【第21話】訓練開始
僕の発言にモネさんは少し驚いた表情をしている。
「決闘への参加は出来るとは思うけど、大丈夫?」
「僕達は2人で1つです。
なので、相手も2人1組で代表を出してください」
「分かった。騎士団長の名にかけて約束させてもらうよ。
2人の健闘を祈る。当日はアタシが迎えに来るね!」
そう言い残して、モネさんは飛び去って行った。
「……後輩……よく…巻き込まれるね」
「今回は自分から突っ込んでますけどね……」
「ナ、ナツメ君……その、良かったの?」
ルーナは自分が巻き込んでしまった、と言わんばかりの不安そうな目で僕を見る。
「大丈夫だよ。2人で勝とう、絶対に!」
「……! うん、絶対に!」
さて、そうなると早めに行動に移したい。
時間はあの白い本に入れば何とかなるが、その後は確実に数日間は動けなくなる。
その日数から逆算して訓練しなければならない。
「来月まで2週間と少しだし、2回は訓練したいね」
「2回だけでAクラスの人達を相手にできるかな?」
いつにも増して不安そうな声で問いかけて来る。
正直言うと僕も不安だが、ここで弱音を言ったら一層不安にさせてしまう。
「絶対に勝てるよ。1人じゃ厳しいかもだけど、2人で弱い所を庇い合えばなんとかなるさ!」
「そうだよね、2人だもんね!
Aクラスをコテンパンにしちゃおう!」
いい笑顔だけど、コテンパンにするのか……
不安は拭えたみたいだし、今はこれでいいか。
「今からどうする? 図書館に戻る?」
「僕はそれでいいんだけど……?」
そこまで言った所で、服の裾をクイッと引っ張られる。
横を見るとルーナも同じように引っ張られている。
「どうしたんですか?」
「……せめてお昼は……2人と…食べたい」
表情では分からないが、悲し気なオーラが滲んでいる……
サボるために付いてきたのに、図書館に戻るって流れになったからだろう。
でも、そうだな。お昼ご飯くらいは3人で食べよう。
「3人でお昼を食べてから、図書館に戻りましょうか?」
「……ん…それがいい」
そんな訳で、3人で近場にあるレストランで昼食を摂る事になった。
入ったレストランはパスタを売りにしている店らしく、3人で2種類のメガ盛りのパスタをシェアする事になった。
リオ爺の許可を得た僕とルーナは禁書庫に居る。
今回は1度部屋に戻って支度してきたし、忘れ物も無い。
ちなみに、先輩はリオ爺に事情を説明した際に、無断でサボっていた事がバレてお説教を受けている。
その為、リオ爺は少し遅れて本の中で落ち合う予定だ。
「クーちゃん、絶望的な顔してたね……」
「今頃、こってり叱られてるんだろうね……」
普段から怒らないから、どんな説教するのか気になる。
僕の勝手な想像だけど、語気を荒げず静かに圧をかけながら諭すように説教しそう。
「とにかく、リオ爺が来るまで本の中に入ってようか?」
「そうだね、わたしもミョルニルちゃんをもっと扱えるようになりたいし」
『悪しき者に正義の鉄槌を、助けの声に愛の手を』
『我は守護する者、扉よ開けこの命朽ち果てるまで』
本に入ると、前回片した武器の山が出迎えてくれる。
ミョルニルちゃんだけは別の場所に置いていたみたいで、ルーナはそれを抱えて僕の方に駆けてくる。
「その武器ってやっぱり重いの?」
「持ってみる? 少し重いから気を付けてね?」
騎士学校で訓練しているとは言え、女の子の腕力で持てるなら流石の僕でも持てるだろう。
ルーナから手渡されたミョルニルちゃんの柄を握り、ルーナが手を離した瞬間──
ドガン!!
…………は?
あれ? 僕まだ柄握ってるよな? 腕、取れた?
いや待てよ、景色が低い。
僕は柄を握ったまま、腰は鋭角に曲がっていた。
何とも情けない事この上ない姿だ。
「ナツメ君、大丈夫?」
「重っも……こんなの振り回してたの?」
「そうだよ! 腕力には割と自信があるんだから!」
ルーナは片腕を曲げて、力こぶを見せるようなポーズを得意げな顔で僕に見せ付ける。
いや、それでも華奢ではあるんだけどな……
「ねぇ、ナツメ君が空中に絵を描いてたやつ、わたしにもやらせて欲しい!」
「いいよ、何か書いて見せてよ!」
そう言って僕は羽根ペンをルーナに手渡した。
ルーナは羽根ペンを手に取ると、ウキウキした様子で絵を描こうとする。
「あれ? 全然書けないよ?」
「え? おかしいな……
リオ爺はここが本の中だから、紙の中に落書きするイメージって言ってたけど」
「分かった、やってみる……」
僕は一応そのイメージで何とか描けたが、ルーナは……
「描けた! けど線しか描けないし、すっごく疲れる……」
「ホントだ、でも何でだろ……」
僕が半神類である事に関係があるのかな?
でも、正直描けなかった事に安堵していた。
だってそうでしょ? これでめちゃくちゃ絵心満載な絵を描かれちゃったら、僕の立つ瀬無いし……
「考えても始まらないし、リオ爺が来るまでは自主練習しておこう!」
「そうだね! 打倒Aクラスだよ!」
「 「おー!!」 」
僕達は来たる決闘に向けて訓練を開始する!
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最近更新が遅く申し訳無いと思っております……
しかし、遅いながらもしっかりと更新はしますので、長い目で見守ってください!




