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王都編第2説

改めて1週間ほど投稿できずに申し訳ありませんでした。体調も戻ったのでまた週2ペースに戻していこうと思います

「悪いが、これより行われるのは一方的な蹂躙だ」


そう聞こえ盗賊たちは3人が一斉に振り向く。そこには冒険者だろう一人の男が立ち手には剣が握られていた。

その剣は遠目からでも一流品であるとわかる剣だったために盗賊たちは呆けたあと笑みを深くしてガロンを見ていた


「兄ちゃんよぉ、悪いことは言わねぇからその武器置いていきな。あとこの辺に女が2人ほど逃げてたと思うが知らねぇか」


盗賊たちは持っている剣の柄を深く握り質問をしてくる


「知ってるとも。だが、お前たちに教える義理はないしつもりもない」

「へぇ・・・そうかい。なら、死ねや」


そう男が言うや否や3人同時に掛かってきた。後方の男をサードアイで確認すると弓を引きいつでも射れる状態にあるようだ。


「「「らぁっ!」」」


大振り気味に男たちは俺めがけ剣を振るう。

それを確認しながら俺は後ろへと下がると男たちは先ほどまで俺の居た場所で空を斬る。そして俺は下に下り切った盗賊の腕をまとめて斬る。

バターを斬るようになめらかに斬れ落ちる腕が地につき持っていた剣が金属音を奏でる。一瞬理解できなかったのは盗賊たちは見ていたが次の瞬間、激痛が襲い掛かってきたようで血しぶきと悲鳴が聞こえてきた。

後方にいた盗賊には何が起こったのかわからず動揺が走る。そこを見過ごす訳もなく俺は魔法で後方の盗賊を土の牢獄の中へと束縛する


「アースバインド」


アースバインドは無属性魔法で消費するMPに応じて強度が変わる魔法だ。MPの1/3を使ってしまった。あとで回復ポーションを飲まないとな等と考えながら後方はこれで一安心だ。

残るは前衛の3人だが先ほどと同様に激痛に悶え苦しんでいる。


「許せとは言わない。恨むなら恨め」


そう言って俺は3人の首を飛ばす。首を飛ばす度に盗賊たちは化け物を見るような顔で俺を見、恐怖に涙を流しながら死んでいった。

悪人といえど嫌なものだった。善悪の是非を問うなんて気もさらさらにない。俺がやらずとももしかしたら誰かが罪人として彼らを裁いていたかもしれない。

これは逃げの思考だなと頭を振り事切れた盗賊たちを見下ろす。


「地獄で罪を認め贖うことだな」


死体になった彼らに俺は銅貨3枚ずつおいた。この世界で橋渡しがあるのか分からないがこれくらいはしてやろうと思ったのだ・。

さて、前衛は終わったがあとは後方支援をしていたあの盗賊か。こいつには少しの間残りの盗賊がどこにいるかだけ喋ってもらおう。


「やあ、残りの仲間がどこにいるか喋ってもらえるかな?」


俺は捕まえている牢獄に向かって喋るが盗賊は何も答えない。中で死んでいるのかと思ったが浅い息遣いが聞こえるため特に死んでるというわけではなく黙っているだけだった。

あまり時間をかけるのも嫌だなと思い俺は盗賊に顔を近づける。


「こっちを見ろ」

「・・・・」

「イビルアイ」


男が意識が支配下に入ったのを確認し一息つく。最初からこうすれば良かったなどと思ったがまぁ栓なきことだろう。

とりあえずどうするかだが、アジトに案内して貰うとしよう


「よし、仲間が3人やられたことをお前はアジトに報告しに向かえ」

「・・・わかり、ました」


これでよし。後、俺は空を飛んでおくか

色々こいつに聞きたいことはあるがやるべきことをしよう。


「あ、あれ?ここは・・・?あの化け物はどこに行った!?」


等と言いながら周囲を警戒しているようだがいないのを確認したのか盗賊は急いで戻り始めた。

それから30分くらいか走って山間の洞窟のような所に入っていく。なるほど、ここがアジトか

そこには一見すると洞窟なんて見えずただの断面が削れただけに見えるが少し奥まったところに小さめの穴が空いている。

俺は周りに見張りがいないか周囲を確認したが特に見張りがいるわけではなさそうだったので洞窟の中へと入っていった。洞窟の中は意外と広く所々に明かりがついており奥まで続いているのがわかる。

