【第14話】再会
図書館の裏側、聖天騎士隊の拠点に到着すると、騎士隊長であるモネさんが出迎えてくれた。
「クーちゃん、ナツメ君ひっさしぶり〜!
って、あれ? なんでオラシア様もいるの!?」
「モネちゃん、お久しぶりです。
相変わらず元気そうで何よりです」
「アタシはいつでも元気ですよ!」
女神と騎士隊長がはしゃいでいる。
2人とも見た目は絶世の美女なので、中身を知らなければとても美しい光景だったと思う。
「あっ、そうだそうだ!
今日はナツメ君のパートナーを探しに来たんだよね?
案内するよ! オラシア様も来られますか?」
「いえ、わたしは一言物申したら帰るつもりですよ。
またメルちゃんに怒られちゃいますし」
いったい何を物申すんだろ?
モネさんも頭上にはてなを浮かべてるし。
「モネちゃん、また聖天騎士隊って名乗ってるでしょ!」
聖天騎士を名乗るのがダメなのかな?
モネさんは「うげぇ」とでも言いたそうな顔だ。
「あの、聖天騎士じゃダメなんですか?」
「ほら! モネちゃん、正式名称で名乗ってあげて!」
オラシアさんに急かされて、モネさんは珍しく恥ずかしそうに話し出した。
「その……聖天騎士隊改め、えっと……
せ、聖なる…天使ちゃん達の……可愛い騎士隊です……」
「…………」
言い終わると、「もうやだぁ〜」と両手で顔を抑えて天を仰ぐ。
なんて言うか、ちょっと可哀想。
オラシアさん、これの為だけに来たのかな?
「えっと、聖なる天使ちゃん達の……」
「復唱しないでっ!?」
「せっかく可愛い名前を付けたんだから、ちゃんと名乗って貰わないと悲しいわ。
それじゃあ、満足したからわたしは帰るわね」
そう言うとオラシアさんはひらひらと手を振って帰ってしまった。
いや、ホントにこれの為だけに来てたんだ……
モネさんの面子の為にも、連れて来るんじゃなかったかな?
「あ〜、もうっ! 吹っ切れた!
それじゃ、探しに行こっか」
「はい、案内をお願いします」
「……茶番が……長い」
先輩が呆れモードなので、早い所案内してもらおう。
道中に聞いたのだが、この街や僕が身に付けてる神界を認識するリング等に明確な名前が無いのも、オラシアさんの絶望的なネーミングセンス故らしい。
「ホントにアタシ達ってオラシア様のネーミングセンスには困らされるんだよね……って訳で、到着したよ!
ここが聖天騎士養成学校の教室。
ここにいる生徒の中からナツメ君が信頼出来ると思う子を選んでね」
「騎士隊から選ぶんじゃないんですね」
「騎士には騎士の仕事があるからね!
騎士の仕事に慣れると図書館の業務ってかなりやりにくいんだよ」
そりゃそうか、騎士隊から人を抜いてしまったら僕やリオ爺が異形を逃してしまった時に討伐する人が減ってしまう。
「養成学校には全部で4つのクラスがあって、今からランクが高いAクラスから順に見て行くから挨拶とかだけ考えといてね」
「えっ、挨拶?」
「じゃあ、入るよ」
考える時間をほぼ与えられないままモネさんは教室の扉を開けてしまった。
「授業中だったかな?
ちょっとお邪魔するよ。今日は皆に紹介したい人がいるんだ!」
うわぁ、めっちゃ手招きしてる。
先輩を待たせるのも申し訳ないし行くか……
教室に入ると20人くらいの視線を一身に浴びた。
僕、こういうタイプの視線が苦手かもしれない。
「図書館で仕事をしているナツメって言います。
今日は養成学校を見学しに来ました。
よろしくお願いします」
「ちなみにこのナツメ君なんだけど、図書館長の見習いだから、失礼のないようにね!」
モネさんの一言で教室がザワザワと騒ぎ始める。
ざわつきが収まると、2人の生徒が僕の方に歩いて来る。
1人は顔が整ったいかにも好青年と言う感じの男の子。
もう1人は後ろに2人の人を連れた、高圧的な目付きの女の子だ。
「初めまして、僕はロイドと申します。
図書館の見習いさんがここに来たという事は、図書館で働く上でのパートナーをお探しのはず。
であれば、このAクラス首席である僕を選ぶ事をオススメしますよ?」
と猛アピールしてくる好青年。
クラスにいる女の子数人が黄色い声援を送っている。
まぁイケメンだし……ファンクラブか何かだろうか?
すると、もう1人の女の子が待ったをかける。
「ロイドなど放って置いてアタクシを選びなさい。
選ばれるに相応しいのはこのアタクシ、レヴィアただ1人ですわ!
ですので、頭の良さしか利点がない貴方が出てくる幕ではありませんことよ?」
「そうよそうよ!」
「分をわきまえなさい!」
今度は the お嬢様みたいな雰囲気だな。
っていうか、こんな喋り方する人実在するんだ……
全肯定取り巻き女子もいるし、100点満点の悪役令嬢じゃないか。
「あの、確かにパートナーを見つける為に来てますけど、すぐ決めるわけじゃないので……
それに、もっと色んな人も見たいですし、何より実力だけで決めようとは思っていません」
「それは残念です。
ですが、他の教室を探しても恐らく最後にはここに戻ってくると思います。
その時にまたお話しましょう」
「アタクシを選ばないなんてどういう了見なのかしら?
と言いたい所ですが、確かに他の教室を巡った所でめぼしい者が居ないことは確か……
最後に選ぶのがアタクシならば、なんでもいいですわ」
この2人は余程自信があるのか終始こんな調子だった。
軽い挨拶だけのつもりだったので、手っ取り早く他の教室も見て回ろう。
そう思っていると、先輩が僕の裾をクイっと引っ張り、話し出した。
「……さっきの人達……なんか…やだ」
「悪い子達じゃないんだけどね、Aクラスの子はなんて言うか、昔から濃い子が多いんだよね……」
「モネさんってもしかするとAクラス出身ですか?」
「さっきの会話でそう言われると傷付くな……
でも、うん……Aクラスだよ、アタシ」
しまったな、そんなつもりは無かったのに。
でも先輩の言う通り、良い印象ではなかった。
Aクラスを出てからBクラス、Cクラスと挨拶しに行ったが、良さそうな人は見つけられなかった。
そもそも、こちら側の一方的な挨拶だから相手を知る術がほぼ無いのである。
「なんて言うか、B、Cクラスは普通でしたね」
「そうだね、Aクラスと比べると確かに実力は劣るけど、良い意味で普通だと思うよ」
そしてたどり着いた最後のクラス。
教室の扉をくぐると、1番前の席に座っていた人物と目が合った。
「な、ナツメ君!?」
「ルーナ!?」
2日ぶりの再開ではあるが、僕の初めての友人であるルーナがそこに居た。
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次回作を執筆を書く活力にしたいので何卒よろしくお願いします。




