



「な、なんですの……?

 アタクシではどうにも出来ませんわよ!?」


「いや、まだ何も言ってないですよ……


 ……ルーナを止めるの手伝って貰えません?

 ほら、ロイドって奴を止められなかった者同士のよしみで……ね?」


「うっ、それを言われると痛いですわね……

 分かりましたわ。

 具体的には何をすればよろしいですの?」


「そこなんですよね……」



 そう、どうすればいか全く分からない。

 取り敢えず、縄でも描いて巻き付けて止めてみるか……



「僕が縄を描くので、レヴィアさんは何とかルーナに巻き付けて貰えますか?」


「やってみますわ……」



 描いた縄の先をレヴィアさんに手渡し、ルーナを止める為の作戦を開始する。


 極力ルーナを(物理的に)傷付けたくないので、まずはルーナの足元から縄でグルグルに拘束して貰おう。

 レヴィアさんに軽く説明だけして動いてもらう。



「じゃあ、手筈通りにお願いします!」


「期待はしないでくださいませ!」



 レヴィアさんは空中へ飛び立ち、足に縄を巻付けようと隙を伺うのだが──。


 隙が無い。無さすぎる。

 近付こうとするレヴィアさんを衝撃波が悉く阻む。

 この作戦は欠陥が多過ぎた為、断念。


 次に振るわれる戦鎚に網を投げ混んで、絡まってくれるのを待つ作戦。

 最初に絡まりはした物の、絡まりきらなかった網が鞭の如く暴れ回った為、これも断念。


 その後も色々試してみるも──。

 断念、断念、また断念……



「ここまで手も足も出ないと、流石に腹が立ちますわね……」


「これの原因であるロイドとかいう奴、絶対に許せない」


「それに関しては全くもって同感ですわ。

 本当に申し訳なく……」


「いや、いいですよ。

 でも、あいつだけは絶対に、後でルーナに謝らせてくださいね」


「約束致しますわ。

 聖天騎士の誇りに掛けて、必ず」



 レヴィアさんから言質を取れた所で。

 そろそろ観客の避難を終わらせた騎士さん達に手伝って貰えないかな……

 そんな事を考えていると、思わぬ助っ人が表れた。



「あら、思ったより大事になってるのね。

 アタシ、お手伝いに来たのだけど…いるかしら?」


 来てくれたのはいつもの黒っぽいドレスを着た、紫のショートボブの(レディ)、アベリアさんだった。



「アベリアさん! 助かります!

 ルーナを止めようとしていたんですけど、手が付けられなくて……」


「なるほどね……分かったわ、アタシが止めればいいのね?

 ナツメちゃんはそこのお嬢さんを守ってなさい。

 少しばかりエレガントに止めてくるわ」



 それだけ言い残して、アベリアさんはルーナの頭上まで軽く跳躍、そして──。


 ───ッギィン!!


 あれだけ猛威を振るっていたルーナの戦鎚を、アベリアさんはその拳一つで弾き返す。



「レディが怒りを(おもて)に出しちゃダメよ。

 可愛いお顔が台無しになっちゃうじゃない?」



 アベリアさんはルーナの首筋にそっと両手を添える。

 すると、纏っていた赤い雷は霧散し、ルーナは気を失ったのか、そのままアベリアさんに抱き抱えられる。



「ナツメちゃん、この子を騎士隊の医務室までしっかり運んであげなさい。

 後は…分かるわね?」


「はい、ありがとうございました!

 ルーナが起きるまでは一緒にいますね」


「あなた達のお弁当は別で取っておいてあるから、後で食べなさい。じゃあね」



 それだけ言い残してアベリアさんは後ろ手に右手を振り、そのまま歩いて行った。

 あの人、本当に何者なんだろうか?






 ルーナが目を覚ましたのは、聖天騎士の医務室に運び込んで、だいたい2時間後の事だった。



「ルーナ! 大丈夫?」


「ん、あれ? ナツメ君? ここは……」


「騎士隊の医務室だよ。

 まぁ、色々とあってね……」


「そっか……わたしの、せいだよね。

 ごめんね……」



 ルーナは俯いて、今にも泣きそうな顔をしている。

 僕はこういう時、なんて言えばいいか分からない。



「元はと言えばロイドが悪いんだ。

 それよりもね、ルーナが無事で良かったよ」


「あ、あの、ありがと……

 その、け、決闘ってどうなったのかな?」


「ああ、それなんだけどね……

 ロイドはルーナに負けて今現在も意識が無いし、レヴィアさんも全面的に降参してるから、僕達の勝ちだよ」



 実はルーナが寝込んでいる間に、モネさんに教えてもらったのだ。

 決闘は僕達の勝利という事になるらしい。

 僕、ほとんど見せ場無かったけど……



「ルーナが動けるようなら、この後に決闘の勝敗の宣言と、ルーナを正式に図書館に迎え入れる式が開催されるんだけど、どうする?」


「体は全然動くから問題は無いと思う」


「そっか、じゃあ今から一緒に行こうか」


「うん、寝てる場合じゃないよね?」



 ルーナはベッドから飛び起き、僕の手を握って会場へと駆け出した。


 長い廊下を抜け、外の光が差し込む。

 もう少し前まで居た舞台が見えて来た。

 観客は少ないが、図書館メンバーと聖天騎士関連の人達は勢揃いしている。



「あ! ナツメ君にルーナちゃん来れたんだ!

 今から軽く閉会式とかするからこっち来て!」


「モネさん、ごめんなさい遅くなってしまって」


「いいよいいよ!

 今日はおめでたい事が色々あるんだから!」



 おめでたい事って他に何かあるっけ?

 僕達の勝利は確かにおめでたいけど、その他が思いつかない。


 そんなこんなで閉会式が始まった。

 進行するのは勿論、騎士隊長であるモネさんだ。



「これより! 閉会式及び、2つ名の授与を行う!

 当事者である者達は前へ!」



 2つ名が正式に授与されるのか!

 ルーナもかなり驚いた顔をしている。


 まぁ、その2つ名は『怒槌(イカヅチ)』な訳だが……




読んでいただき、ありがとうございます!


「面白い!」 「続きが気になる!」と思ってくれた方は、広告の下の評☆☆☆☆☆や、ブックマークなどを押していただけると嬉しいです!


感想なども待っておりますので、是非!


続きをお楽しみください!

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― 新着の感想 ―
[良い点] やっぱりアベリアさんTUEEEEE! レヴィアが第一印象よりもいい人で嬉しいです。決闘の結果も勝利となり、晴れやかな気持ちになれました!
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