洞窟内は靴音が良く響きそうだったために俺は気配遮断のスキルを使用することにし奥へと進んでいく。進んでいくと奥から話し声が微かに聞こえてくるようになってきた。


「あぁ!?3人が一瞬でやられたってのか?」

「はいっ!そうなんですよカシラ。俺もなんだかよくわからない内に捕まえられてまして」

「なんでてめぇだけ生きてんだよ?」

「そ、それが俺にもわからない状態でして・・・ただ、周囲には誰もいなくてもしかして仲間に知らせに行ったのかと思って・・・」

「バカかてめぇは!仲間がいるなら最初から呼んでるに決まってんだろうが!大方、なんかの魔道具でも使っててめぇにここまで案内させたんだろ!」

「そ、そんな!?じゃぁ今頃ここのどこかにいるってんですか!?」

「はんっ!それか王都のギルドか騎士団でも増援でこの辺り包囲してんじゃねぇか?どっちにしろ、てめぇのせいでしめぇだよ」


だんだん声が近くなってくる。威圧的な声のやつが恐らくこの盗賊のボスって所か。

時間をかけすぎるとアリーシャたちにかけている結界が持たないかも知れないしさっさと終わらせよう。


「お前がこの盗賊の頭か?」

「あん?てめぇは誰だ?」

「カ、カシラこいつです!さっき話してたやつです!」


ほぅ とカシラと言われた男は俺を上から下まで見る。男にマジマジと見られる趣味はないので勘弁してほしい所だ。

そして男はもう一度俺の顔に視線を戻すと笑みを浮かべながら


「部下が世話になったみてぇだな。どうだ?おめぇさんつえーんだってな?俺たちの仲間にならねぇか」

「断る」

「即断かよ。まぁ聞けや。俺たちの仲間になりゃあ女は自由に見繕っていいしなんならその場でヤってもいい。金だってヤった後の女を奴隷に落としゃあ金だって手にはいるぜ?な、悪い話じゃねぇだろ?」

「断る。お前らみたいになるつもりはない」

「ハッ!偉く高尚なようで!でもな、てめぇだって人殺してんだ。善人は人を斬っても許されるってか?悪い奴が斬ったらそいつは悪人だとでも言いてえのか?言っとくが同じ穴の狢だよ。人を殺すのに善悪なんざねぇよ」

「そんなわけないだろ。お前も言ったように善悪なんて関係ない。だが、俺はお前らみたいに堕ちはしないってだけだ」

「だからよぉ・・・それが、善人ぶってるつってるんだよぉ!」


もう話すことはないとでも言うかのように盗賊のボスは俺めがけてナイフを投げてきた。投擲用ナイフである。

それを難なく交わし愛剣を握る


「おいてめぇら!客人だ!歓迎しろやぁ!」


更に奥からぞろぞろと盗賊たちがやってくる。数にして20人ってところだ。まだいるか確認のためにサードアイで奥の様子を見ると鉄格子の檻があり、そこに何人かの女性が裸で横たわってたり縛られて嬲られていたのかぐったりとしている。

軽く俺は舌打ちをし顔を歪ませる。そして小さくお約束かと漏れてしまう。


「この人数を相手にするなんて出来ねぇだろ?諦めな」

「悪いがこの程度で諦めるほど俺は弱くはないつもりだ」

「おーおー威勢がいいなぁ。だが、終いにしようや やれ!」


男の合図で盗賊たちは俺に襲い掛かってくる。が、俺は小さく息を吐き目を瞑る


「バカが!諦めやがったか!おせぇんだ、よぉっ!」

「闇の縛鎖」


そう呟き俺は眼を見開く。紅く黒い眼をしながら

俺に襲い掛かってきた盗賊たちは俺の眼を見ると全身がまるで何かに繋がれたように身動きが取れなくなっている。額には脂汗を浮かべてもいる


「お、お前・・・ヴァ、ヴァンパイ・・・ア」

「何やってやがる!早くそいつを殺せ!」

「カ、カシラ・・・こい、つ・・・」

「―黙れ」


一声俺が言葉にすると襲い掛かってきたやつらが声も出せなくなったように静寂が包み込んだ。


「誇りも矜持も持ち合わせずに只々、快楽のために人の道を外れたことをあの世で後悔しろ。地獄への行き先案内人は俺がしてやる」


確実にくる死を告げ俺は魔力を膨張させる。世界を塗り替えさんとするかのように魔力が、俺が、黒く周囲を喰らう

種族特性。これはたそオンで選択した種族による特性がある。大雑把な説明にはなるが人間は人気じんきと呼ぶ気力を身に纏うことによってMP分だけ身体強化を可能にするのと地形恩恵を受けれる。

神族なら神聖属性の威力強化と一定範囲のフィールドを聖属性に変えることだ。魔族は魔力によっての闇属性強化と一定時間闇フィールドにすることが可能だ。

もちろん一定フィールドを強制変更出来るようになるのは高レベルからだが俺は最大レベル。雑作もないことである。


「鮮血に乱れ狂え―血の狂奏曲ブラッディーコンチェルト


ヴァンパイアの特性。その中の一つに血を操作することが出来る。

眷属や花嫁と契約するためだけではない特性である。今この場に置いての血の操作は取り込むためではなく逆である。その結果は


「「「がっ・・・だ、だずげ・・・」」」


眼から口から耳から鼻から全身から血を出しながら盗賊たちは倒れる。そしてその様は、まさに、血が奏で狂わせた様であった。


「・・・・ふぅ」


終わって見れば本当に一方的な蹂躙だった。そして、ここまで凄惨にやる必要はなかったかもしれない。こいつらに同情はしない。もっと他に生き方があったのにこの道を選んだのはこいつらだ。

だが、それでも、俺は生きていた人間の命を摘み取った。一方的に、容赦なく。

手が震え気がつくとガチガチと歯を震わせている。だが、まだだ、まだすべてが終わったわけではない。奥の彼女たちを助けるのが先だ。


足が少しだけまだ震えているが俺は奥へと向かった。そこには、7人ほど捕まっている女性がいる。

俺を見るや怯えだした彼女たちは小さく悲鳴をあげて涙を流しながら許しを請うている。

俺はそんな彼女たちにどう声をかけるべきか迷ったが


「大丈夫だ。盗賊たちは俺が始末したから。さぁ、ここから出よう」


俺は目の前の鉄格子を剣で斬り足枷や手枷を外しアイテムボックスから布を人数分取り出して彼女たちに渡した。

彼女たちはそれを手にとると体に巻き付け座っている。俺は彼女たちの足に目を向け何か履くものが必要だと考えたが持ち合わせがなかった。

が、ふと俺はアイテムボックスの中に空飛ぶ絨毯があったのを思い出しすぐさまアイテムボックスの中を確認する。

ソロ活動しかしていなかった俺だがたしか絨毯は10人は乗れる設計だったはず。ただ、使うとなると彼女たちが問題なのだが・・・申し訳ないがここは寝て貰う必要があるな


「よし、それじゃあ皆こっちを見てくれ」


俺を見る顔が7つ。どの子も美人だなぁなどと考えるがやることをしよう


「イビルアイ」


そう唱えると彼女たちは服従状態になった。イビルアイさんまじ便利。などと思いながら俺は一人ずつ彼女たちを抱きかかえ一人ずつイビルアイを解除し改めてスリープをかけ絨毯に乗せ洞窟を跡にする。

あとはこのままアリーシャたちの待つ場所に戻るだけだ。


絨毯に乗って15分くらいだろうか見覚えのある街道が見えてきてアリーシャたちをサードアイで確認する。

よしよし、まだ結界は無事なようだ。着地し彼女たちを地面に降ろし


「ウェイク」


と唱え彼女たちを起こす。すると彼女たちは始めは急に明るい所に出たためか眼をつぶったが徐々に眼を見開いていく。

一応聖魔法で健康状態にしているので寝起きから目覚めたくらいの眩しさのはずだが精神的にはやはり久しぶりの感覚なんだろうなぁ。


「「「あっ・・・ぐすっ・・・ぐすっ」」」


無事に外に出られたことで感極まってしまったのか彼女たちは涙を流していた。

あの洞窟で散々な目にあっていたのだ。無理もない。


「すまないな。もっと早くに助けれたなら良かったんだが・・・」

「ぐすっ・・・いえ・・・ありがとうございます・・・もう、自由にはなれないと・・・思っていたのに・・・ぐすっ」


泣いている一人の女性が泣きながらも感謝をしてくれていた。

俺は頭をポリポリと掻きながら良かったなと言うと彼女は、はいと答えまた泣いていた。

そんなことをしていると街道の方でアリーシャたちとは違う人たちが王都の方から大所帯でアリーシャたちに向かって来ているのが分かった。


「すまないが少し歩けるか?街道に待たせている人がいるのと王都のほうから沢山人が来ている。格好から騎士団だと思うから保護してもらおうと思う」


そう早めに伝えると彼女たちも泣いている顔ではあるが立ち上がり街道に向かって歩きだす。

そして俺は先頭に立ち彼女たちを護衛しアリーシャたちにかけていた結界を解除する。


「アリーシャ!」

「アナタ!大丈夫?」

「あぁ、特に問題はないよ。ただ、盗賊のアジトがあったから潰してきた。後ろの彼女たちは捕虜になってた子たちだ」

「あらあら、あなた達もう大丈夫よ。もう、こんなに涙を流しちゃって・・・せっかくの美人が台無しよ?」

「悪いなアリーシャ、王都の方から騎士団らしき人たちが来てる。大丈夫だと思うが一応俺が対応するから後ろへ下がっていて貰えるか」

「分かったわ・・・アナタ・・・」


俺を見てアリーシャはそっと優しく抱いてキスをしてくれた。


「良く頑張ったわ。アナタの心が壊れてしまうかと・・・もう、会えないかと心配で仕方がなかったの・・・だから・・・おかえりなさい」

「あぁ、ただいま。君の元に帰って来れたよ・・・アリーシャ」


本当にありがとうアリーシャと心から俺は彼女に感謝をした。

そして俺は彼女から離れ騎士団たちが来るのを待った。サードアイで周囲の警戒をしつつ待っていると前方から肉眼でもかなり近くなって騎士団を見て俺は驚いた。

何に驚いたかと言えば、まず、こちらに向かって来ている騎士団がすべて女性だということだ。サードアイで何人かは女性がいるのは見分けがついていたがまさかすべてが女性だとは思っていなかった。

あとは全員が清廉美麗であることか。とてつもない美人な人たちで構成されている部隊を見て見惚れてしまった。

後ろから突き刺さるアリーシャの視線が痛い


「失礼!アナタが報告にあった冒険者?」


俺たちの元へとやってきた美人さんたちの先頭の人が質問をしてくる。

周りの騎士団の人たちは俺の後ろにいる女性たちを見たあと俺を睨んでくる。なんかすごく俺が怪しまれてて怖いです。


「えぇ、そうです。御者の人から聞いた冒険者のことならですが」

「ふむ。彼女たちがその女性たちであっているかな?」

「はい。ただ、一番後ろの彼女は違いますが、2人ほどは森で盗賊たちから逃げている所を助けました。あとの人たちは盗賊たちのアジトから助けた人たちです」

「何だと・・・?まさか、最近この辺りで襲っていた盗賊団のアジトを見つけて踏み込んだのか!?」

「?すみません。俺と最後尾の彼女は今日、王都についたばかりでしてそちらの事情に明るくないんです」

「おっと、そうか、すまない。最近、若い女性ばかりを狙う盗賊団がいてな。かなりのやり手で中々尻尾が掴めずに被害が大きくなっていくばかりだったんだ」

「そうなんですか・・・じゃぁ、恐らくその盗賊団だと思います。そこの森を30分くらいで抜けて山間の所にある小さな入り口の洞窟がアジトでした」


そう言うと騎士団の人は部下だろう人を2人来た道を戻し走らせた。

恐らく報告し捜索隊でも編成するのかも知れないな


「まずは、私たちは王都騎士団女性部隊部隊長のシャルノ・ヴァルという。此度は感謝する。ところで、あなたの冒険者パーティーを戻してきてくれないか?改めて御礼をしたいのだが」

「私は冒険者のガロンと言います。一番後ろの彼女は俺の妻のアリーシャと言います。あと、俺はパーティーを組んでいません」

「ん?ということは貴方が一人で盗賊団を潰したと?」

「俄かには信じられないと思いますが」


それを聞いていた彼女の部隊の一人が俺に剣を向けてきた。


「隊長!コイツも一味かも知れません!討伐許可を!」


それを聞いて周りの騎士たちも抜剣し俺と対峙するかの様に睨みつけてくる。中には魔力を高めいつでも撃てるようにしているものすらもいる


「馬鹿者が!やめろ!」

「ですが!」

「お前たちは私の顔に泥を塗る気か!・・・・すまない、部下の非礼を詫びよう」


シャルノはそう言い俺に頭を下げてきた。

だが、まぁ騎士の人たちの言い分は尤もだと俺も思っている。一人で盗賊を何人も相手する時点でおかしいのだ。

数というのは暴力だ。圧倒的火力を持つのを見たのなら納得はするかも知れないが生憎、俺は見せていない。疑われるのは極々自然である。


「彼女たちの言い分も分かります。でしたら、こういうのはどうでしょう?俺と隊長さんが一騎打ちをして実力を見せるというのは」

「貴様!言うに事欠いて隊長と勝負だと!?それで亡き者にしようという魂胆か!」

「落ち着いて下さいって!当然そう思うと思っていましたので俺は素手で戦います。ルールは俺が隊長さんに負けを認めさせたら俺の勝ち、逆に俺も負けを認めたら隊長さんの勝ちとしましょう」

「お前ぇ!隊長との勝負で素手だと!?いい加減にしろ!」


いやいや!どうしろと!?

俺が剣使うの危ないんだって。真剣使うってなると偶然が重なって大惨事になることがあるかも知れないしさ。


「美人な顔が台無しですよ?そんなに可愛いのに」

「なっ!?」


あっやべ、つい口に出していってしまった。って後ろからまたすごいプレッシャーが!

後ろを振り向くと笑顔のアリーシャが出迎えてくれたがなんだかすごく怖い。笑顔が怖い!

あとで怒られるなこれは・・・


「・・・ぷっ!あはは!・・・くくっ!私と一騎打ちで素手か・・・くくくっ・・・私も・・・くくくっ、舐められたものだな・・・くくくっ」

「あー、いや、舐めてるわけじゃないんですよ。ただ、事情が事情でして」

「っくくく・・・・あー、笑った笑った。まぁそれで構わないなら私は構わないよ。私も隊長を張ってるくらいの実力はあるつもりだ。それの上を行くというのであれば・・・そうだな、よし!その時は私は君の嫁になろう!」

「・・・・へ?」


夜目?違うか。今なんかすごい言葉が聞こえてきたんだけど気のせいだよな?

って!またアリーシャからすごいプレッシャーが!


「よろしいですか?」

「ん?あぁどうした?」

「いえいえ、私の!旦那様に色目を使って何が目的なのか気になりまして」

「目的も何もそのままの意味だ。私は強い男を好いていてね。残念ながら王都に私以上の技量の持ち主がいないんだ。だから婿探しも苦労してたんだがそこに彼が一人で盗賊団を壊滅させたと言うじゃないか。そして私を相手に素手だという。実力が本物だったなら私は彼の子を生みたいと思っただけだ」

「なぜそうなるんですか!王都にいなくても他の国にいるかも知れないじゃないですか!」

「そうかも知れんし、そうでないかも知れん。どちらにしろ賽は投げられたんだ。だが、私は少なくとも彼に嫌悪感は抱いていない。伊達や酔狂だけで言ってはいないよ」

「もう!アナタ!」

「はいっ!」

「あぁ、言っておくがわざと負けたらその時は私の婿になってもらうぞ。安心しろ私が側室という扱いで彼女が正室で構わん」


俺が構うんですけどね!?

なぜにこうなったのかと思ったが発端は俺ですね。はい、反省してます!


「アリーシャ・・・」

「・・・はぁ、本当は嫌だけど彼女の気持ちもわかるのよ・・・私も覚悟を決めないといけないのかしらね」

「えっと・・・アリーシャ?」

「ねぇガロン?」

「なんだ?」

「全力で戦って負けたら私が慰めてあげる。でも、勝つのなら彼女も愛してあげれる?」

「・・・・彼女とは今日始めて会ったばかりだ。それで愛せるかどうかはまだ、わからない。でも、俺は彼女のことは嫌いになれそうにない、かな」

「そう。なら私のことを今まで以上に愛してくれると約束してくれたら私も覚悟を決める」

「是非もないな。俺はアリーシャのことを愛しているんだ。君に言われなくてもそれは当然さ」

「私だけじゃダメ。ちゃんと彼女も・・・いいえ、シャルノも愛してあげてね?」

「わかった。でも、この続きは俺が勝ってから話そう」


そう、まだ決着もついていないのだ。この続きは勝ってから話そう。


「くくくっ・・・あぁ、なんて妬けるんだろうね?それならば、私も本気で行くから私の思いを全力で受け止めて欲しいな。無論、私に勝てたらだがな」

「アリーシャの覚悟を無下にするつもりはないからな。悪いけど全力で勝たせてもらう」

「あぁ、全力だからいいのだ!さぁ!始めようか!」



開始早々に彼女は俺の懐まで一瞬で詰め剣を突き刺そうとする。

一連の動作に隙がなかったものそうだがそれ以上に彼女は華があった。洗礼された動きで俺を仕留めようとする。

だが、その一撃は空を斬る。俺は横にズレ軽く距離を離そうとする。が、彼女はそのまま姿勢を低くし横に避けた俺めがけ疾駆してくる。

疾い。疾いだけでなく彼女の動きは本当に綺麗だった。聖騎士。おそらくこの言葉が彼女には一番似合うだろう。見ている周りからも感嘆の声が上がっているほどだ。

おそらく彼女の全力も見たものは今いる中ではいないかったのだろう。そして彼女自身も。だからこそ、彼女は笑っている。全力で戦っても決して掴らない相手が目の前にいる。あぁ、これほどまでに強いのかと彼女は何度も何度も剣を振るいながらその度に空を斬る自身の剣がおかしくて


もっと、もっと踊り続けたい。ねえ?貴方もそう思うでしょ?だから、ね?ちゃんと最後までエスコートしてくれないと私怒っちゃうから


「・・・すまないな隊長さん、全力で行くと言いながらこんなに楽しい戦いは初めてでさ、隊長さんと少しでも長く戦っていたいって思ってしまった。だから、すまない」

「私もだ。君が全力を出していなかったのは分かっていたが私の全力をこうも簡単に避けられて悔しいという気持ちよりこのままずっと楽しみたいって思ってしまったんだ」

「ありがとう。そう言ってくれると俺も嬉しい。だけど―」

「あぁ―」

「「そろそろ終わり(お開き)にしよう」」


一度互いに跳躍し距離を離し

一人は低く低く姿勢を落とし。

一人は高く高く舞い上がる。


そして剣と拳が触れ合い


剣を紙一重で交わし彼女を抱きかかえているガロンの姿がそこにはあった

最後にチェックメイトと言い拳を彼女の目の前に置いて。


「降参だ。私の完膚なきまでの負けだ」

「強くて綺麗だったよ」

「そ、そうか?ただのお世辞ではないのか?」


今までとは打って変わりシャルノは顔を少し赤くしながら受け答えをしてくる。

その姿が堪らなく可愛いと思ってしまった。


「お世辞じゃないさ。君は綺麗だよそして強い」

「負かした相手に言う台詞じゃないなそれ」

「え?うーん、でも本当のことだしなぁ」

「ふーんだ」

「えぇ!?本当のことなんだからいいだろう?機嫌直してくれよー」

「じゃぁ私を怒らせた罰だ」

「俺勝ったのに!?・・・って!?んぐぅっ!?」

「ん・・・はぁ、んちゅっ・・・んぅ・・・ぷはっ!」

「・・・・少し唐突すぎやしないか?」

「そんなことはないぞ。私はもうお前のものだ。そしてお前はアリーシャのものでもあり私のものでもある」


照れながら彼女はそう告白する。

そんな彼女を俺は愛しいなと思った。そして俺は彼女も愛していこうとも覚悟を決めた。


「順番がグチャグチャだけどこれから宜しくなシャルノ。君を俺の妻に迎えたい」

「あぁ、私の方こそふつつか者だがこれからよろしくお願いする。アリーシャもこれからよろしく頼む」

「受け入れるって覚悟は決めていたもの。これからは共にガロンを愛して支えてあげましょう」


こうして俺は二人目の妻を娶ることになった。

どちらもすごく美人で鼻が高いが俺も見合う男にならなければ・・・な

空は今日も晴れ渡り俺たちを祝福してくれていた。



「ところで、私は処女だからな。今日は初記念日ということでたっぷり愛してくれよ?」

「ガロンは疲れているんだから今日は私が癒すのよ!」


俺は今日の夜が少しだけ不安になったのはまた別の話である




異世界さんこんにちは~不死王だけど元人間です~ 王都編第2説「盗賊と覚悟」

次回投稿は金曜の予定です

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